鉄道・運輸業界に効く”働き方改革”とは

鉄道・運輸業界に効く働き方改革セミナー

鉄道・運輸業界に効く働き方改革セミナー開催レポート

先日、日本マイクロソフト株式会社 品川本社にて「鉄道・運輸業界に効く働き方改革セミナー」を開催しました。本セミナーでは、鉄道・運輸業界の方を対象に業務改善を実現するための具体的な取り組みを紹介しました。
当日はユーザー講演として小田急電鉄様にご登壇いただき、社員の意識を大きく変えた業務改革システムの活用事例や全社を巻き込みながらユーザー視点で進めている直近の取り組みなどをご紹介いただきました。
また、日本マイクロソフト様からは、ぜひ押さえておきたい「MaaS(Mobility as a Service)」の世界から広がる働き方改革について、そしてドリーム・アーツからは小田急電鉄様のニーズを素早く形にした業務改革システム「SmartDB」についてお伝えしました。

おかげさまで盛況のうちに終了したセミナーの講演内容をダイジェストでお届けします。


MaaSの様々な取り組みから見えた働き方改革のヒントとは

前職で鉄道企業の情報システム部門に在籍しており、現在は運輸業を担当している清水氏より、なぜ日本マイクロソフトがいまMaaS(Mobility as a Service)に取り組んでいるのかについてお話しいただきました。

日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 運輸・サービス営業統括本部 インダストリーマネージャー MaaS兼Smart Buildingソリューション本部 専任部長 清水 宏之 氏

日本マイクロソフト株式会社

エンタープライズ事業本部 運輸・サービス営業統括本部 インダストリーマネージャー MaaS兼Smart Buildingソリューション本部 専任部長

清水 宏之

マイクロソフト社は次に挙げる3つのイノベーションを推進されています。

  1. 「ライフスタイル」イノベーション…新たな移動+行動による便利で快適な暮らしの実現
  2. 「インダストリー」イノベーション…移動体のシームレスな連携による新たなビジネスの創出
  3. 「ワークスタイル」イノベーション…行動の最適化による生産性の向上

マイクロソフト社は、移動の効率化をすることで働き方改革を進められるのではないかという点に着目しました。働いているなかで発生する、通勤、出張、業務移動などの移動をMaaSで効率化できると訴えます。

先日のように台風に襲われたときは家で仕事ができるようになるテレワークや時差Bizなどの「スムーズビズ」が進むと、毎日違うルートでフレキシブルに移動することが増えてくると予想されます。お客さまからも社用車での移動中もなるべく仕事ができるようにしたいというご相談をいただくことが多く、社用車のシェアリングサービスといった仕組みもできるのではないかと検討を進めています。

同時に、移動の履歴を経費精算システムに取り込む仕組みなど、働く人の支えになるような仕組みをMicrosoftのPower Appsを使って構築しています。また、「SmartDB」と組み合わせることで複雑なワークフロー申請も可能であるため、デモンストレーションを交えてご紹介いただきました。

MaaSと交通費申請ワークフローの連携図

「アプリを採用してから実際に利用するまでに時間がかかるものも多くありますし、物によってはシステム化すると金額感が合わないなどの困難も発生しますが、Power Platformを活用することで現場のニーズを、コストを抑えながら実現する取り組みが進められています」と清水氏。続けて、現場の「ヒヤリハット」を共有するデジタルトランスフォーメーション例などもお話しいただきました。
関連記事:ヒヤリハット事例を共有して重大事故を削減!

「SmartDB」とOffice 365の連携図

最後に「マイクロソフトではさまざまなツールをご用意しておりますが、複雑な業務やフローによりひとつのツールでは実現できないこともあります。デモンストレーションで挙げたように、他ツールと組み合わせると、より効率化が見込める業務があり、MaaSの可能性が広がるのではないかと思います」とお話を締めくくられました。


「SmartDB」で実現する働き方改革~複雑な業務を自律的にデジタル化~

株式会社ドリーム・アーツ カスタマーサクセス統括本部 アカウントエグゼクティブグループ 和田 真由子

株式会社ドリーム・アーツ

カスタマーサクセス統括本部 アカウントエグゼクティブグループ

和田 真由子

ドリーム・アーツからは、鉄道/運輸担当の和田より、鉄道運輸業界の背景と日本のデジタル化事情や、日本企業のデジタル化を実現する「SmartDB」と​お客さまの活用事例​をお話ししました。

