グリーグループ15社横断の契約管理と稟議業務をSmartDBで構築 2度のシステム移行を経て選んだ「ノーコード」での内製化
- システムを維持していくための保守・運用が専任の技術者に属人化
- 業務間でのシステム分断に由来するデータの不整合
- 契約管理システムの他、ワークフローツールを併用するも複雑な承認ルートに対応不可能
- ノーコードを活かした高い保守性と、業務変化に即応できる開発力の両立
- 手動での転記や添付作業を削減するための外部システムとの柔軟な連携
- グループ横断で250以上に分岐する複雑な承認ルートを単一基盤で再現
- 年間3,700件に及ぶ契約書の審査期間を半分に短縮
- Adobe SignやSlackとの連携により添付ミスや確認の手間を削減
- 基幹システムとも連携し組織改編に伴う保守作業を効率化
SNS「GREE」を創業事業とし、現在はゲーム事業、メタバース事業、IP事業、DX事業、投資事業などを展開するグリーグループ。豊富なコンテンツ・IPや事業領域ごとに発生する契約は多岐にわたりますが、同社ではそれらの契約書の審査や管理をおこなう一連のシステム運用に課題を抱えていました。同社はスクラッチシステムやパッケージシステムで行ってきた契約管理業務を2024年にSmartDBへと完全移行。その後、同じくグループ横断の業務である稟議についても移行をおこなっています。
本日は情報システム部よりSmartDBの導入当時から携わる井上さんと、現在構築や運用を担当する赤塚さんにお話を伺いました。
グリーグループ内で利用する契約管理業務のシステムリプレース(SmartDB導入)プロジェクトを推進。稟議系ワークフローをSmartDBに機能移管等を実施。
ITサービスマネジメントや人事、社内の備品等の管理システムの開発をメインに推進。
Google Cloud Platformを用いた従業員検索システムの開発も実施。
かつての契約管理業務に存在していた課題
まずは導入のきっかけでもある契約管理について、業務の概要を教えてください。
井上さん:グリーグループ全体で締結される様々な契約について、契約書のレビューから締結、その後の適切な文書管理までの一連の業務を契約管理とよんでいます。細かな流れとしては、グループ会社の業務担当者が契約を締結する前に法務担当者に内容が適切かどうかのレビューを依頼、その後社内での修正や取引先担当者とのすり合わせの後、捺印申請を起案して実際に締結、完了した契約書については文書の保管をおこないます。
グリーグループで提供しているサービスコンテンツが多岐にわたるので、契約種別も様々なほか、グループ会社の業務担当者や法務担当者、最終的な決裁をおこなう役職者など関係者も多い複雑な業務となっています。
元々はスクラッチシステムや専用のパッケージシステムを利用していたと聞いています。
当時はどんな課題を抱えていましたか?
当初はスクラッチでシステムを内製していましたが、担当者の異動や退職、内部で利用していた仕組みのサポート終了などを受けて適切な運用や維持が難しい状態でした。また、運用しながら様々な要望に応えていくうちに機能過多になってしまい、結局どの機能が必要でどの機能は不要なのかといった判断がつかない状況にもありました。
また、契約書のレビュー時に依頼者と法務担当者間で誰がボールを持っている状態なのか分かりにくかったり、レビュー後に締結や文書の保管をおこなう際にも正規の文書かどうかわからないというリスクがありました。また、スクラッチシステムだったので運用コストの肥大化も課題でした。こうした課題を解決するため、一度契約管理専用のパッケージシステムに移行をおこなっています。
1度目に移行したシステムにはどんな課題がありましたか?
移行したパッケージシステムは、大量データの取り扱いや機密情報の閲覧制御という点でエンタープライズの運用に合わないことが多かったです。また、スクラッチシステムの時代とも共通する課題ですが、契約書の作成・管理と申請ワークフローが完全に連携されていなかったので、別のワークフローシステムを併用しており文書を添付する際には手動での転記が必要でした。
導入を決めたものの実際に使ってみると検討時には見えていなかった問題が明らかになったので、再度システムの検討を開始しました。
2度目のシステム移行:誰でも扱える「ノーコード」での内製化を決断
再度システムを検討する際にはどのようなことを意識していましたか。
一連の業務プロセスを明確にしたうえで、改めて業務ごとの課題の洗い出しをおこないました。洗い出した課題は優先度や実装難易度を基準に分類し、移行により解決すべき課題を特定しています。例えば、先ほど課題に挙げたような入力チェックや項目の表示制御、適切な権限設定、外部システムとの連携といった業務に不可欠な仕組みなどです。これらの機能を網羅しているかというのが選定の基準にありました。
また、専任の技術者に依存せず管理運用できる仕組みを実現するため、ノーコードツールを選択肢にいれて検討していました。ITの専門的な知識がそれほどなくても構築や保守ができることや、異動の多い組織のなかで担当者が変わっても比較的容易に技術習得が可能なことを意識したときに、最終的にノーコードツールがいいだろうという判断になりました。
数あるノーコードツールのなかでもSmartDBを選んだ決め手は何でしたか?
