IT人材不足の解消へ、積水化成品工業がSmartDBで挑む【デジタルの民主化】
〜知財管理部の現場担当者が「パズル感覚」で業務を変革〜

IT人材不足の解消へ、積水化成品工業がSmartDBで挑む【デジタルの民主化】 〜知財管理部の現場担当者が「パズル感覚」で業務を変革〜
積水化成品工業株式会社
事業内容 各種発泡プラスチックス、ポリマー微粒子、高機能ゲル素材などの製造、加工および需要先に合わせた最終製品の製造販売までも行う。エレクトロニクス、モビリティ、医療・健康、食、住環境・エネルギー領域と、幅広い事業を展開する。
利用業務 人事業務、与信管理、知財管理など
従業員数 3,294名(2025年3月期連結ベース)
導入時期 2022年3月
TOPICS 課題
  • 社内システムの運用・保守や工場DXへの対応により情報システム部門のリソースが不足
  • コロナ禍への対応により現場の紙業務からの脱却が急務に
  • アナログな知財管理による、期限・進捗の抜け漏れや業務遅延のリスク
TOPICS SmartDBの採用ポイント
  • 現場主導で業務デジタル化を進められる、ノーコード開発基盤としての実用性
  • バックオフィスからフロントオフィスまでさまざまな部門・業務での活用が可能な汎用性
  • アプリ開発や運用の権限を現場に移譲しながら、統制とガバナンスを効かせられる柔軟な仕組み
TOPICS 効果
  • 人事部や販売管理部など複数の部署での市民開発を推進し、SmartDB認定資格を33名が取得
  • アプリ開発未経験から知財管理業務で必要な14のアプリを開発
  • バラバラだった入力フォーマットの統一や進捗の見える化を実現し、知財管理の手間を大きく削減

発泡スチロールの緩衝材を主力製品として、発泡樹脂の製造から販売までを一貫しておこなう積水化成品工業株式会社。新型コロナウイルス感染症の影響もあり情報システム部門のリソース不足に悩んでいた同社は、現場部門のデジタル化ニーズに応えるためノーコードツールを活用した市民開発を推進する体制を採用しました。SmartDBの導入後、同社では人事部や販売管理部、知的財産部など複数の部署で市民開発による業務デジタル化を進めています。

本日は、情報システム部でSmartDB推進事務局として活動する三浦さんと、知的財産部に所属し知財管理に関する14のワークフローを自ら開発した岡本さんに導入の背景から市民開発の展開、そして知財管理業務での活用について伺いました。

todaka
三浦 眞美さん 情報システム部 情報システムグループ 主査
現在の役割 工場でのシステム導入など、アプリ・情報系を中心にDX推進や人手不足への対応に従事。 SmartDBの推進事務局としてユーザーからの問い合わせ回答や社内教育も担当。
todaka
岡本 光一朗さん 研究開発センター 知的財産部 主査
現在の役割 知財関連書類の整理、年金の納付、中間処理と呼ばれる特許庁とのさまざまな手続きの期限管理、予算・経費管理など知的財産に関する業務を幅広く担当。
システム開発は未経験ながらSmartDBで知財管理のアプリを開発して運用中。

情報システム部門のリソース不足を打開するための「デジタルの民主化」

まずは、SmartDBの導入当時の積水化成品工業に存在していた課題と検討の背景を教えてください。

三浦さん

SmartDBを導入した2021年当時、弊社にはIT人材不足という大きな課題がありました。積水化成品工業では各グループ会社で仕組みがバラバラになることを防ぐため、本社の情報システム部門がグループ全体のシステム導入や運用をおこなっています。ただ、DXの実現など情報システム部門に求められる役割が増えるなかでも既存システムの運用保守に多くの時間と人材が割かれており、各部門やグループ会社からの要望になかなか対応できていませんでした。

また、この頃は新型コロナウイルス感染症が流行していたこともあり、それまでの紙を前提とした業務運用がまわらなくなりました。現場からの改善要望もますます増えるなかで、IT人材の確保に動くという選択肢もありましたが、長い目で見ると人員を増やすことは得策ではないと考え、そこで解決手段としてあがったのが市民開発でした。

IT人材不足という課題を解決するために市民開発の検討をはじめられたのですね。

三浦さん

情シスによるヒアリングや要件定義を挟まずとも現場で課題を解決できる仕組みを整えることができれば、よりスピーディーかつ細やかにデジタル化をおこなえます。そこで、現場主導でデジタル化が進められるよう、市民開発を前提とした体制の構築に動きはじめました。

市民開発を進めるにあたって一番重要なのは現場で実際に開発できるかです。当時ローコードの開発基盤を利用していたのですが、開発難易度の観点から現場に展開して市民開発を進めることは難しいと考えました。そこで、より簡単なノーコードに絞っていくつかの製品を検討し始めました。

ノーコードツールを比較・検討するなかで、SmartDBの導入に至った決め手は何だったのでしょうか?

