2022年9月27日、ドリーム・アーツ主催のイベント「デジタルの民主化DAY Special- DXに立ち向かう大企業の先進事例-」を開催しました。
デジタルの民主化DAYとは、日本をリードする大企業が集い、デジタルトランスフォーメーション(DX)実現に必須の「デジタルの民主化」について語り合うイベントです。
第4回となる今回は、日本航空さま、大和ハウス工業さま、三菱オートリースさま、立命館大学さまなど、豪華6企業にご登壇いただき、各社の「デジタルの民主化」への取り組みや、社内のデジタル化推進体制などをテーマにお話しいただきました。
イベント全編を収録したアーカイブ動画や講演資料はこちらからダウンロードいただけます。
目次
講演:
DXに立ち向かう組織に求められる「デジタルの民主化」
最初の講演では、ドリーム・アーツの長濱からイベントの根幹である「デジタルの民主化」という考え方についてお話ししました。講演内容をこちらの3分動画にまとめておりますのでご覧ください。
動画でもご紹介したとおり、ドリーム・アーツは「デジタルの民主化」の実現を支援しています。ここからは、ドリーム・アーツのソリューションをご利用いただいている日本航空さま、大和ハウス工業さまから「デジタルの民主化」への取り組みについてお話しいただきました。
ユーザー講演1:
JALの経営戦略と「デジタルの民主化」
日本航空さまでは、以前より「SmartDB」を社内の業務基盤として導入いただいておりましたが、最近の社会環境の変化に対応するため、「SmartDB」の社内システムとしての立ち位置も変化してきています。
今回のイベントでは、「JALの経営戦略と『デジタルの民主化』」と題して、日本航空さまの経営戦略や中期経営計画の概要をお話しいただきつつ、全社の「生産性の向上」に寄与する「デジタルの民主化」の取り組みについてお話いただきました。
日本航空のデジタル化推進を阻む課題
2030年に向けた、日本航空の企業価値向上のための中期計画の1つに「生産性の向上」を挙げています。デジタル化の取り組みを推進するなかで、大きく3つの課題に直面しました。
【日本航空のデジタル化推進を阻む課題】
- 要員
社内でのデジタル化ニーズは高まる一方で、対応する要員は限られているため、すべてのニーズに応えきれない。 - コスト
システム化のためにベンダーに発注すると、費用対効果が十分得られない小規模な案件も多くある。そういった案件は、結果として断念せざるを得なかった。 - スピード
日本航空のデジタル化・システム化は、ウォーターフォール型のフローを経ていたため、サービスインの段階において、すでに要望が変化しており、結果的に使えないシステムになるというケースがあった。
社内のデジタル化推進体制と「SmartDB」の活用範囲
日本航空では、ファストシステム開発(=「効率的に」「早く」「安く」アプリケーション開発すること)の実現に向け、2022年度よりファストシステム開発推進体制を構築・開始しています。この体制によってあらゆる業務のデジタル化案件は、開発難易度に応じて「ユーザー自身で開発するもの」と、「システム担当者が開発するもの」に分類しています。
「SmartDB」の活用範囲は「ユーザー開発」、「システム担当者開発」いずれの分類にも対応できるため、多くのアプリケーション構築、デジタル化の実現に役立っています。
講演の後半では「デジタルの民主化」による効果や、デジタル化案件の分類フローなどについても詳しくお話しいただいています。詳しくは動画と資料でご確認ください。
ユーザー講演:
人事部員が見出した「デジタルの民主化」の価値
大和ハウス工業さまには、2020年に「SmartDB」をご導入いただき、現在は19,000名でご利用いただいています。
今回のイベントでは「デジタルの民主化」という考え方や「SmartDB」との出会い、「デジタルの民主化」の取り組みから大和ハウス工業さまが実感された「価値」について、当時の心情を振り返りつつお話しいただきました。
人事部が直面していた業務課題化
大和ハウス工業は、1955年創業の住宅総合メーカーです。一戸建て住宅をはじめ、賃貸住宅、事業施設、環境エネルギーなど幅広い事業領域を手掛けており、社員数は2022年4月時点で1万6500人を超えます。
人事部給与・厚生グループでは、給与や福利厚生など人事に関連するさまざまな申請を受け付け、処理しています。15人のメンバーで、社員から届く膨大な申請を毎月の給与支給日に合わせて処理する必要がありました。
