【レポート】セミナー「環境変化に対応する文教DXの今」

セミナー「環境変化に対応する文教DXの今」会場の様子
日時 2019年9月13日(金)
会場 日本マイクロソフト株式会社 品川本社
日本マイクロソフト株式会社 関西支店(サテライト会場)

去る9月13日、日本マイクロソフト株式会社にて、文教業界の最新動向および業務改革を支えるソリューションを紹介するセミナー「環境変化に対応する文教DXの今」を開催しました。
当日は、ユーザー法人である立命館大学から業務基盤高度化の取り組みについて、マイクロソフト社からは大学におけるTeams活用についてお話しいただきました。また、ドリーム・アーツからはさまざまな業務の電子化をノンプログラミングで実現する「SmartDB」をご紹介しました。

おかげさまで盛況のうちに終了したセミナーの講演内容をダイジェストでお届けします。


大学におけるTeams活用のご紹介とSINET-Azure新接続方法のご案内

日本マイクロソフト株式会社 パブリックセクター事業本部 クラウドアーキテクト 中田 寿穂氏

日本マイクロソフト株式会社
パブリックセクター事業本部
クラウドアーキテクト

中田 寿穂

文教分野をご担当されている中田氏より、学校における働き方改革に関してTeamsを中心にマイクロソフト社の事例を交えてお話しいただきました。

教育業界ではWeb会議やペーパーレス、電子決裁が進んできていますが、マイクロソフト社も働き方改革への取り組みを昔から行っています。講演の中ではマイクロソフト社自体の取り組みもご紹介していましたが、この10年間で業務生産性は202%増、総労働時間は13%減、紙の消費率は79%減という変化が起きているそうです。ただ、グローバルで見ると日本マイクロソフトは働きすぎと評価されると続けて話されました。
そこで、会議設定は基本30分まで、会議の人数は多くて5人、コラボレーションツールTeamsを積極的に取り入れていこうと決め、会議に関するルールを設けているそうです。
Teamsはマイクロソフト社のサービスのなかでも新しく、2年前に提供開始したのですが、2019年8月時点でSlackのユーザー数を越えて、いまでは非常に多くのお客さまにご利用いただいています。

Teamsは他サービスと連携することで幅広い業務に活用できますが、メインはチャット機能を使ったコニュニケーションです。チャットに加え、会議機能を使うと会議に必要な音声・ビデオ・画像もかんたんに共有することができます。本日のセミナーもTeamsを使って日本マイクロソフト関西支店のサテライト会場へリアルタイムで講演の様子をお届けしていました。メールだと定型文を含めて長文になるところを、チャットだと1/5程度の文字数に削減できるといいます。さらに、会議予約はメールのOutlookと連携していれば、そこからスケジュール予約も可能。その他にも、タブ機能、会議の議事録としても有効なOneNote、タスク管理を行うPlannerといった機能やサービスについても詳細をご説明いただきました。

Teamsの授業での活用例として、オーストラリア17,000名の学生を対象に学生同士や学生・教員間で交流できるコミュニケーションハブとして活用している事例を動画でご紹介いただきました。ひとつの学習コミュニティができることで、講演資料はすべてTeamsで、質問に対して学生同士で教え合うインタラクティブな学習ができているそうです。

後半は、2019年10月よりサービス提供開始する学術情報ネットワーク「Azure – SINET Direct Connect」についてご案内いただきました。
「サービスも日々変わっていますので、学校にてご希望の場合はぜひご利用いただければと思います」と中田氏。

以上、中田氏からは教育業界の働き方改革を変えるための具体的なサービスとヒントをご教示いただきました。


学校における働き方改革
業務改革・改善を実現する「SmartDB」のご紹介

株式会社ドリーム・アーツ カスタマーサクセス統括本部 アカウントエグゼクティブグループ 馬本 高志

株式会社ドリーム・アーツ
カスタマーサクセス統括本部
アカウントエグゼクティブグループ

馬本 高志

ドリーム・アーツの文教営業担当 馬本からは、文教業界を取り巻く環境と、お客さま活用事例を交えながら「SmartDB」をご紹介しました。

みなさんご存知かと思いますが、文部科学省が提示している18歳の人口推移と大学進学率のデータからもわかる通り、学生の方々の人口はこれから減少していく予測となっています。
大学進学者数は2017年の63万人をピークに緩やかに減少し、2040年には51万人にまで減少することがわかります。その反面。大学数は現在まで増加傾向にあるため、競争はより一層激化し、生き残るためには他校にはない差別化、イノベーションが必要だと理解しています。

しかし、生き残りをかけて取り組む業務改革にはさまざまな壁があると思います。

たとえば、特に文教業界では、制度改革が頻繁に行われ、制度改編にITの対応が追いつかないなどが考えられるのではないでしょうか。また、職員・教員・学生とさまざまな立場を考慮したうえでオペレーションがなされるため、業務が複雑になりがちです。
柔軟に対応できるシステムがなく、どうしても紙業務が残ってしまっている学校、企業の声をよくお聞きします。

そこで今回は本質的な業務改革を推進するための、業務とその変化にスピーディに対応できる業務改革クラウドとして有用な「SmartDB」をご紹介します。

「SmartDB」には3つの特長があります。

  • 情報システム部門以外の人でも直感的に操作・作成できる「ノーコード開発プラットフォーム」
  • いかなる業務にも対応できる「柔軟なフロー設定」
  • APIを保持しているため「他ソリューションとの連携が容易」

