電子契約とは?書面契約との違いやメリット・デメリットについても解説!

2018年ごろから急拡大した電子契約。テレワークの普及が進み、2022年1月から改正電子帳簿法が施行されるなど、注目度が高い状態が続いています。電子契約について、基礎知識から、導入のメリット・デメリットや選び方までをご紹介します。

電子契約とは

電子契約とは、電子データの契約書に電子署名をおこなうことで契約を締結する方法のことを言います。従来は紙の契約書に印鑑を押していましたが、紙の契約書の代わりに電子データ、印鑑の代わりに電子署名を用います。電子契約は、条件を満たすことで書面による契約と同等の証拠力を持ちます

書面契約との違いとは

下の図のように、書面契約と電子契約にはいくつか違いがあります。主な違いについて説明します。

書面契約 電子契約
形式 電子データ
押印 印鑑 電子署名
本人性の担保 印鑑証明書 電子証明書
改ざん防止 契印・割印 タイムスタンプ
送付方法 郵送・持参 インターネット通信
保管方法 書棚 サーバー
収入印紙 必要 不要

まず、名前の通り書面契約では紙を使用し、電子契約は電子データを使用するという形式の点で大きな違いがあります。そのため、押印は書面契約では印鑑を使用し、電子契約では電子署名などを用います。
また、「証拠力」や「業務フロー」に関しても違いがあります。
「証拠力」においては、書面契約では印鑑を使用するため、印鑑証明書で本人性の担保がされています。一方、電子契約における本人性の担保は、電子署名のため電子証明書を使って担保されます。
改ざん防止においては、書面契約では契印・割印で担保され、電子契約ではタイムスタンプによって担保されます。
「業務フロー」に関しては、書面契約では、契約書の送付時に郵送や持参という方法をとる必要がありますが、電子契約の場合は、オンライン上のシステムを使っておこなうことができます。保管に関しても、書類だと書棚など物理的な保管場所が必要ですが、電子契約だとサーバーに保存されるため、場所を取りません。書面契約では、収入印紙を使用しますが、電子契約では収入印紙が不要になります。こちらについては、この後詳しくご説明します。

電子契約では収入印紙はどうする?

先ほど電子契約では、収入印紙が不要となるとご説明しましたが、なぜ不要になるのでしょうか。

まず収入印紙とは、契約書や領収書などにかかる印紙税などの税金を国に対して支払う目的で発行される証票です。つまり、収入印紙が不要ということは、印紙税が不要ということになります。この印紙税とは、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など特定の文書に課税される税金です。収入印紙は、書面文書にかかる印紙税を払うときに必要になるため、電子データでやり取りする電子契約には該当しないということになります。

契約書に収入印紙を貼ることで納税をおこなう義務は、印紙税法第2条および第3条で定められています。しかし、印紙税法第2条には、「電子契約は非課税」とはっきり規定している記述はありません。ではなぜ印紙税がかからないと言い切れるのでしょうか。

なぜ印紙税がかからないのか

印紙税法第2条および第3条の運用ルールをさらに詳細に規定した、「印紙税法基本通達」を見ると、

法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう(印紙税法基本通達より抜粋)

通達目次/印紙税法基本通達|国税庁

とあるため、紙の書面に書いて交付することが「作成」行為にあたるということになります。 電子データはシステム上やりとりしますが、紙でないため交付はしません。
電子契約(データ)を締結(送信)することは課税文書の「作成」に該当しないため、印紙税は課税されないということになります。

電子契約を導入するメリット

印紙税などのコストが削減できる

先述のとおり、電子契約を導入すると印紙税と収入印紙が不要になるためコスト削減になります。ほかにも、書面契約で必要な印刷代や郵送費、封筒代、保管場所や保管料などのコストも削減できます。

契約業務が効率化される

書面契約では、印刷や製本、封入、送付など紙ならではの作業が発生します。それに比べて電子契約は、電子データかつ押印をオンライン上のシステムでやり取りするため、紙契約書に比べて工数が減るため契約業務の効率化につながります。