先ほど日本マイクロソフトの清水様も話されていたように、​あらゆる企業で、業務変革が求められており、鉄​道運輸業界も例外ではありません。​これからの時代、​自分たちの業務で利用するシステム・アプリケーションの開発は、外部の業者にアウトソースするのではなく、​お客さま自らで開発し育てていくことが大事だとドリーム・アーツは考えています。

たとえば、​今まで企業価値の起点としていた「鉄道、倉庫、運送」などのメイン事業だけに取り組まれている会社は少なく、「​鉄道×街づくり」など鉄道事業だけでなく、3PLやモーダルシフト、コンサルテーション領域まで事業の幅を広げている企業が増えています。​

AI技術やIoT、カメラやセンサー機能の高度化により、今までの人による作業がテクノロジーに置き換わり、​運輸業界の根幹である安全を守るための仕組み・ツールがどんどん増えています。​また、​日本全体での労働人口の減少に伴い、人材確保のために働き方の多様化や制度の見直しも急務となっています。しかし、​とりわけ運輸送業の現場の方々は、「長時間労働の改善」と言われたところで、業務上、勤務時間のカウントが複雑であり、​そう簡単に改善できない現実があるのではないでしょうか。​そうした課題が部門にとどまることなくたくさんある状況の下、​業務の効率化、そして新しい業務の在り方を実現するためにも、​ITの活用は欠かせません。

とはいえ、日本の特に大企業では組織構造や業務の流れが複雑さを増しており、簡単にデジタル化できない現状があります。​さらに、IT活用が経営に必須であるにも関わらず、その根幹を外部のベンダー企業に任せっきりの状態になってしまっている企業様が非常に多くいらっしゃいます。

日本はもともと現場主導で業務が磨かれて強くなってきた文化があります。
その強みを活かして、業務の当事者である現場と現場に寄り添うシステム部門が一体となり、​大企業自らが自律的に業務のデジタル化を実現する必要があるのです。

そこで、​日本の大企業のデジタル化を実現する​ドリーム・アーツの大企業向け業務改革クラウド「SmartDB」をご紹介します。
「SmartDB」は、データベースとモバイル承認も対応したワークフローの機能を持ち、環境も弊社のクラウドサービスでのご提供となるため、アプリからインフラまでワンストップでの提供が可能です。さまざまな業務や、紙・エクセルの申請などのデジタル化をノーコードで実現します。

「SmartDB」の特長は次の3つです。

  1. 複雑な業務を再現するアプリ開発
  2. 大企業のあらゆる権限設定を実現するワークフロー
  3. 業務改善サイクルを回せるプラットフォーム

「SmartDB」が提供するのは現場主体のデジタル化を支援する業務アプリケーション基盤であり、コーポレート部門からフロント部門といった広い範囲の業務をカバー領域としています。
たとえば、Excelや簡易ツール、特定の利用想定に特化したシステムでは再現できないような入力フォーマットもGUI上から簡単に設定できます。

本セッションでは人事部門たった2名で、30を超える業務をデジタル化した例などもご紹介しました。気になる方はぜひお問い合わせください。

最後に、業務改善のアイディアのもととなる課題を見つけるのは、業務に向き合っている本人です。いち早くその課題に取り組み、改善を繰り返す力が組織に求められていると考えています。デジタル化に目を奪われるのではなく、デジタル化された先に人間が求められる、人間にしかできないことを考えられる組織となるようドリーム・アーツはご支援してまいります。


グループウェアからはじめる業務効率化~現場部門を巻き込んだ意識改革~

小田急電鉄株式会社 デジタルイノベーション部 山川 隆信 氏

小田急電鉄株式会社

デジタルイノベーション部

山川 隆信 氏 他

小田急電鉄様からは、グループウェア「DIO」の構築経緯や導入効果、意識を改革した4つの施策をデジタルイノベーション部の皆さまよりご説明いただきました。

小田急電鉄グループは、各ショッピングセンターの管理部門所属員、乗務員や鉄道系技術員、駅員などさまざまな職種の方が働いているのが特長です。
小田急電鉄様は、社内の一体化を推進するため、2017年3月にグループウェアを刷新しました。ドリーム・アーツが提供する業務改革システム「SmartDB」とグループウェア「INSUITE」を組み合わせたシステムをDIO(Digital Innovation of Odakyu)と名付け、働き方改革のプラットフォームとして利用しています。

