問い合わせ管理システムの特徴とは?メリットやデメリット、失敗を防ぐ選び方を解説

問い合わせ管理システムは、顧客からの問い合わせ対応や管理にかかる手間を軽減し、業務の効率化に役立つツールです。顧客からの問い合わせチャネルを複数持ち「対応リソースが足りない」「Excelでの管理が限界」と悩んでいる場合には、導入を検討してみませんか。
この記事では、問い合わせ管理システムの概要や、Excel管理の問題点、ツール導入で得られるメリットなどを解説します。失敗を防ぐ選び方も紹介しますので、自社に適した問い合わせ管理システム選定の参考にしていただけると幸いです。

問い合わせ管理システムとは何か

問い合わせ管理システムとは、顧客やユーザーからの問い合わせを一元管理するシステムを指します。
かつてメールが主流だった顧客からの問い合わせは、近年問い合わせフォームやSNSなどチャネルが多元化しています。顧客にとって都合の良い問い合わせ手段を提供することは、顧客満足度を上げるには欠かせない取り組みであるためです。しかし最初はメールで問い合わせてきた顧客が、2回目はSNSからコンタクトを取ってくることも珍しくありません。一元管理しなければ、一貫した適切な対応は難しくなります。また複数のチャネルを使い分けるのは手間と時間を要します。

そのようなときに問い合わせシステムを導入すれば、情報を一元管理し、業務効率化を図れるようになるのです。

問い合わせ管理システムの主な種類

問い合わせ管理システムは、主に以下の3種類があります。

  1. 複数チャネル対応型

    メール、電話、チャット、SNSなど、複数チャネルからの注文や問い合わせを一元管理することが目的のシステムで、以下のような機能が備わっています。

    <主な機能>
    複数チャネルからの問い合わせや注文を一元管理
    各種ショッピングモールや受注システムとの連携機能
    案件管理機能

  2. 統合カスタマーサポートツール型

    複数チャネルから寄せられる、主に既存顧客からの問い合わせに対応するのが目的のシステムです。

    <主な機能>
    複数チャネルからの問い合わせを一元管理
    ステータス管理機能
    FAQやナレッジベースの構築
    Webチャット機能

  3. Eメール特化型

    Eメールでの問い合わせに特化され、主にメール共有によるトラブルを防ぐ機能が多く装備されているのが特徴のシステムです。受注前の問い合わせやECサイトからの受注メールなど、届いたメールを自動で分類し担当者で共有します。メール共有システムとも呼ばれます。

    <主な機能>
    メール自動振り分け
    ステータス管理
    二重返信防止
    対応履歴表示
    テンプレート作成
    Q&Aやナレッジベースの構築

問い合わせ管理システムで効率化できる業務内容

問い合わせ管理システムを導入すると、以下のように業務を効率化できるようになります。

  • 複数プラットフォームからの問い合わせを1箇所に集約
  • 問い合わせの対応状況をステータス管理で視覚化
  • 対応漏れや二重対応の防止
  • 担当者割り当ての自動化
  • FAQやテンプレートの活用による対応時間の短縮

システムを導入すると、各プラットフォームにログインして管理する必要がなくなること、担当者割り当てや対応漏れチェックにリソースを割かなくてよくなること、対応業務の属人化解消を実現できることがわかります。

問い合わせ管理をExcelでおこなうデメリットや課題

問い合わせ管理システムを導入していない場合は、問い合わせをExcelで管理している企業が多いのではないでしょうか。問い合わせをExcelで管理する場合は、3つのデメリットや課題があります。順番に説明します。

データ破損

問い合わせをExcelで管理する場合、データ破損によるトラブルリスクが高い点には注意が必要です。たとえば問い合わせ件数が増えたり、関数を多用することでファイルサイズが大きくなると、開かない・データが落ちる恐れがあります。また利用者が行の挿入・削除などをおこなうことで、関数が壊れる可能性もあります。

セキュリティ面

Excelでの問い合わせ管理は、セキュリティ面のリスクもあります。Excelのデータは、USBやCD-Rにコピーしたりメール添付したりすることで、容易に持ち出しできるためです。パスワードの設定もできますが、解除する裏技が多く出回っているのであまり効果はありません。Excelでの問い合わせ管理は、セキュリティリスク解消への労力が必要です。