電子契約を導入する際に考えられるデメリットや注意点

取引先の協力が不可欠

電子契約は、電子データでやり取りし、電子署名が必要になるため、取引先に協力を仰ぐ必要があります。取引先によっては電子契約に対して拒否反応を示す場合もあり、電子契約のメリット・法的証拠力などを分かりやすく説明しなければならないこともあります。 もし合意が得られない場合は、取引先とは紙で締結し、取引先は紙の原本を保管して、自社はPDF化して電子保管するなどの運用が考えられます。

すべての契約に対応していない

電子契約が対応している契約は、実はすべてではありません。
以下の契約については法律により書面での契約が義務付けられています

  • 定期借地契約・定期建物賃貸借契約
  • 宅地建物売買等媒介契約
  • マンション管理業務委託契約
  • 訪問販売等特定商取引における交付書面 など

デジタル化の潮流を考えると、今後法改正により電子化が解禁されていくことも考えられますが、まずは契約に対応しているもの、していないものをきちんと整理しましょう。 実際に使用する際には社内にもきちんと共有し混乱が生じないようにすることも重要です。

電子契約における法的効果とは

電子データは、編集できるため改ざんしやすいという脆弱性があります。この脆弱性を補うため「電子署名」と「タイムスタンプ」というものが存在します。
「電子署名」は、電子文書を「だれが」「なにを」作成したかを証明するものです。一方、タイムスタンプは、電子文書の「いつ」「なにを」を証明できるものです。書面契約でたとえると、電子署名は「捺印」、タイムスタンプは「消印」にあたります。この 「電子署名」と「タイムスタンプ」の二つをもって、電子契約書に対し完全性を保証し、法的効力を持たせることができるのです。

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電子契約システムの選び方

信頼性

電子契約では、契約書をオンライン上のシステムでやり取りするため、サイバー攻撃などによる機密情報漏洩の危険性を考慮する必要があります。電子契約システムを選ぶ際には、セキュリティ対策がきちんとなされているか確認することが重要です。暗号化がなされているか、法令に対応したサインが利用できるかをチェックしましょう。サイバー攻撃に使用されるウイルスは日々進化しているため、常に最新のセキュリティ対策がされているシステムを選ぶことが大切です。

汎用性

自社で取り扱う契約書類に電子契約システムが対応しているのか、確認をおこないましょう。また、電子契約システムによって使用できる機能が異なるため、利用にあたって必要な機能が網羅されているのかを確認する必要があります。基本サービスに含まれている機能、追加料金を支払うことで利用できる機能なども確認しておくと安心です。

「SmartDB」で電子契約をもっと便利に!

電子契約のシステムを入れることで、契約業務自体は効率化されますが、契約前後の業務効率化も重要です。契約前後の業務を紙やメール、Excelで運用するのは属人化によって発生する転記ミスなどにより、非常に非効率です。
契約前後の業務も効率化するためには、「SmartDB」をおすすめします。「SmartDB」は大企業向け業務デジタル化クラウドです。業務プロセスをデジタル化できるワークフローの機能とWebデータベースの機能を持ち合わせています。「SmartDB」は「電子印鑑GMOサイン」や「クラウドサイン」、「DocuSign」、「Adobe Sign」など各種電子契約システムと連携できます。電子契約と「SmartDB」をあわせて使用することで、契約業務において必要な社内の申請・承認から、電子署名・署名済み契約書の管理まで、すべてがシームレスにつながり、デジタル上での一元管理が可能となります。

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まとめ

電子契約システムの導入には、契約の効率化やコスト削減などメリットもある一方、企業によっては不向きな場合もあります。事前にコスト面の試算・業務フローの確認はもちろん、紙と電子化書類の割合などしっかり調べておきましょう。
また、電子契約システムを導入しても周辺環境が整っていなければ、契約書のデータが散在してしまうなど別の問題が発生する場合もあります。導入後の業務の流れなど含めて検討し、電子契約システムを導入することで発生しそうな問題を事前に予防することも大切です。

マーケティング本部 橋本

この記事の執筆者:橋本 (マーケティング本部)

2020年に広島の大学を卒業し、ドリーム・アーツに入社
日々学び、身に付けた知識を少しでも多く皆さんにお伝えし、お役立ちできることを目指して活動中。