三浦さん

導入前に現場部門を巻き込んでトライアルをしてみたのですが、誰でも開発できる難易度の低さと、さまざまな部門・業務で活用可能な汎用性を評価していました。加えてSmartDBは現場部門にアプリ開発や運用の権限を委譲する仕組みが整っており、インフラ部分の管理や運用は情報システム部門が担い、個別のアプリ開発や改修は各部署が担うという柔軟な運用がとりやすいと感じていました。

また、「デジタルの民主化」というコンセプトにも共感し、積水化成品グループとして今後目指す先を具体的にイメージするきっかけにもなりました。

※デジタルの民主化についてはこちら

導入後はどのように市民開発を進めていったのでしょうか。

三浦さん

元々市民開発の方針をとった際に、現場からの「自分たちが日々関わる業務を自らの手で変えたい」という声が後押しになっていました。市民開発に興味を持っている部署は複数あったのですが、そのなかでも人事部、販売管理部、法務部、知財部などが推進の第一ステップとして対象となりました。

なかでも人事領域は申請が必要な業務も多いうえ、デジタル化されると自然と全社でSmartDBを触ることになります。人事業務から始めてSmartDBと市民開発を浸透させつつ、その後に販売管理部や知的財産部での個別業務にも展開していきました。

積水化成品、SmartDB®︎で人事労務部が130業務をノーコード開発
デジタルの民主化DAY講演|グループ8社の営業取引を一元管理!販売管理部が挑んだ与信業務改革のリアル

市民開発を全社に展開するうえで、事務局としてどんな仕組みづくりを意識しましたか。

三浦さん

事務局としては、開発にあたってのルール決めや権限管理、各部門に普及させるための勉強会の企画などをおこなっています。例えば社内のポータルに特設ページをつくって社内の取り組みやSmartDBの紹介動画を掲載することで、「誰でも市民開発できますよ」と興味をもってもらえるような働きかけをおこなっています。

また、昨年(2025年)12月にはドリーム・アーツさんに協力してもらってSmartDBの習得講座を開催しました。 そのとき参加していた約20名には、その後も個別サポートと業務アプリ開発の進捗確認をおこなっており、4月には各参加者が作成した業務アプリをリリース予定です。

SmartDBの社内特設ページ/資格講座の様子

こうして市民開発を進めてきた結果、いろいろな部署にSmartDBが広がっているんですね。
ここからは知的財産部でのSmartDB活用について、岡本さんにお話を伺います。

システム開発未経験から知財管理に関わる14のアプリを開発

まずは普段の業務とSmartDBとの関わりについて教えてください。

岡本さん

知的財産部は、自社の技術やブランドを特許や商標などの知的財産権として保護し、競合他社の参入を防ぎながら事業競争力を向上させ、企業価値を最大化することが主なミッションです。

普段の業務では、知財関連書類の整理、年金の納付、中間処理と呼ばれる特許庁とのさまざまな手続きの期限管理、予算・経費管理などをおこなっており、そのなかの知的財産権の取得・維持・放棄に関わる領域でSmartDBを利用しています。

SmartDBの導入以前、それらの業務にはどのような課題がありましたか?

岡本さん

もともとはメールとExcelであらゆる業務をおこなっていました。 知的財産の管理に関する業務では多数の関係者に状況を聞いたり判断をあおいだりする場面があり、メールでの進捗確認がとにかく手間でした。1回の業務で3,40件ほどの確認メールを送るのですが、そのメールが確認先の部署でまわると日々多数のCCでメールBOXが一杯になってしまいます。大事なメールも埋もれますし、誰がどの案件をどこまで対応しているのかなどの進捗管理が非常に煩雑でした。

また、確認をとる部門ごとにExcelの書式がバラバラで必要な項目の入力漏れも多く発生しており、期日の遵守が必要にもかかわらずとても非効率な状態が続いていました。知財管理のサイクルにはさまざまなプロセスがあって、新規の出願から審査請求の要否、拒絶理由通知への応答要否、権利維持の要否など保有している権利の定期的な管理だけでも膨大になるので、メールやExcelだけで回すのはやはり限界がありました。

そこで、SmartDBを使って岡本さん自身でデジタル化することを選ばれたのですね。
元々システム開発は未経験だったと思いますが、自分でアプリを開発することに抵抗はありませんでしたか?