更新の手間

自社に寄せられるすべての問い合わせをExcelで一元管理しようとすると、複数のプラットフォームに寄せられた情報をその都度転記・更新する手間と時間が必要になります。二度手間になるうえ、転記漏れや転記ミスが発生する可能性もあるでしょう。事後処理になるのでリアルタイム性に欠け、複数人の同時編集に向いていないこともデメリットです。

このようにExcelでの管理には課題があります。こちらの記事ではExcelでの管理から脱却し、Webデータベース化する利点を詳しく解説しているので、ぜひあわせてお読みください。

Excelによる台帳管理はもうやめたい!メンテナンスや探す時間をゼロにして業務効率アップ

問い合わせ管理システムを導入することのメリットとは

問い合わせ管理システムを導入することで、得られるメリットを5つ紹介します。

問い合わせの一元管理による業務の効率化

問い合わせ管理システムを導入すると、顧客の問い合わせ対応をおこなっているメーラーやSNS、チャット、各ECサイトなどに都度ログインする必要がなくなり、一元管理を実現できます。
担当者を自動で割り当てることでだれが対応するかを確認せず済み、対応がどこまで進んでいるかのチェックも容易です。過去の対応状況も、ひとつの管理画面から検索できるので効率的です。

問い合わせ管理は複雑化しやすい業務です。システム化することにより一気通貫で管理できるようになれば、管理負荷の軽減だけではなく、問い合わせの早期解決にもつながることでしょう。
このような一気通貫の管理にはワークフローシステムも活用できます。こちらの記事でワークフローシステムで問い合わせ管理をするメリットを紹介していますので、ぜひあわせてお読みください。

問い合わせ管理のワークフロー化で部署間の情報連携をスムーズに

従業員の対応負担の軽減

テンプレート機能やFAQ、ナレッジベースなどを活用すれば、問い合わせのたびに新たに一からメールを書き起こしたり、必要な資料を探したりしなくてよくなります。オペレーターが対応にかける時間を短縮できるのも、問い合わせ管理システムのメリットです。
対応内容が問い合わせ管理システムにデータとして集積されるため、管理者が対応内容を分析・活用しやすくなるのもポイントです。

対応品質の均一化

問い合わせ管理システムに備わっているFAQやナレッジベースの作成機能は、担当者の対応品質の均一化にも貢献します。FAQやナレッジベースを参照することで、新人であってもベテラン社員の対応に近い回答ができるようになるためです。
その結果「人によって言うことが違う」といったクレームが発生しにくくなります。対応品質を均一にするための、教育コストの削減にもつながります。

スムーズな対応による顧客満足度の向上

問い合わせ管理システムを導入すると、オペレーターの問い合わせ対応がスムーズになるので顧客満足度が向上するのもメリットです。返信テンプレートやFAQを活用することにより、オペレーターの対応スピードが向上するためです。
さらに対応状況が見えるので、対応漏れや二重対応などのトラブルも発生しにくくなります。過去の対応状況をチェックしたうえで対応できるため、引き継ぎで何度も同じ説明をしなくてよくなるのも、顧客満足度向上に貢献します。

マーケティングや業務改善へのデータの活用

問い合わせ管理システムは、顧客から寄せられた問い合わせ内容をデータとして蓄積していきます。問い合わせに含まれる自社製品やサービスへの不満・要望などを分析し、関係部門にフィードバックすれば、マーケティングや製品・サービスの改善に活かせます。
問い合わせ管理システムでは、問い合わせ業務のどこに時間がかかっているのか問題点を洗い出すこともできます。ボトルネックとなっている箇所がわかれば、効率よく業務改善を進められます。

お客様の声を全社で集約し有効活用するメリットや活用事例についてはこちらの記事もお読みください。

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問い合わせ管理システムを導入することのデメリットとは

問い合わせ管理システムを導入することには、メリットだけではなく以下のようなデメリットもあります。

カスタマイズのしづらさ

問い合わせ管理システムには「クラウド型」と「オンプレミス型」があります。このうちクラウド型は初期費用が安く、低コストで導入・運用できるのがメリットですが、カスタマイズ性が乏しいシステムが多いため事前の確認が必要です。
そのため予算によっては、自社が求める機能が備わっており、さらにすべてのチャネルに対応できるシステムを見つけるのは難しいかもしれません。カスタマイズが必要な場合は、オンプレミス型かカスタマイズ性の高いクラウド型を選ぶことが大切です。

