ユーザ固有の業務への適応力強化

公開APIの強化―プロセス・エンジンAPIの提供

前バージョンではSm@rtDBと他のシステムの間で「どういう情報をやり取りしたいのか」にフォーカスして、「外部マスタリアルタイム参照」、「入力内容チェック」、「入力値に応じた画面切替え・選択肢の絞込み」「利用者の属性(所属・役職・役割等)に応じた表示制御」「複数項目の入力値を複合的に判断して特定の処理を実行する(ロジック)」「ステイタスに応じた画面遷移」などを行う公開APIをリリースしました。

これらのAPIはプロジェクトを通してお聞きする用例をベースに先行実装しており、製品としてみた場合には網羅しきれない部分がありました。今回「機能を用意する」だけでなく、「作る人の使い勝手を良くする(誰でも使えるように仕組化する)」ことを目指してブラッシュアップしました。

たとえば、「入力された金額についてのチェックをかける」といった、ごく汎用的な用例であっても、詳しく伺うとお客様によってそのタイミングは異なりますし、金額のレンジによって分岐もあるかもしれない。これらの気づきは、お客様やパートナー様を技術的に支援している部隊のエンジニアからのフィードバックをもらいながら出来たことです。国産ベンダーとして、開発とサービス・サポートの距離が非常に近いからこそできる連携だと思っています。

さらに、バインダ(フォルダ)や文書(レコード)、ビュー(一覧画面)などへの独自処理の追加だけでなく、プロセス・エンジンを用いた独自処理を追加するためのAPIをリリースしました。このAPIを用いて、後ほど紹介するスマート・モバイル上のINSUITEポータルと連携したワークリスト表示(INSUITEからのプロセス開始)を実現しています。

文書の親子関係

今回、文書(レコード)を動的に扱うための機能をいくつかリリースしています。まず、バインダ側の設定で行う文書の親子関係です。

たとえば、ある会社の営業部門は顧客を深耕していて、1顧客から継続的に複数の案件を獲得しているとします。そのような部門で案件情報を共有する場合に、「親」として顧客情報を、「子」として複数の案件情報を登録する場合などがこれにあたります。共通情報を一元的に持つことで情報のばらつきをなくし、情報の鮮度維持にもつながります。

サブフォーム

フォームを(分割して)使い分けたいという要望を実現したのが、「サブフォーム」の機能です。メインフォームの中に、別のバインダのフォームを読み込んで一つの文書(レコード)として扱うことができるようになりました。メインフォームとサブフォームとの関係は、1:1の固定にすることも、複数のうちから選択して表示させることも可能です。

もちろん、サブフォーム側の文書単体での参照・更新が可能ですし、サブフォームとして独立のレイアウトをとっておき、メインフォームから呼び出された時には特定の部分(ブロック)のみを表示設定することもできます。


リスト型部品

Sm@rtDBで初めて動的に変更することのできる部品です。複数の部品をひとまとまりの「行」として扱って設定しておき、ユーザは任意に追加・編集・削除することができます。たとえば、研修コースをあらかじめ登録しておき、個々のコースの参加者や参加条件などを追加していく場合などに便利です。




「判断のスピード」を上げる

iPhone/iPadでのワークフロー承認

お客様からは、iOS(iPhone、iPad、iPodtouch)対応およびWindowsMobile、Blackberry などに対応したINSUITEと同様に、「Sm@rtDBで作成した申請フローをモバイルで承認したい」「登録した文書一覧も見たい」といった声をいただいていました。

すぐにでも応えたいと思う一方で、私たちは、「フルブラウザでもスクロールを要するような多項目の文書(レコード)をそのまま掌サイズの小さな画面に"縮小"表示して、参照できるだけでよいのか?お客様がおっしゃっているのは、本当にそのような使い方なんだろうか…」と逡巡していました。

今回、決裁ルート自動生成、つまり「組織としての意思決定スピード」強化のための施策を検討することになりました。外出先、あるいは在宅勤務など多様な働き方を支えるロケーション・フリーであることを検討の前提に加えると、「急ぎの情報はすべて見たい。必要な判断をリアルタイムで行いたい。」というニーズに応えるにはスマート・モバイル対応は避けては通れませんでした。せめて端緒は開きたい、と思ったのです。

フロントは「ポータブル(持ち運べる)・ポータル」へ

まず、iPad表示の対応を完了しました。ノートPCに匹敵する表示サイズであれば、ユーザの使い勝手を阻害しないと思われたからです。

また、スマートフォンでの承認リストの表示については、考えを切り替え、Sm@rtDBのワークリスト(申請一覧)を、ポータル(INSUITE:ビジネス・コックピット)に連携しそのメニューのひとつに組み込んでシンプルに表示できるようにしました。クリックするとサマリが開き、そこからはSm@rtDBの世界に切り替わります。

ポートレットとして切り出すのではなく、データそのものをSm@rtDBからINSUITEへ渡して表示する連携は初めてのことです。

また、INSUITEの前バージョンで採用した「非同期処理」(キャッシュを有効に使って、ユーザの動線の次を予測してデータを取り込んでおく。ユーザが明細に遷移したときにストレスなく表示させる処理方法)は、今回のワークリストにも適用しています。

従来と比べて、通信スピードは画期的にあがってきていますが、大企業ユーザの多くがそのスピードをUI環境として享受されているところまでは至っていない。エンタープライズ製品であるINSUITEは、それを考慮した創りをすべきですからね。

今回、「Sm@rtDBを見たい!」の声には少しだけお応えできたのかなと思います。しかし、冒頭の疑問はまだ完全に晴れたわけではありません。ただ、自分たちだけで悩み続けるより、お客様の近くで、その使い方、特に情報の絞り込み方の利用シーンをお聞きしながら、ブラッシュアップを続けたいと思っています。