ID・アクセス権限管理システムの選び方を解説!特権や自動化など目的別に紹介

SaaSをはじめとするクラウド型サービスの台頭で、企業に導入されるシステムやサービスは増え続けています。そこで問題になるのが、個々に設定されるIDやパスワードの管理です。
IDやパスワードなどのログイン情報は、適切に管理しないと企業にとっては大きなリスクになりかねません。しかし増加する一方でID・パスワードの管理業務の負担や煩雑さに、頭を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、社内にあふれるID・パスワードを一元管理し業務の効率化を実現する「ID・アクセス権限管理システム」を紹介します。ID管理システムの導入でできることや選び方、システムを比較する際のポイントまで解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ID管理システムとは?

ID管理システムとは、システムや各種サービスにログインする際に必要とされるIDやパスワードなどを管理するツールを指します。
IDやパスワードの管理は、セキュリティ対策として重要度が高い業務ですが、非常に煩雑です。ID管理システムを導入すると、各種システムやサービスで利用しているID・パスワードを一元管理し効率化を図れます。

ID管理システムの目的

ID管理システムを導入する主な目的は、以下の3つです。

  • ID・パスワードの一元管理
  • シングルサインオンによる業務効率化
  • セキュリティの強化

順番に説明します。

ID・パスワードの一元管理

ID管理システムは、社内で利用されている多数のID・パスワードを一元管理する目的で導入されるのが一般的です。近年は社員が入社する際に、パソコンとID・パスワードを付与するのが一般的になりました。さらに社内の各種システムやクラウド型サービスへログインする際にも、別途ID・パスワードが必要です。誤操作や情報漏えいを防ぐためには、アクセスできるシステムや操作できる範囲を限定するための、個別の権限管理も欠かせません。
しかし近年、企業に導入されるシステムやサービスは増加傾向にあり、ID・パスワードの管理業務も増える一方です。ID・パスワードはエクセルで管理している企業が多いようですが、手作業になるため煩雑で、二重発行などのミスが発生する恐れもあります。とくに新年度や人事異動の季節などは、膨大な作業量となり担当者の負担はさらに重くなるでしょう。
そのような企業が管理システムを導入して社内のID・パスワードを一元管理すれば、業務の効率化を図り担当者の負担を減らせます。

シングルサインオンによる業務効率化

ID・パスワード管理システムは、シングルサインオンを導入するために採用されることもあります。シングルサインオンとは、最初に1度認証を受けるだけで、その社員が利用できるすべてのシステム・サービスへのログインが許可されるシステムのことです。通常はシステムやサービスごとにログイン情報が異なるため、別のシステムを利用するたびにID・パスワードの入力が必要になります。ちょっとした手間ではありますが、急いでいるときに毎回入力を求められるのは社員にはストレスです。一瞬の作業ですが、長いスパンで見ると業務効率が大きく低下します。
また利用するシステムやサービスが多くて記憶できない場合は、ログイン情報をメモしておく人もいます。そうするとセキュリティが低下するのも問題です。ID・管理システムでシングルサインオンを導入すると、社員はシステムごとに個別のログイン情報を記憶する必要がなくなるため、業務効率やセキュリティの向上につながります。

セキュリティの強化

各種システムやサービスへのログインID・パスワードは、停止・削除時も適切に管理しないと、情報漏えいのリスクがあり危険です。そのためID・パスワード管理システムは、セキュリティの強化目的で導入されるケースもあります。
たとえば退職者のID・パスワードの削除漏れが発生すると、外部からログインされてしまうかもしれません。不正利用により情報を抜き取られると、重大インシデントにつながる恐れがあります。そのようなときに人事システムと連携できるID管理システムを利用すると、退職と同時に自動でアカウントが削除されるので安心です。
またID管理システムは操作ログが残るため、社内での不正利用の抑制・防止にも貢献します。トラブル発生時にトレースしやすいのもメリットです。
さらに権限管理することで、個々の社員が操作できるシステムや操作範囲を調整すれば、誤操作を防ぎやすくなり、よりセキュリティの強化につながります。とくに管理者アカウントに付与される「特権ID」の管理は重要です。特権IDについては、次章で詳しく解説します。             

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特権IDについて

特権IDとは、システム管理を実行する管理者アカウントなどに付与されるIDを指します。特権IDでログインした管理者は、設定の変更やアプリケーションのインストールなど、一般ユーザーがおこなえない操作を実行できるのが特徴です。通常、管理画面ではメンテナンスにともなうシステムの起動や停止、システム自体の設定変更など高度な操作を実行できるため、特権IDは厳重な管理が求められます。そのため特権IDは、システム管理者やごく少数のユーザーのみが利用できるよう、使用者が厳しく制限されているのが一般的です。

特権IDを扱う際に考えられるリスク

特権IDの管理が適切におこなわれていないと、以下のようなリスクが発生する恐れがあります。

  • 管理者の操作ミスによる情報流失
  • 悪意ある第三者のハッキングなどによる乗っ取り
  • ウィルス感染による情報漏えい

このような事態が発生すると、重大インシデントにつながり自社に致命的な打撃を与えかねません。特権IDの適切な管理は、企業のセキュリティを高めるためには非常に重要な業務なのです。

