グループウェアは、現代の経営システムではもはや当たり前のツールになりつつあります。企業は、グループウェア導入により大きな業務改善が期待できます。そもそもグループウェアとはなにか?本記事ではメリット・デメリットを含めてご紹介します!
グループウェアとは
「グループウェア」とは、ネットワークを使用することで企業内の情報共有やコミュニケーションを円滑にし、業務効率化を促進するためのツールを意味します。メールやスケジュール管理などの機能が1つのシステムに統合されたものをグループウェアと呼びます。
企業では、複数人のメンバーで業務やプロジェクトを進めます。このような場合、メンバー間での連携、意思疎通が不可欠となりますが、関わる人数が増えれば増えるほど、円滑なコミュニケーションは難しくなります。
業務・プロジェクトの進捗確認や会議の日時や場所の調整、備品貸出の予約など、これらをスムーズに進めるためには電話やメールだけでは非常に不便です。電話であれば不在時は相手の意向をキャッチできませんし、メールでは返事が迅速に返ってくるという保証はありません。
このようにグループで協調・協業する際は、はじめに意思疎通の壁が立ちはだかるでしょう。この課題をITの力で解決し、協調・協業を加速させるシステムとしてグループウェアは効果を発揮します。
グループウェアの主な機能
グループウェアには、具体的にどのような機能があるのか、代表的なものをご紹介していきます。
スケジュール管理
社内でミーティングを開くには、まず参加者全員のスケジュール調整が必要です。また、会場となる会議室の予約もしなければなりません。グループウェアのスケジュール管理機能では、個人だけでなくメンバーのスケジュールを共有し把握することが可能です。
スケジュール管理機能を活用することで、いつだれがいるのか、今どこにいるかなど、上司や同僚の行動も一目で把握できるため、調整がスムーズに進みます。
ホワイトボードを使ってメンバーのスケジュールを確認する企業もあると思いますが、リアルタイムに状況を把握するためには今やグループウェアは欠かせないツールとなっています。
設備予約
会議室や社用車、プロジェクターなど、組織の共用設備を一元管理し予約状況を把握することができます。その予約実行や利用状況の確認は自席でおこなうことが可能です。
設備グループ単位で管理できるため、複数の設備の予約状況を同時に把握できます。また、スケジュールと連携することで、会議の予定を登録する際にあわせて会議室やプロジェクターの予約をすることも可能です。
掲示板・インフォメーション
周知したい社内の通達事項やお知らせを掲載できます。発信する内容や部門ごとにカテゴリ分けをすることにより、メールでの共有で起こりやすい、「情報が埋もれる」という問題を防ぐことができ必要な通知を受け取ることができるようになります。
全従業員だけでなく、特定のメンバーやグループに掲示と制限することも可能です。また、事前に公開日時を予約することができ、自動的に掲載開始できる機能がある場合もあります。
文書管理
社内の規定集や契約書など、日々参照する重要な社内文書を一元管理し共有することができます。その都度、席を立って書類を取りに行くことや、ファイルサーバー上を検索する必要がないため、業務効率もあがります。
就業規定や社内規定など紙で保管されているため閲覧しにくい、社内で保管された文書が多く対象文書がすぐに見つからない、文書の更新履歴がわからないなどの課題解消に効果があります。
ワークフロー
稟議書や旅費精算など、各種届出や申請書類を、迅速に作成して承認フローにのせることができます。承認は外出先からでも可能なので、決裁業務のスピード向上に役立ちます。
また、適正なルートをシステム上で設定することで、都度承認ルートの確認をせずともスムーズに申請することができます。各書類はデータ化され保存されるため改ざんのリスクも減り、内部統制強化にもつながります。
ワークフローシステムとは
グループウェア導入のメリット
情報共有・業務連絡の効率化
グループウェアを活用することで、これまで紙で作成していた資料を電子データとして簡単に社内で共有することが可能です。また、各プロジェクトの期限や進捗を共有できる機能(プロジェクト管理)により、メンバーの業務進捗を可視化できるため、各人の業務連絡・進捗報告の負担を軽減することができます。このように、組織が大きくなるほど、グループウェアはメリットを発揮します。
社内コミュニケーションの活発化
社内の連絡にメールや内線電話を使用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。メールでの連絡では、都度送信先を指定する手間が発生してしまいます。内線電話も不在時には折り返し連絡を要求する必要があり、効率的とは言えません。
グループウェアのチャット機能を活用すると、対象者にのみ個別でメッセージを送ることはもちろん、グループ単位で連絡することも可能です。
ペーパーレス化
書類や資料の管理・保存をグループウェアの機能に移行させたり、アンケートをWeb上で実施したりすることにより、従来の紙の保管スペースや印刷にかかっていたコストを削減することができます。文書もデータとして保管されるため、探す手間も省けます。共有の際も個別に配布する必要はなく、一括でデータとして共有できるため効率があがります。
ペーパーレス化の導入方法とは?
テレワーク環境にも最適
昨今のような対面でのコミュニケーションができない状況のなかでは、従来以上に意思疎通や情報共有が重要になるうえ、メンバーの業務の進捗確認も必要となります。
グループウェアを活用することで、時間と距離の制約を超えることができます。そのため、テレワーク下でもスムーズに意思疎通を図れ、業務進捗も容易に把握できます。
また、クラウド型グループウェアを使うことにより、外出時でもすぐにパソコンやタブレット、スマートフォンでコミュニケーションをとることが可能です。
リモートワークを導入するための課題は?