紙の申請書が必要な業務も多く、記載事項に不備があった際の問い合わせなどで担当者に高い負荷がかかっており、紙があるのでテレワークも難しい。将来的なことを考えると、ITによる業務の標準化、効率化が必須の状況でした。最近ではコロナ禍を契機に、グループ各社の稟議書など、従来紙やExcelで運用されていたワークフロー系業務のデジタル化要望が一層増えてきています。
しかし、人事業務には法改正や制度変更など、重要かつ期日が明確にある案件も多く、ERPベンダーの開発工数にも制限があるため、業務効率化の対応はどうしても優先度が低くなってしまいます。そのため、順番待ちをしていては一生業務の効率化・改善はできません。一時的に費用をかけ開発枠を増やして対応したとしても、状況は変わっていくため根本的な解決にもならないのです。
「デジタルの民主化」実現で課題を解消
ならば自分たちでも開発できるツールを探そうと考え、ITスキルがなくても開発できるというRPAを人事部主導で導入し挑戦もしましたが、思うように開発はできず、失敗に終わりました。そんなときに出会ったのが「SmartDB」です。
ドリーム・アーツさんのサポートも受けつつ、社内の推進体制を構築し、本格的な「デジタルの民主化」の取り組みを開始。その結果、約3ヵ月で26業務のデジタル化を実現できました。
講演の後半では、「デジタルの民主化」実現に向けた体制構築のポイントや、前述した3ヵ月で26業務のデジタル化(太字)という結果だけにとどまらない、「デジタルの民主化」がもつ価値についても詳しくお話しいただいています。詳しくは動画と資料でご確認ください。
パネルディスカッション:
「デジ民」を成功に導く!推進体制ベストプラクティス
ここからはパネルディスカッションの様子をご紹介します。「デジ民」を実現するにあたっての各社の推進体制をテーマに、三菱オートリースさまと日本航空さまにお話しいただきました。
デジタル化のきっかけ
DA上野谷
まずは、メインテーマである「デジ民」のお話に入る前に、デジタル化に取り組まれたきっかけを教えてください。
一番のきっかけはコロナでした。非常に多くの紙業務が残っており、テレワーク環境でも業務を滞りなくおこなう仕組みを早急に導入する必要があったので、その仕組みのひとつとして2021年5月に「SmartDB」を導入しました。
弊社も同じく、コロナが大きなきっかけとなりました。コロナ以前からデジタル化の要望はありましたが、リソース不足や投資対効果の見極めに時間がかかったことなどを理由に、先送りとなっていました。コロナ禍に入りデジタル化の実現が急務となったことで、従来の外注前提の発想から、社内の業務効率化は「低コスト」かつ「スピード感重視」で実現しようという発想に変わり、「SmartDB」を活用した現在の取り組みに繋がっています。
「デジ民」推進のきっかけ
DA上野谷:
やはりコロナ禍は企業のデジタル化加速にも大きく影響を及ぼしていたのですね。三菱オートリースさまではすでに「デジタルの民主化」が社内に浸透されていると思いますが、ここまで浸透したのには、なにかきっかけがあったのですか?
「SmartDB」の導入は、まずはとにかくやってみようの精神で、少し強引に進めました。初めのうちは現場の混乱もありましたが、川田のクイックかつ適切な対応のおかげで、徐々に浸透していきました。
少しずつ業務展開が進むにつれ、多くの現場から「自分たちのほかの業務も『SmartDB』でデジタル化したい」との声がでてきたときには、「これはイケるな」と感じ、本格的に「デジタルの民主化」の取り組みを開始しました。
DA上野谷:
つまり、川田さんの素早い対応が「デジタルの民主化」の後押しになったということですね!
企業の目標や方針
DA上野谷:
話は変わりますが、「デジ民」の推進には、企業としての目標や方針が前提にあるかと思います。JALさんでは実際のところいかがでしたか?
前のセッションで、弊社下田からもお伝えしたとおり、ESG戦略の一要素として生産性向上を掲げています。生産性向上には社内の業務プロセス改善が最も有効で、これの実現にはデジタル化が必須だと認識しています。
さらに、現在のデジタル化ニーズに対応するためには、従来のSIerやパートナー会社によるウォーターフォール型の開発だけではなく、ユーザー部門にてノーコードツールの開発スキルを習得し、アジャイル型の開発を推進することが重要だと考えています。これが「デジ民」推進の前提となる弊社の考え方です。
DA上野谷:
なるほど、下田さんの講演にもあった、経営戦略のひとつの柱でもある生産性向上の取り組みとして「デジ民」が適していると考えられたわけですね!では、三菱オートリースさんではいかがですか?