岡本さん

当時は私も知的財産部に異動してきたばかりだったのですが、紙やExcelを中心とした業務に煩雑さを感じていて、とにかく自分の業務を楽にしたいという想いが強くありました。実際にSmartDBの画面を触ってみるとそれほど難しそうに見えなかったので「じゃあ自分でやってみようか」と開発に取り組み始めました。

最初にどの業務からデジタル化に着手したのですか?

岡本さん

権利維持を判断するためのワークフローから進めました。自社で保有する権利を維持するためには年金と呼ばれる特許料を払う必要があるのですが、これはその支払いの要否を判断するための業務です。

まとめて処理する件数も多く課題を感じていたこと、業務間隔があくため開発の時間を確保しやすかったという事情もあって、最初に選びました。そこから少しずつ広げていって、今では出願承認から特許庁からの拒絶理由通知への対応、知的財産部のなかで計14個の業務アプリを運用しています。

権利維持判断業務のBEFORE/AFTER

未経験から14個もの業務アプリを開発しているのはすごいですね。開発は大変ではなかったですか?

岡本さん

最初のアプリ開発には時間をかけましたが、慣れてからはその応用でつくることができ、最後のほうは数日で開発できていました。SmartDBはノーコードなので、基本的なルールを理解できればパズルのような感覚で構築できることが、未経験からでも短時間で業務アプリをつくることができた要因だと思います。

一方で知的財産は営業秘密の情報も含まれるので、どの情報をどの範囲まで公開するのかといった権限や運用ルールの設定には気をつかいました。ただそこもルールさえ決めてしまえばSmartDB上では簡単に設定できるのでとても助かりました。

業務アプリを開発するうえで特に意識したことを教えてください。

岡本さん

初めて使う人にもわかりやすく操作性の高い画面にできるよう、入力項目や申請状況を把握しやすいような部品の配列や配色を心がけました。 また、Excelで運用していた時に各部署でバラバラだった書式を統一してフォーマットの標準化をおこなっています。部署ごとに細かな要望をすべて取り込んでしまうと管理が難しくなってしまうので、原則として部署ごとの独自項目は残さず標準化を優先しました。もし、運用するなかで改善点があれば自分ですぐに修正をおこなえることもノーコードのメリットだと思います。

デジタル化によって、どのような効果が出ていますか?

岡本さん

書式を統一し、各部署が同じフォーマットで回答できるようにしたことで入力漏れやミスの減少に繋がっています。また、知財管理の業務は関係者が多く、各フローのリードタイムも長いため進捗の管理が大変です。SmartDBでは進捗が可視化されるので確認の手間も省けますし、承認者もメールを開いてExcelをダウンロードして…という手間から解放されて2クリック程度で承認できるようになっています。結果として全体で年間100〜200時間ほどの工数を削減しています。

SmartDBでデジタル化した知財管理業務

岡本さん、ありがとうございました!

最後に三浦さんに今後の展望を伺いたいです。
SmartDBの事務局として全社で市民開発を進めていくなかで、知的財産部での活用は大きな成果なのではないでしょうか?

三浦さん

そうですね、知財管理のような専門性が高い業務でも現場でのデジタル化ができたことはいい成功体験になりますし、人事部や販売管理部に続いてSmartDBでの市民開発に興味を持ってもらうきっかけになってほしいです。

SmartDBは今後も現場主導で業務を見直し、部門横断・全社共通の業務基盤へと発展させていくためのプラットフォームとして、業務プロセスの標準化、データの一元化、そしてDX人材の育成を同時に進める役割を担っていきます。将来的にはまだ活用が進んでいない部門・業務やグループ会社にも展開し、現場で育ったIT人材が業務を改善し、その人たちが次のIT人材を育てて新たなアイデアが生まれるというようなサイクルが回ればいいなと思っています。

最後に、今後のドリーム・アーツ及びSmartDBに期待することがあれば教えてください。

三浦さん

積水化成品工業の運用に即したベストプラクティスの共有や、現場・情シス双方に寄り添った伴走支援、そして4月より導入されるPractical AIの活用など、より一層の価値提供を期待しています。

※SmartDB Practical AIオプションについてはこちら

三浦さん、岡本さん、ありがとうございました!
積水化成品工業での更なるデジタルの民主化の推進に向けて、引き続きドリーム・アーツとSmartDBもお役に立てればと思います。

※所属部署、役職、インタビュー内容は取材当時(2026年3月)のものです。