このたびのグループウェア刷新は、会社の一体感や、コミュニケーション活性化、情報共有を目的としていますので、基本的には出せない情報以外は発信する文化を醸成してきました。
主に次の4つの課題を背景にDIOの刷新を決意されました。

  1. コミュニケーションの課題
  2. 各部門の情報発信の課題
  3. 多様化する働き方への対応
  4. 進まないシステム化の課題

講演では、DIOの概要に加え、「SmartDB」を導入した部門についての具体事例や導入効果についてお話しいただきました。 たとえば、ショッピングセンターの運営を行う事業部が、テナントの契約更新・変更等の部内稟議(ワークフロー)を作成したところ、書類の郵送や差し戻しの手間がなくなり、大きな時間短縮につながったとお話しいただきました。導入の際には初めての経験だったこともあり、要件定義、ワークフローの作成、ユーザーの説明など時間を要しましたが、約半年でリリースすることができたそうです。

小田急電鉄株式会社 デジタルイノベーション部 安田氏、金田氏、番井氏

さらには、本当に必要なフローかどうかをユーザー自身に判断してもらうことで、業務を見直すことができたそうです。現時点で運用後、500件近くのワークフローが承認されているとのことです。当日は、実際に画面を投影しながらご説明いただきました。

「SmartDB」は、Excelと類似していたのでフォームの作成自体は容易で、サービス利用開始後も、ユーザーからのフィードバックをもらいながらシステムを改良できるアジャイル開発のような運用が可能なところに大変メリットを感じているそうです。一方で、自分でテストを行う必要があり、特にワークフローに不備があった場合は見つけるのが大変であったという苦労した点もお話いただきました。

次に、当初はまだまだ低かったDIOの活用度を高めるために行ったワークショップについて金田様よりご説明いただきました。

現業と本社の社員を対象に、ワークショップを開催しています。
2018年9月より、「SmartDB」を使った活用事例の紹介や、「SmartDB」を使って業務効率を考えるディスカッションをし、提案された業務をシステム化しました。これにより、ユーザー自身が利便性の追求をするようになったとの効果がありました。

最後に、「DIO」活性化に向けての取り組みについて安田様よりご説明いただきました。

ワークショップの実施により、「SmartDB」が社内に浸透し、ワークショップ以外での電話等での相談が増えましたので、案件管理の重要性が増しました。そこで、次の施策として相談窓口を開設。相談受付から対応完了までのワークフローまでも「SmartDB」で作成しているのですが、より相談しやすい環境、継続的な業務効率化の推進ができていると実感されていました。

さらなる「DIO」活性化に向けて、全社的な「SmartDB」で作られた掲示板や、社内のコミュニケーションを図る「INSUITE」のトップポータルと業務システムリンクポータル(マニュアルや社則、ハンドブックが掲載されているページ)を現在のニーズにあった内容に刷新することを検討しています。

今後も、構築時に掲げた「情報共有」「一体感」「コミュニケーション」のさらなる向上を目指して常にブラッシュアップしていきたいと熱く語られました。


いかがでしたでしょうか。
ドリーム・アーツでは、今回ご紹介しました業務のデジタル化による業務改革をすぐにご体験いただける「カスタマーサポートプラン」をご用意しております。現状の業務のうち1業務を実際にプロトタイプでデジタル化いたします。デジタル化の取り組みのゴール設定や、KPI設定など、進め方についてもご支援させていただきますので、ご興味がございましたら下記フォームよりお問い合わせください。
また、ご登壇いただいた小田急電鉄様の事例もダウンロードいただけます。下記フォームよりお申し込みのうえダウンロードください。

ドリーム・アーツは今後もお客さまの「現場力強化」「協創力向上」の実現に役立つサービスを提供してまいります。

小田急電鉄様事例