リスクに対する対処法

特権IDによるリスクを防ぐための対処法は、3つ考えられます。
まず管理者の操作ミスによる情報流出を防ぐには、特権IDを付与するユーザーに対しても作業範囲を制限するのが有効です。また悪意ある第三者の乗っ取りを防止するには、使用していない特権IDを定期的に洗い出し、削除ましょう。ウイルス感染による情報漏えいの防止には、セキュリティ対策を強化するとともに、定期的にパスワードを変更するのが効果的です。
ただしいずれの対策も、手動で管理すると対応漏れが発生する恐れがあります。特権IDを適切に運用・管理するには、セキュリティ対策が強固なID管理システムを利用することが必須です。             

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ID管理システムの選び方

ID管理システムは、求める管理レベルや目的に応じて選びます。IDの一元管理だけが目的なら、Azure ADによる一元管理をおすすめします。Azure ADはMicrosoftによるクラウド型のActive Dictionaryです。低コストで導入し、クラウドサービスのアカウントを一括で管理・運用できます。
ただしAzure ADでは特権IDの管理やアクセスコントロールなど高度な管理には対応していません。より高度な管理機能が必要なら、それらの機能が備わったシステムを選びましょう。IDの申請と発行業務を一括で効率化するなら、ワークフローシステムとID管理システムを同時に導入する選択肢もあります。たとえば社員の入退社・異動時の各種手続きのワークフローにID管理を工程として組み込んでおくと、対応漏れを防げるようになるでしょう。

ID管理システムを比較する際のポイント

ID管理システムの比較ポイントは、次の3つです。

  • 既存システムとの連携性
  • 特権ID管理機能の有無
  • シングルサインオンの要否

順番に説明します。

既存システムとの連携性

ID管理システムは、サービスにより対応できるOSやディレクトリなどが異なります。導入に際しては、サービスの詳細ページに記載されている対応OSや対応ディレクトリ、DBなどカバーできる範囲を確認することが大切です。
社内で連携できないシステムやサービスがあると、一元管理を実現できずに十分な導入効果を得られません。社内のシステムを洗い出して優先順位付けし、利用頻度が高い・利用人数が多い・業務遂行上重要なシステムを、できるだけ多くカバーできるものを選びましょう。

特権ID管理機能の有無

特権ID管理機能が必要かどうかも、ID管理システムを選ぶ際の重要なポイントです。特権IDは適切に管理しないと企業のセキュリティが脆弱になるため適切な管理が求められますが、企業規模など個々の状況によっては不要な場合もあるでしょう。
特権ID管理機能が不要であれば、Azure ADが第一選択肢になります。一方、特権ID管理機能が必要な場合は、あらかじめ機能が備わったシステムを選ぶとよいでしょう。もしくはまずはAzure ADを導入し、必要性を感じるようになってから特権ID管理専用のシステムを追加し、併用するのもおすすめです。

シングルサインオンの要否

ID・パスワードの管理だけではなく、社員の利便性を高めるためのシングルサインオン機能が必要かどうかも検討ポイントになります。シングルサインオンは便利な機能ですが、導入しているシステム・サービスの数、自社の業務内容や社員数によっては必ずしも必要ではありません。
ただし今後導入するサービスが増えていく可能性があるなら、はじめからシングルサインオンの機能が備わったシステムを導入しておくのがおすすめです。長期的な事業計画などに基づいて、導入するID管理システムを選びましょう。

ID・権限管理の業務効率化なら「SmartDB」

ID管理システムの導入によって、各システムのID・パスワードの管理工数は大きく削減される一方で、新たにIDを発行する際や、不要なIDを削除するときには、多くの場合新入社員の入社手続きや退職者の退職手続きが発生しているかと思います。 そういったID発行・削除に関連する業務をデジタル化することでさらなる業務効率化が見込めます。
ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は非常に柔軟なワークフロー機能とWebデータベース機能を持ち合わせた大企業向け業務デジタル化クラウドです。細やかな業務アプリ設計が可能なため、現場にとって使いやすくかつ業務の実態に則したシステムを構築いただけます。「SmartDB」による業務デジタル化には次のような効果が期待できます。

  • ノーコードで簡単に作成でき、項目配置の自由度も高いため、現場部門自ら継続的に業務アプリのカイゼンができる。
  • 対応ステータスの管理や通知機能で対応漏れを防止できる(モバイルにも対応)。
  • 柔軟なワークフロー機能で部署間の業務連携・コミュニケーションもしやすい。
  • システム連携もできるため、人事マスタなど各社内システムへのデータ連携も可能。
  • 「SmartDB」で構築した業務アプリや文書に対し、組織、役職などで編集・閲覧権限を設定できるため、誤った情報公開や更新も防げる。
            

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まとめ

SaaSをはじめとするクラウド型サービスの台頭により、企業が管理すべきID・パスワードは増加する一方です。ログイン情報を適切に管理できずにいると、セキュリティの脆弱化や情報漏えいなどさまざまな問題が発生するかもしれません。
担当者の負担を減らし、ID・パスワードの管理業務を効率化したいときには、ID管理システムの導入を検討しましょう。ID管理システムと連携できるワークフローシステム「SmartDB」とあわせて導入すると、さらなる業務の効率化につながるのでおすすめです。

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この記事の執筆者:加藤(マーケティング本部)

2017年に新卒でドリーム・アーツに入社。
営業部門やインサイドセールスチームでの業務を経て、現在はマーケティング部門にてコンテンツの作成に従事。物理的な声の大きさだけが取り柄だと思っていますが、文章という形でみなさんのお役に立てる情報をお届けできるよう頑張ります!