カギは「デジタルの民主化」 大企業のDXを支える業務デジタル化、先進企業3社の事例

ドリーム・アーツ主催のオンラインセミナー「デジタルの民主化DAY - DXに立ち向かう大企業の先進事例 -」(2022年1月25日)において、同社のノーコード/ローコード開発基盤「SmartDB(スマートデービー)」を導入した企業が、自社の業務デジタル化について語った。大企業が挑む「デジタルの民主化」とは。

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DX成功のカギは「デジタルの民主化」

ドリーム・アーツの野﨑智裕氏(執行役員 マーケティング本部 本部長)は「部門ごとに個別最適化されたシステムや紙業務、外部に依存した運用体制など業務プロセスのデジタル化には課題が多く、これらがDXに向けた新しいチャレンジを阻害する」と指摘する。

IT人材の不足も深刻だ。「業務に精通する現場は変革を望む一方でITスキルが不足し、情報システム部門は高いデジタルリテラシーを持つが既存システムの保守運用に追われて個別の業務に寄り添えない。そのため部門を超えた連携が困難になっている」(野﨑氏)

野﨑氏はこれらの課題を解決するカギは「デジタルの民主化」だと強調する。「情報システム部門主導のデジタル化には限界があり、発想の転換が必要だ。業務部門が自らデジタル化に取り組める環境を整備すれば、業務デジタル化のスピードは劇的に上がる。そしてデジタルリテラシーを持つ人材が育ち、DXに臨む企業カルチャーが醸成されていく」

「デジタルの民主化」を実現する基盤となるのが、ドリーム・アーツのSmartDBだ。

業務デジタル化のポイント

ドリーム・アーツの藤田 駿氏(マーケティング本部)によれば、SmartDBによる業務デジタル化のポイントは3つある。1つ目は「業務部門自らのクイックな業務デジタル化」だ。「SmartDBは特定の分野に限らず汎用(はんよう)的に利用できる。45種類の標準テンプレートをアレンジしてすぐに業務に適用可能だ。活用に困った際のサポートコンテンツも充実している」(藤田氏)

2つ目は「部門横断など高度な業務のデジタル化」だ。SmartDBは文書とワークフローの一元的な管理に強みを持つ。「個々の業務をデジタル化しても、その間にアナログの作業があれば業務は効率化しない。業務同士や『Microsoft 365』『Amazonビジネス』などの外部システムと連携して透過的なデータのやりとりを実現すれば、より高度な業務のデジタル化が可能になる」(藤田氏)

3つ目は「サクセスに導くベストプラクティス」だ。SmartDBは顧客のニーズに合わせた3種類の導入支援サービスを提供する。「例えば『オンボーディングプラン』は当社の専属のカスタマーサクセスマネージャーがプロジェクトに伴走してベストプラクティスを提案し、二人三脚でデジタルの民主化を支援する」(藤田氏)

SmartDBは、現場ならではの知識を持つ業務部門と新技術の知見を持つ情報システム部門の連携による業務デジタル化を支援するものだ。

「創造的破壊」によるDXとオフィス業務のデジタル化

地質調査や建設コンサルティングで知られる応用地質は、2020年に「DX注目企業」、2021年に「DX認定事業者」に指定されたDXの先進企業だ。中期経営計画「OYO Advance 2023」に従ってDXを核としたイノベーションを成長戦略に置く。

同社のDX戦略は、顧客を意識した「新規ビジネスモデル創出」と「既存ビジネスモデルの深化」、社内向けの「働き方改革、生産性革新的向上」の3つに分かれる。

オフィス業務のデジタル化は「働き方改革、生産性革新的向上」の取り組みに当たり、書類の完全デジタル化、100%ペーパーレス化を具体的な目標としてSmartDBを導入した。同社では年間受注数 約5600件の業務を、ISOに適合した業務マニュアルに沿って進めてきた。現場から課題感を訴える声も多かったこの業務マニュアルと一連の業務プロセスを最大のターゲットとし、SmartDBでデジタル化。業務プロセスの進捗(しんちょく)状況の可視化や、進捗状況と発生原価をもとにした活動の定量化も進めた。

しかし、オフィス業務のデジタル化に関する取り組みは当初難航したという。同社の天野洋文氏(常務執行役員 情報企画本部長)は「新規ビジネスモデル創出におけるデジタル活用は、企画も実施部門もモチベーションが高い」と述べた上で、以下のように振り返った。

「社内にある全ての書類を一元化したいと考えたが、どうしても『現状のままでも問題ない』『規定やルールの変更が面倒』といった声があり、新たなシステムを導入することへの抵抗があった」

それに対して天野氏が率いる情報企画本部は、まず「ゴール」を提示した。「いつでも、どこでも仕事ができる環境整備」や「ペーパーレス100%の実現」を掲げ、システム導入後の姿を分かりやすく、素早く見せることで現場が新たな気付きを得られるようにした。程なくして無駄なタスクを“当たり前”としない雰囲気が生まれ、現場からは「書類の記載事項に無駄がある」「申請書類や作成書類を再整理すべきだ」など前向きな議論の声が寄せられるようになったという。

「真の変革とは技術の導入ではなく、人やプロセスの変化だ。これまでの『当たり前』を変えるために必要なのは、変化に対応できるテクノロジー。そしてなにより信頼できる協創パートナーを選び、変革のスピード感と導入後のコミュニケーションを保つことである」(天野氏)