コスト

問い合わせ管理システムは、クラウド型もオンプレミス型も一定の導入・運用コストがかかります。
とくに高度なカスタマイズが必要で、オンプレミス型を導入する場合には、サーバー代やカスタマイズオプション、メンテナンス費用など、クラウド型よりも高額な導入・運用コストがかかる傾向があります。
問い合わせ管理システムの導入時には、必要な機能を洗い出し、費用対効果を考えて、どのシステムを導入するか検討するようにしましょう。

しかし、問い合わせ管理システムの導入でコストがかかったとしても、業務効率化が実現すれば結果として費用削減につながる場合もあります。現状を把握し、システムを導入すべきか適切な判断をすることを重要です。

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問い合わせ管理システムの上手な活用の仕方

問い合わせ管理システムは、上手に活用すれば高い効果を発揮します。ここでは上手な活用方法を、3つ紹介します。

方法1:振り分けとステータスのルール設定

各プラットフォームから届いた問い合わせは、フォルダで振り分けるルールを設定すると管理が容易になります。たとえば以下のように「流入元>内容>対応内容」でファネル管理すると、内容を把握しアクションを起こしやすくなるでしょう。

<例>
「ECサイト」「代表メールアドレス」 >「問い合わせ」「苦情」>「返品」「交換」「見積もり」など

さらに「未対応」「対応中」「対応済」など一目で対応状況がわかるようステータス設定できるようにしておくと、対応漏れや二重対応を防げます。

方法2:問い合わせフォームの改善

問い合わせ管理システムに届くメールなどが、フォルダに適切に振り分けられるよう、問い合わせフォームの改善もあわせておこないましょう。
たとえばタイトルにプラットフォームの名前が入るようにすれば、問い合わせ管理システムに届いた時点で自動でフォルダに振り分けが可能です。さらにプルダウンで「購入前」「送料について」「お支払いについて」など問い合わせ内容を選べるようにしておくと良いでしょう。

方法3:テンプレートやFAQの整備

これまでの問い合わせと対応内容を整理し、ひな形となるテンプレートやFAQ、ナレッジベースを整備するのも業務の効率化には欠かせません。テンプレートやFAQは、オペレーターの対応スピードの向上や、対応品質の均一化に貢献するためです。

問い合わせ管理システムに備わっている機能を活用し、整備を進めていきましょう。なお整備したテンプレートやFAQ、ナレッジベースは作成して終わりではなく、より良いものへと改善を続けていくことが大切です。

問い合わせ管理システムの8つの選び方

ここからは、問い合わせ管理システムを選ぶ際に押さえておきたいポイントを8つ紹介します。

  • 自社の業務に必要な機能が備わっている

    問い合わせ管理システムには3種類あり、それぞれ特徴や備わっている機能が異なります。そのためまずは、自社の目的と必要な機能を洗い出すことが大切です。
    メール対応トラブルを改善したいのか、問い合わせ管理を一元化したいのかなど、目的を明確にしたうえで、それを実現するのに必要な機能を検討します。そのうえでクラウド型のオプションで実現できるか、オンプレミス型でカスタマイズが必要かを考えると良いでしょう。

  • 顧客情報の確認のしやすさ

    問い合わせを受けたときには、適切で迅速な対応が求められます。そのため顧客情報をすぐに確認できる仕組みになっているかは重要です。問い合わせてきた顧客の名前や電話番号を入力するだけですぐに顧客情報が表示されれば、購入した商品や過去の対応履歴を確認しながら話を進められるようになるためです。
    問い合わせ管理システムを既存の基幹システムやCRM、SFAと連携できると、マーケティングや営業部門の情報とあわせて一元管理できるので、さらに利便性が高くなるでしょう。

  • 自社のチャネルに対応している

    問い合わせ管理システムは、サービスによって対応できるチャネルが異なります。そのため自社で活用しているチャネルに対応していないシステムを選んでしまうと、問い合わせを一元管理できなくなるため注意が必要です。
    問い合わせシステムの選定に際しては、現在自社で利用しているチャネルを洗い出したうえで、対応の可否を確認することが大切です。さらに将来的に連携する可能性があるチャネルも考慮して、連携性の高いシステムを選びましょう。