検証項目としても挙げた細やかな入力チェック、項目の表示制御など、ユーザーフレンドリーな仕組みがあること、必要なシステムとの連携オプションが用意されていることは評価ポイントでした。また、以前は100以上に分岐するワークフローの再現ができなかったのですが、SmartDBでは対応可能ということも導入の決め手になりました。
エンタープライズでの導入実績も豊富だったので安心して導入したのですが、導入後もシステムの稼働が非常に安定していて、止まることなく当たり前に使うことができるというのはとても素晴らしいと思っています。
ありがとうございます。外部連携の豊富さをポイントにあげていただいていますが、実際に構築した契約管理アプリは多くのシステムとの連携をおこなっていますよね。
主にSVF Cloud、Adobe Sign、Slackの3つのシステムと連携をおこなっています。
弊社では各契約についてひな形をWordで用意していて、それを使って先方と合意をはかるというルールにしていますが、以前のシステムではひな形が適切に利用されず微妙に改ざんされた契約書で依頼があがってくるリスクがありました。
現在はSVF Cloudで契約書のひな形を管理していて、SmartDBに入力された審査依頼の情報をSVF Cloudに連携することで適切なひな形に自動で情報が入力され、契約書が作成される仕組みを構築しています。
また、審査が完了した契約書の締結をおこなう際にAdobe Signを利用しています。捺印申請が終了するとSmartDBの情報がAdobe Signに自動で連携され、関係者に電子署名の依頼がされるようになっています。締結が完了した契約書はSmartDBに締結済み文書として戻ってくるので、締結から文書管理まで一連の流れを自動化できた仕組みです。
以前のシステムで課題としてあがっていた、誤った契約書による締結ミスの防止や、署名者の指定や締結済み文書のコピーといった細かい作業時間の短縮にも役立っています。
また、Slackについては弊社のコミュニケーションにおける中心ツールとなっているので、SmartDBでおこなわれる申請や承認をSlackに通知して内容を確認、Slack上でそのまま承認や差し戻しのアクションをおこなえるようにしています。機能アップデートでSlack上での承認が可能になったことで、依頼完了までの時間短縮効果も出ており、ユーザーの利便性向上と同時に業務の効率もさらにあがったと感じています。
グリーグループにおけるSmartDB×Slack連携についての詳細はこちらのnoteにも記載があります。https://note.com/gree_it/n/ncfa1c759c5e5
SmartDBに契約管理業務を移行したことでどのような効果がありましたか?
契約書の法務審査期間短縮に効果が表れています。弊社では年間約3,700件の契約書を審査していますが、SmartDBに契約管理業務を移管する以前は平均49日だった契約書審査期間が、移行後では平均26日と約半分に短縮できました。これは契約書の審査状況が一目でわかることや、契約書審査の進捗が関係者にSlackで通知され、すぐに気付ける仕組みをSmartDBで実現できたことが大きかったと考えられます。
過去に抱えていた様々な課題も解決されており、ユーザーからの改善要望も少なくなりました。特に、審査が完了した契約書の内容が自動で転記されるようになったことは、依頼者の手間をなくすと同時に法務担当者も添付ミスなどを気にする必要がなくなったのでかなり利便性がよくなっていると思います。
そして、アプリを開発するなかで不要な項目や分岐を整理し、必須要件だけを再現したので管理をおこなう情報システム部のメンテナンスコストも削減しています。どうしても必要な場合は臨時承認者を追加できるような設定にしているのでユーザーの利便性も損なわずに構築できています。
また、各事業やサービスごとの専門的な契約書の審査を適切にさばくために約20人の法務担当者がおり、審査依頼のワークフローも複雑になっているのですが、その条件を柔軟に再現できるのでとても助かりました。別プロジェクトとしてその後移行をおこなった稟議業務の実装時にも、ワークフローの表現力を高く評価しています。
グループ15社横断の稟議業務を移行
移行をおこなったグループ横断の稟議業務についても教えてください。
弊社では捺印や購買の申請をおこなう際に稟議をあげる制度になっています。稟議の決裁にあたっては決裁者が厳格に定義されており、申請種別や金額など会社ごとにどの範囲で決裁をとる必要があるのかが異なります。また、多くの部署を兼務する申請者もいるためどの組織からの稟議なのかを柔軟に表現する必要があり、結果としてワークフローの分岐が250を超えています。
元々稟議業務については他のワークフローシステムで運用していましたが、複数のワークフローシステムが存在することは技術習得や連携の観点でも望ましくなく、集約を考えていました。稟議業務を移行する際にも再度複数のシステムで比較検討をおこなったのですが、複雑な承認ルートへの対応を中心に契約管理アプリの開発時に求める要件を問題なく再現できたこともあり、こちらもSmartDBに移行するという判断をおこないました。実際の構築は赤塚が担当しています。
赤塚さん:移行時にはスクラッチで開発するという選択肢もありましたが、柔軟性や保守性を重視してSmartDBを選びました。
昔は出向でいろんな会社の開発に参加することが多かったのですが、この人がいないとソースコードを触れないとか意味が分からないという環境ばかりでした。したがってSmartDBのアプリ開発においてもとにかく運用や改修の属人化を避けたくて、複雑なワークフローを定義する際にも誰でも改修できるわかりやすいシステム構築を目指しました。業務自体が複雑なので画面は少しでも分かりやすくすることを心がけて、公開されているマニュアルや推奨ルールを参照しながら開発していました。
SmartDBでのアプリ開発はどんな印象でしたか?