デジタル化の取り組みを開始したのは、コロナがきっかけだったとお話ししましたが、やはり速やかなテレワーク実現のため、とにかくスピードを重視したデジタル化が目標でした。対象業務が非常に多かったこともあり、早急にデジタル化を実現できる手段を検討する必要がありましたね。
DA上野谷:
“多く”というと、具体的にはいくつの業務がありましたか?
2021年5月導入時の対象業務数は200業務で、実際にデジタル化できています。これにはポイントがあって、いきなりすべての業務アプリを開発したわけではありません。まずはとにかく、紙の作業をなくすために汎用的に使用できる「なんでもワークフロー」という業務アプリを作成しました。これまでExcelやWordを印刷し回付・押印していた業務をこのアプリに集約し、印刷・押印・保管の作業を不要にしました。
この続きはアーカイブ動画にてご視聴いただけます。具体的な両社の「デジ民」推進体制や、開発メンバーのモチベーションをどう上げるかといった「デジ民」推進にあたっての課題、さらに、実際に取り組んでわかった大切なポイントなど、非常に濃厚なディスカッションの様子をご覧いただけます。
ぜひ「デジ民」推進企業の生の声をお聞きください。
講演:
デジ民の真意とDXの真相
最後にドリーム・アーツの野﨑からは、従業員数1,000名以上の大企業に勤める方を対象とした調査結果をもとに、近年のDXや「デジ民」に対する大企業の動向についてお話ししました。
DX/デジタル化戦略の概念として一般化されつつある「デジ民」
現代社会は、これまで以上にいつなにが起きるかわからないVUCA時代となってきています。企業活動においても、素早く変革をし続ける必要が一層高まり、DXは不可避なものになっているのではないでしょうか。
これまでもドリーム・アーツは、DX実現における必須の考え方として「デジタルの民主化」を訴えてきました。少しずつこの考えに共感・賛同いただき、取り組まれる大企業も増えてきています。
弊社がおこなった調査では、「『デジ民』に成功していますか?」という設問に対し、2022年1月時点では「成功している」と回答したのがわずか18%だったのに対し、同年8月の調査では39%以上が「成功している」と回答しました。この結果から、「デジ民」は今や「先行企業が挑戦している」というフェーズから、多くの企業が「成功体験を掴む」状態にまでなってきていると言えます。
デジ民の先に見えてくる課題
同調査における「デジ民の課題は?」という設問に対し、突出した回答数となったのが、「業務部門のスキル不足」と「業務部門のリソース不足」の2つです。
特に注目したいのが、「リソース不足」の課題です。この結果から、業務デジタル化におけるリソースの源泉となるはずであった業務部門のリソース不足が、そのほかの課題を差し置くほどに無視できない状況になってきているのだと推察できます。
その一方で、デジタル化のニーズはこれまで以上に広がってきています。つまり、デジ民によって新たに獲得できていたデジタル化パワーだけでは、すでに不足してきており、今後さらにIT部門も業務部門もリソース不足が顕著になっていくと考えられます。
そこで、今後ドリーム・アーツでは次の2テーマを軸に注力していきます。
- 「SmartDB」ユーザーにおける社内デジタル化要員の拡大
- 外部パートナーの有効活用
そのための目玉施策として、「SmartDB」の認定制度を策定します。
1つに、「SmartDB」ユーザー企業内の個人を対象としたエキスパート認定によるデジタル化要員の拡大支援。
2つに、企業を対象としたパートナー認定による外部パートナーの有効活用と、パートナーとなる企業の新たなビジネス創出に貢献していきます。
デジタルの民主化DAY Special特設サイト
すべての企業が、積極的であるかどうかに関わらず「DX」という波に巻き込まれる時代。これまで根付いた日本社会のデジタルに対する考え方をひっくり返し、発想を転換させる。そんな日本のリーダーに相応しい大企業の「デジタルの民主化」事例をご紹介します。
詳細はこちら
3分でわかる「SmartDB」
大企業における業務デジタル化の課題と、その解決策として「SmartDB」で、どのように業務デジタル化を実現できるのかをご紹介する資料を公開しました。ぜひご覧ください。
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