コロナ禍が契機、紙と押印の脱却から活用を拡大

法人・個人を問わず日本全国で“ヒトとモノの移動を支える”モビリティサービスを提供する業界大手の三菱オートリースは、コロナ禍をきっかけとして本格的に業務のデジタル化に取り組んだ。2020年3月から交代制のテレワーク体制を導入したが、現場には紙や押印、郵送といった業務が残っていたため「出社せざるを得ない状況」が続いた。同社の森田武志氏(デジタル戦略部 部長)は「社内業務と承認ワークフローのデジタル化が急務だ」と判断してSmartDBの採用を決定した。

「全従業員に在宅作業用のパソコンとスマートフォンを配布し、2021年5月からシステムを本稼働させた」(森田氏)

同社はSmartDBの導入目的を「ペーパーレス化と効率化」に定めた。展開の方針として、第一フェーズでは「早期デジタル化」を完了させるべく、テレワーク環境でもスムーズに業務を進められる環境の整備を進めた。第二フェーズでは将来的なデジタル思考風土の醸成も視野に入れ「活用拡大」を目指した取り組みを実施している。

同社は第一フェーズにおいて、これまで紙に印刷し利用していた350の書式のうち、200の業務をデジタルに移行。既存の書式をそのまま流用し、SmartDBで構築した汎用ワークフローに添付する形でデジタル化した。その後、申請状況の分析により利用頻度の高い書式を可視化。それらのSmartDB移行を優先的に対応し、書式ごとの専用ワークフロー構築を進めていった。2022年1月時点で250業務のデジタル化を完了し、さらに取り組みは続いている。生産性低下を訴える従業員の割合は、テレワーク導入直後の半分以下になったという。

第二フェーズの活用拡大は、2021年10月から始めた取り組みだ。「部門間で発生する依頼業務をSmartDB化する」もので、対象業務は560種類に上る。数が膨大で多様な業務が含まれることからデジタル戦略部のみでの対応を見直し、社内で新たに「業務デザイナー」と呼ばれる開発メンバーを選抜した。加わった開発メンバーはSmartDBの強みでもあるノーコード/ローコード開発の学習を進め、デジタル戦略部はテンプレートを整備することで、効率的な現場主導のデジタル化と活用拡大を目指している。

「脱Excel」で年間1200件の開発を効率化

タイトーはアミューズメント施設の企画や運営、ゲーム開発を主軸とするアミューズメントサービス事業者だ。同社のマーチャンダイジング事業本部 MD本部室は、年間1200件にも上る新商品を開発する。1案件当たりの平均的なリードタイムは6カ月で、その一つひとつに100項目以上の情報がひも付く。同社は従来、それらの情報を全てExcelで管理していたという。

同社の渡邊朝哉氏(マーチャンダイジング事業本部 MD本部室)は当時を振り返り、以下のように語る。

「ひとつの案件には『商品ナンバー管理』や『進捗管理』『生産管理』などさまざまな観点でまとめられた個別のファイルがあり、それぞれが関連し合っていた。例えばなにかひとつの情報が変われば、そのデータが含まれるファイル全てを手作業で変更しなければならない。記載漏れや記載ミスが起きやすくなるため、膨大な確認作業が発生していた。情報がデータ化されておらず、分析や改善に生かせないという欠点もあった」(渡邊氏)

この課題を解決するため、同社はSmartDBを採用した。複数の候補製品を検討した結果、商品マスタとして利用できること、内製化や周辺業務との連携が容易であることなどを評価したという。

これまでExcelで作成していた商品や仕様書、進捗管理などに関するファイルをアプリケーション化し、各アプリケーションのデータを連携させた。入力規則の設定による記載ミスの予防や登録情報の一覧化による進捗の可視化を実現し、新しい企画の商品に固有の番号を割り当てるフローはワークフロー機能で自動化した。

「それぞれのファイルをアプリケーション化するだけでは、単なるExcelの置き換えにすぎない。ミスが発生しない仕組みの構築やアプリケーション同士のひも付け、ワークフローのデジタル化など、業務プロセス全体をデジタル化したことにより、手作業での転記や目視確認といった余計な作業工数を削減できた。今後は情報の可視化を進めてBI活用などに取り組み、業務の改善サイクルにつなげたい」(渡邊氏)

同社が今後目指すのは、業務効率化や一元的な管理といった当初の目的にとどまらない、SmartDBによる日常的な業務改善の実現だ。渡邊氏は「これこそが、デジタルの民主化の第一歩なのでは」と述べて、これからの活用拡大に熱意を見せた。

DXに取り組む企業の「デジタルの民主化」を支援

現状に課題があっても、改善の手段がなければ変革は進まない。業務デジタル化を加速させるには、全従業員が一丸となって変革に取り組むマインドとデジタルリテラシーを持ちあわせ、部門を越えた連携と協創が生まれやすい組織になる必要がある。

SmartDBのユーザー企業は、自社の「あるべき姿」を明確に掲げて業務デジタル化に取り組んでいる。ドリーム・アーツはDXに立ち向かう企業カルチャーを育てるため、多種多様な観点から「デジタルの民主化」を支援する。現場が自ら考えて自らの力で当たり前にデジタルを活用する環境を目指し、今後も「デジタルの民主化DAY」セミナーを通して大企業の業務デジタル化に伴走する考えだ。

▼関連リンク
【アーカイブ動画】デジタルの民主化DAY~DXに立ち向かう大企業の先進事例~
【イベントサイト】デジタルの民主化DAY

出典:ITmedia エンタープライズ「大企業のDXを支える業務デジタル化、先進企業3社の事例」(2022年3月30日)
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/2203/25/news001.html

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