  • 費用対効果が見込める

    問い合わせ管理システム選定時には、予算を明確にしたうえで、費用対効果が見込めるものを探すことも大切です。そのためには、まずは現状どの程度のコストがかかっているのかを確認し、ツールの導入によりどの程度業務効率向上や人件費削減効果が見込めるのか精査する必要があります。
    一般的には、高機能なものほど高価です。導入時には「せっかくなら高機能なものを」と考えがちですが、費用対効果を考えるなら本当に高機能なシステムが必要かをよく検討することが大切です。

  • 操作しやすい

    問い合わせ管理システムを選ぶときには、操作性も重視しましょう。操作性が悪ければ、オペレーターが使いこなせず、かえって業務効率が落ちかねないためです。
    操作が難しければ、社員が入れ替わるたび教育コストがかかる可能性があります。人材不足を背景に、高齢者や外国人を雇用する可能性を考えると、直感的に操作できるものを選んでおくのが賢明です。FAQやテンプレートは常に改善が必要なことから、更新のしやすさもチェックしておくと良いでしょう。

  • セキュリティ性が高い

    問い合わせ管理システムは、顧客の個人情報を取り扱うため、セキュリティ性の高さは重要なチェックポイントです。万一情報漏えいした場合には、顧客や取引先からの信用が失墜し、企業に致命傷を与えかねない問題に発展するかもしれません。
    とくに近年はコロナ禍の影響や働き方改革が進んだことで、リモートワークを採用する企業が増えました。外部からアクセスすることも考慮した、堅牢なセキュリティ対策が施されているシステムを選ぶと安心です。

  • サポート体制が整っている

    担当者の負担を軽くするためには、導入や運用に際してのサポート体制は必ずチェックしておきましょう。とくに導入に際して専任をおかず、通常業務と並行して進める場合には、サポートがなければいつまでたっても導入が完了しない可能性があります。
    導入後のトラブル発生時の対応を確認しておくことも重要です。問い合わせ管理システムがダウンして対応業務が滞ると、顧客満足度が下がってしまいます。一度信頼を失うと、取り戻すのは容易なことではありません。

  • 無料トライアルがある

    操作性やサポート体制は、実際に使ってみなければわかりません。そのため問い合わせ管理システムの導入に際しては、無料トライアル期間があるサービスを選ぶことが大切です。
    トライアルするときには、ITリテラシーの高い担当者だけではなく、実際に現場で使う社員にも試してもらい意見をもらいましょう。そうすることで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。

SmartDBで問い合わせ管理システムを構築しよう

問い合わせ管理システムの新規構築や見直しをご検討される場合は、ドリーム・アーツの「SmartDB」がきっとお役立ちできます。「SmartDB」は非常に柔軟なワークフロー機能とWebデータベース機能を持ち合わせた大企業向け業務デジタル化クラウドです。細やかな業務アプリ設計が可能なため、現場にとって使いやすくかつ業務の実態に則したシステムを構築いただけます。
また「Zendesk」や「ChatPlus」と連携することで、問い合わせ情報の集約だけでなく、オペレーターが実際に対応したデータをもとにナレッジベースを作成できます。

「SmartDB」で問い合わせ管理システムを構築した場合、次のような効果が期待できます。

  • ノーコードで簡単に作成でき、項目配置の自由度も高いため、現場部門自ら継続的に業務アプリのカイゼンができる
  • 対応ステータスの管理や通知機能で対応漏れを防止できる(モバイルにも対応)
  • 柔軟なワークフロー機能で他部署との連携もしやすい
  • 回答や調査にかかった時間の計測ができ、ボトルネックを見つけられる
  • 別アプリとの連携もできるため、ほかの業務で情報を活用することも可能

関連資料
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まとめ

問い合わせ管理システムを導入すると、複数チャネルからの問い合わせを一元管理できるため、業務効率化を図れます。
導入する問い合わせ管理システムは、自社の目的や必要な機能を洗い出し、費用対効果も考慮して選ぶことが大切です。今回の記事を参考に、貴社に適した問い合わせ管理システムを選んでいただけると幸いです。

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この記事の執筆者:斉藤(マーケティング本部)

通信サービス・コンタクトセンター運営などの経験を経て、2021年ドリーム・アーツに中途入社。マーケティング本部の一員として日々勉強中です。
たくさんの経験をしてきたことを活かし、誰が読んでも楽しめるコンテンツを目指して、今後もたくさんの情報をお届けします!