元々コーディングが必要な開発の経験はあったもののノーコードでの開発は初めてだったのですが、結構楽しかったという印象です。アプリの開発って聞くと、どうしてもプログラミングの知識が必要という先入観があると思いますが、SmartDBは本当にパソコンとマウスさえあればフォーム画面もワークフローも簡単に作れるので初めての人にもおすすめしやすいと思いました。
稟議業務アプリの工夫を教えてください。
複雑なワークフローの再現とメンテナンス性の両立にはかなり気をつかいました。前に別システムで同じようにワークフローを構築したときに、承認ルートを洗い出して条件ごとにマトリクスをつくって…とかなり大変だったことがあって、SmartDBでも同じような実装が必要なのかと思っていました。しかし、実際に開発を進めると、承認経路を管理するためのマスタや条件を定義するフィルタなどを組み合わせることで比較的簡単に実現できました。
裏側のアカウントマスタの設定も組織ロールと呼ばれる機能で役職を簡単に定義できるので保守性も高いなと感じています。
また、グループ内の組織改編は頻繁に起こるので、その際に毎回ワークフローをいじる必要がないように基幹システム側のデータが更新されると自動でSmartDBにも連携され、承認ルートも更新されるよう工夫をおこないました。これにより、組織改編や人事異動の影響も最小限に抑えられています。
今後に向けた期待
グループ会社横断でSmartDBを活用するという事例も増えています。
実際に10を超える会社を横断して利用するなかでSmartDBのよかった点を教えてください。
マルチカンパニーでの運用に対応しているのはいい点だと思っています。システムによっては1社ごとに1契約が必要で会社間のデータ連携が必須というものもあるなかで、1つのテナントを利用してグリーグループ全体の業務を表現できるのがシステム管理面でとても便利です。
また、アプリ間でのデータ参照がかなり柔軟にできるので会社をまたいだデータ活用が自在にできる点も魅力に感じています。
ありがとうございます。
最後に、今後ドリーム・アーツやSmartDBに期待することを教えてください。
システムやITの知見がそれほどなくてもワークフローを構築できる製品なので、各部門でサイロ化している業務や昔からある細かいシステムを集約することも可能なのではないかと思っています。サポートに関しては、SmartDBの導入当時から運用後においてもドリーム・アーツさんのサポートは非常に丁寧で、疑問や課題に対して解決に向けた提案を丁寧にしてくれるので非常に心強いです。実際、SmartDB導入を判断した要素でもありました。今後は、来年(2026年)4月にリリース予定のAI機能(DAPA)についても、より業務効率化が進む機能だと思っているので期待をしています。
今後のAI機能のリリースにも興味がありますし、現状のノーコードに加えてさらに簡単に開発できるようなシステムになればエンジニアに頼らない業務効率化が一層進むのではないかなと期待しています。
井上さん、赤塚さん、ありがとうございました!
グリーグループの更なる業務効率化に向けて、引き続きドリーム・アーツとSmartDBもお役に立てればと思います。
よくあるご質問
複雑な条件分岐を伴うワークフローにも対応可能ですか?
組織や申請内容に応じた高度なワークフローをノーコードで再現可能です。グリーグループでは250以上に分岐する複雑な承認ルートをSmartDBに再現し、運用しています。
ITやシステムに詳しくない担当者でも開発・運用は可能ですか?
専門知識が不要のノーコード開発により、属人化を防ぎながら内製化が可能です。専任の技術者にシステムの保守を依存することなく、柔軟にアプリを構築・改修することができます。
既存の基幹システムや他社SaaSとの連携はスムーズにおこなえますか?
オプションやAPIを活用することで柔軟に外部システムと連携可能です。人事・組織データの連携によるマスタメンテナンスの自動化や、業務担当者の手作業やミスを削減する効果が期待できます。
複数のグループ会社を横断してSmartDBを利用することは可能ですか?
1つのテナントで複数会社の業務を集約し、会社をまたいだデータ活用も柔軟におこなうことができます。
導入により業務スピードや効率はどれくらい改善されますか?
グリーグループでは年間3,700件ある契約書の審査機関が平均で49日から26日へと半減しています。SlackやAdobe Signをはじめとする各種システムとの連携により、作業の効率化を実現しています。
※所属部署、役職、インタビュー内容は取材当時のものです。