承認・決裁作業が簡略化
ワークフロー機能を活用することにより、システムのなかで申請に対する承認作業をおこなえます。これまで、オフィスに出社して上司のハンコをもらうなど手間のかかる作業をおこなっていた企業も、この機能を活用することで時間短縮、業務効率化につながります。 また、スケジュール機能により上司の状況や、ワークフロー機能からどこで承認が止まっているかなどの承認までの一連の流れをシステム上で把握できます。
グループウェア導入デメリット
部門・組織を超えたコミュニケーションには不向き
多くのグループウェアでは、チャットや掲示板などを作成する際は、管理者に許可をとる必要があります。そのため、部門・役職を超えてコミュニケーションを図る場合は使いづらいでしょう。
たとえば、稟議申請業務では複数の部署・部門をまたぐコミュニケーションが必要で、関係者に事前調整をするケースがあります。稟議内容によって、その案件に関わる部署・役職が変わるため、グループウェアでその都度チャットや掲示板を作成するのは現実的ではないでしょう。
導入費用がかかる
基本的にはグループウェアを導入するには費用が発生します。無料で利用可能なグループウェアも一部存在しますが、その機能や利用人数に制限が設けられている場合が多いです。グループウェア製品によって機能の充実度や得意とする領域が異なり、設定される利用料金もさまざまです。
導入の際はいくつかの製品を比較して検討するようにしましょう。グループウェア導入にはコストがかかるため、検討の際は「グループウェアを使ってなにを実現したいか」を明確にし、自社に合った機能・要件を満たす製品を選択しましょう。導入目的が不明確で、社内に活用が定着しない状況では、せっかく導入したグループウェアが無駄になってしまいます。
機能には限界がある
グループウェアには「さまざまな業務を網羅的に実現できる」というメリットがありますが、それぞれの機能自体は不十分である場合があります。
たとえばワークフロー機能の場合、一般的な承認ルートは設定することができますが複雑な承認設定などに対応していないことが多く、本来実現したかった業務を実現できない、というケースもあります。グループウェアの機能を超えた活用をする場合、新たなシステム設計、運用する業務の制限や業務フローの見直しが発生します。
グループウェア導入の際は実現したいことが本当に実現可能かをよく確認するようにしましょう。
グループウェアの導入形態による違い
1990年代に登場したグループウェアですが、その導入形態は大きく2種類あります。
- オンプレミス型:自社が保有するサーバー上にソフトウェアをインストールして、運用管理
- クラウド型:オンライン上のサーバーで提供されているソフトウェアを、インターネットを通して利用
オンプレミス型
メリット
- 組織の風土や文化・目的に応じて、自社できめ細かく機能をカスタマイズできる
- 社内ネットワークを介して利用するため、管理体制が適切であれば社外への情報漏洩のリスクが少ない
デメリット
- 自社でサーバーを調達する必要があり、導入コストが高い
- サーバーおよびクライアント用のソフトウェアを運用管理し続ける作業負荷が大きい
- 社外から外部ネットワークを介して利用するためにはVPN接続などの設定が必要
クラウド型
メリット
- サーバーを調達する必要がなく、導入コストが少ない
- サーバーやインフラ環境を社内で運用管理する必要がない
- インターネット接続環境さえあれば、どの端末からでも場所を問わず利用可能
- アカウント登録が完了するとすぐ利用することができる(インフラ調達期間が短い)
デメリット
- 多くの組織では共同利用することを前提としているため、カスタマイズには一定の制限がある
- 外部サーバーとのネットワークを介してアクセスするためセキュリティには多少のリスクが伴う
グループウェアの導入事例
不動産会社A社
A社では、グループウェアを導入して8年間の間に業績を31倍まで伸ばしました。それまでビジネス向けのクラウドサービスを利用していなかったA社でしたが、導入することによってスケジュール・タスクを全社で共有し仕事の円滑化・効率化に成功しました。チーム同士のコミュニケーションの基盤化、マルチデバイス化することで、社外でも活用できるIT環境を整えていきました。グループウェア導入により残業時間・離職率も低下したので、結果的に働き方改革にも繋がりました。A社では、グループウェアを導入して8年間の間に業績を31倍まで伸ばしました。それまでビジネス向けのクラウドサービスを利用していなかったA社でしたが、導入することによってスケジュール・タスクを全社で共有し仕事の円滑化・効率化に成功しました。チーム同士のコミュニケーションの基盤化、マルチデバイス化することで、社外でも活用できるIT環境を整えていきました。グループウェア導入により残業時間・離職率も低下したので、結果的に働き方改革にも繋がりました。
保険会社B社
従業員が1,000名を超えるB社では社員の情報共有を改善するためにグループウェアを導入。情報連携の質を向上させ、業務効率化やナレッジ共有、承認決裁の迅速化などを実現し、業務品質・顧客満足の向上に効果を出しています。事業の成長により組織規模も拡大していましたがそれに耐えうるシステム導入を検討され、グループウェア導入を進められました。 導入により情報共有のスピード向上につながっています。
まとめ
いかがでしたか?
お伝えしてきたように、グループウェアにはさまざまな機能があり非常に便利な一方でデメリットや考慮すべき点も多くあります。自社の課題をまず整理して、本当にグループウェアでその課題を解決できるかをよく考えて比較しながら導入検討を進めていきましょう!
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この記事の執筆者:上野谷 (マーケティング本部)
金融機関に新卒入社し、3年間ほど個人営業、法人融資などの業務を経験。
2020年にドリーム・アーツに入社し、本部-店舗間コミュニケーションツール「Shopらん」のマーケティングを担当。2021年からInsuiteX、SmartDBも担当しています。