という3つです。

最後の他ソリューションとの連携については、たとえば申請業務において、教職員や学生がPCまたは自身のモバイルでフロントシステムにアクセスします。申請を起案すると「SmartDB」のワークフローが開始されます。申請が承認されると、お手元のモバイルに通知が届き、それらの情報や承認履歴は「SmartDB」のデータとして蓄積されます。これらのデータを活用して基幹システムと連携し、大量のデータを分析、OneDriveのファイルとデータを書き出すこともできます。このように業務のなかで他ソリューションとの連携が必要な場合はシームレスに業務を遂行できる仕組みが「SmartDB」には備わっています。

また、Office 365との連携も強化しており、「SmartDB」の最新版では、標準機能でOneDriveとの連携が実現可能となっています。今後もTeamsやPowerAppsとの連携強化を検討してまいります。


今こそ大学にDXを!立命館が目指す業務基盤高度化の取り組み
~SmartDBでの開発スタイルと利用事例~

立命館大学 情報システム部 部長 田尻 実氏

立命館大学
情報システム部 部長

田尻 実

ユーザー法人である、立命館大学は、学校法人立命館のご紹介から始まり、環境の変化と課題、立命館大学の業務基盤高度化の取り組みについて田尻氏からお話しいただきました。
後半は岡氏より、業務基盤高度化を支えた「SmartDB」の導入経緯と開発スタイル、活用事例についてご紹介いただきました。

2030年に向けて、バックキャスト指向で立命館の未来を再考しようと、常に動き続けることを念頭に、少子化、入学定員の厳格化、教育の質的向上、グローバル化、ダイバーシティ、高大接続など山積する改革課題へ対応しています。
情報システム面でいうと、独自でつくった事務情報システムの汎用機を1980年代から使い始めており、機能改善をしたくても開発負荷が高く、メンテナンス用のための開発に終始していたそうです。
そこで業務基盤高度化が必要との認識が共有されるも、具体的イメージが伴っていないと本格的に全事務局から課題をピックアップし、100以上の声を集め本格的に業務基盤高度化が始まりました。

目的は業務Knowledgeの蓄積と共有、業務効率化・迅速化・客観化、業務リスクの低減、経営資源の適正配分です。そのために事務の電子化、事務をモニタリングなどの施策を、文書・ワークフローのデジタル化をすることで情報システム部、総務部、人事部を主体とした「業務基盤高度化推進委員会」で進めていきました。

「SmartDB」でデジタル化したのは以下の業務です。

「SmartDB」でデジタル化した業務

「2010年頃、文書管理とワークフローシステムおよび文書データーベースを導入したものの、利用範囲が拡大せずシステム更新をおこなわなかった経緯があり、今回のワークフロー電子化は立命館大学にとって挑戦でした」と田尻氏。
開発コストやプログラム開発が伴うなどの「システム整備に関するハードルの高さ」、Web申請に対する期待が希薄で「紙書類をデジタル化する積極的な取り組みがなかった」こと、そして「業務をデジタル化する必然性が乏しかった」ことが背景にありました。

それでも「SmartDB」を選択した理由は、「まさに私たちが探し求めていたもの」と続けられました。
ひとつのシステムで電子申請と文書管理ができること、一般的なワークフローシステムだと、学生が申請すると、職員のだれにワークフローがまわっているか見えてしまいますが、それを非表示にできますし、多層化したワークフローに対応できる点が特に評価されました。
その他にも、職員によって作成できる生産性の高さ(End User Development)や、ページリンクの発行方法や、フィルター機能など細かいところまで手が届くイメージだと語られました。

導入はトライアルで実現したい機能面を確認、「SmartDB」の「楽々活用Book」で自己学習を経て、ドリーム・アーツへお問い合わせをいただきました。あらかじめ「SmartDB」への理解が進んでいたこともあり、2,3回の打ち合わせで導入に至りました。

立命館大学 情報システム部 業務改善企画課 課長 岡 潤也氏

立命館大学
業務改善企画課 課長

岡 潤也

現在は、各部・課と協議のうえ導入効果の高いと考えられる処理件数の多いものから構築し始めているとのことです。構築の進め方については、全体最適、俯瞰的立場から、現場のニーズだけに偏らず、パイロットモデルを作成し、2~3回程度の担当者との打ち合わせで機能改修を行っていきます。次の工程で、各課が一般利用者向けの利用ガイドを作成しつつ、最終のテストを行います。もしウォーターフォール型の開発にしていた場合は泥沼にはまることもあるため、担当者が実物を見て、すぐその場で修正要望に対応できる印象をお持ちでした。ひとつの業務につき1~2ヵ月で運用開始になっています。

学内調整・合意形成、製品理解・プラットフォーム理解、仕様開発・開発標準策定に苦労しましたが、ノンプログラミング&クラウド(DreamArts クラウドサービス)に大きく助けられています。
Office 365からリンクを貼って、それぞれの「SmartDB」にアクセスできるようにしています。その後も、実画面を見せていただきながら会議文書や日報管理の活用事例をご紹介いただきました。作成中の会計関連申請はRPAを活用した運用を検討されているそうです。
「Excel以上にしっかり管理したいけれども、DBマスタを持ち出して専用システムを導入するまでにも至らない業務がたくさんあり、『SmartDB』はそのような業務にも最適だと考えています」と岡氏。

最後に、大学にとって業務のデジタルトランスフォーメーションは、デジタルネイティブ世代の学生や教職員の働き方を改革する課題であり、立命館としても変えていきたい課題。今後も取り組みを続けていく旨をメッセージとして発信し、75分に渡った熱い講演は終了しました。


いかがでしたでしょうか。

ドリーム・アーツは今後もお客さまの「現場力強化」、 「協創力向上」の実現に役立つサービスを提供してまいります。