ITリテラシーとは?低い場合のリスクと高めるための社員教育を解説

パソコンやスマートフォンが一般家庭にも普及し、昨今ではSNSなどからだれでも気軽に情報発信できるようになりました。それにより、企業においてもITリテラシーが求められるようになっています。しかし、社員のITリテラシーが低ければ、情報漏えいのリスクや、生産性の低下が起こるかもしれません。
この記事では、 ITリテラシーとはなにか、 ITリテラシーが低いとどのようなリスクがあるかを解説し、 社員のITリテラシーを高めるためにどのような教育をすればよいかを紹介します。

ITリテラシーとは

ITリテラシーとは、通信・ネットワーク・セキュリティといったITに関連する要素を理解・操作するスキルです。情報技術を意味する「IT( Information Technology )」と、読解記述力を意味する「リテラシー(literacy)」を組み合わせた単語となっています。

厚生労働省が発表した「平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」では、「基礎的ITリテラシー」を以下のように定義しています。

【基礎的ITリテラシーの定義】(厚生労働省)

現在入手・利用可能なITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆるIT企業で働く者だけでなく、ITを活用する企業(ITのユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。

また、独立行政法人情報処理推進機構のITLSにおける「ITリテラシー」の定義は以下のとおりです。

【ITリテラシーの定義】(ITLS)

社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解し、関係者とコミュニケートして、業務等を効率的・効果的に利用・推進できるための知識、技能、活用力

引用:ITリテラシースタンダード IT Literacy Standard(ITLS)<初版>「ITLSの概要」

ITリテラシーは、下記の3つに分類されます。

  • 情報基礎リテラシー
  • コンピューターリテラシー
  • インターネットリテラシー

それぞれの要素について詳しく解説します。

情報基礎リテラシー

情報基礎リテラシーとは、インターネット上に存在する膨大な情報のなかから必要な情報を見つけ、正しい情報なのかを精査し、適切に活用できるスキルです。インターネットが普及したことでさまざまな情報にアプローチしやすくなった一方で、求める情報がどこにあるのかが分かりにくくなっています。古い情報や間違った情報も多く存在しているため、ただ情報を集めるだけでなく、情報を取捨選択し正しい情報なのかを見極めることも重要です。

コンピューターリテラシー

コンピューターリテラシーとは、パソコンやスマートフォンに代表されるIT機器を適切に操作できるスキルです。現代の企業活動においては、パソコンやスマートフォン、タブレット、ディスプレイ、ネットワーク機器、プリンター、コピー機などが欠かせません。IT機器の操作スキルは特別なものではなく、当たり前に求められるスキルです。また、IT機器などのハード面だけでなく、ワードやエクセルなどのソフトウェアを活用できるスキルも求められます。

どの程度までのコンピューターリテラシーが求められるかは企業によって異なりますが、ソフトウェアの開発会社であれば、プログラミング言語を扱うスキルもコンピューターリテラシーとみなされるでしょう。

インターネットリテラシー

インターネットリテラシーとは、インターネット上で正しく振る舞えるスキルです。
TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSが普及し、企業だけでなく個人で情報を発信する機会が増えています。匿名で情報を発信できるSNSでは誹謗中傷や情報漏えいなどのトラブルが頻繁に発生しており、企業アカウントを運営する際には注意が必要です。また、インターネットに接続されているパソコンやネットワーク機器がサイバー攻撃を受ける可能性もあるため、ネットワークセキュリティに関する専門的な技術や知識もインターネットリテラシーとみなされています。

ITリテラシーが低いと起こりえるリスク

企業においては、社員の ITリテラシーが低いと以下のようなリスクを抱える恐れがあります。

  • 情報漏えい
  • 生産性の低下
  • 正しい情報かを判断できない
  • SNSなどの炎上

【参考記事】リスクマネジメントとはなにか?必要性やプロセスを徹底解説

情報漏えい

社員の ITリテラシーが低いと、情報漏えいのリスクが高くなります。
情報漏えいが発生する代表的なケースは以下のとおりです。

  • USBメモリーの紛失
  • メールの誤送信
  • 設定ミスによる外部からの閲覧
  • 外部からの不正アクセス

多くの企業では、USBメモリーの持ち出しを禁止するといった情報が流出しないようにする対策が取られています。しかし、社員のITリテラシーが低ければ、禁止されている行為を安易におこなってしまうこともあるでしょう。

生産性の低下

ITリテラシーが低い社員ばかりだと、生産性の低下につながります。
メールの使い方が分からないからといって資料を印刷して手渡しすれば、時間も手間もかかるでしょう。パソコンが苦手な人がエクセルではなく電卓でデータを集計すれば、長時間労働になってしまいます。また、ITツールを活用できない社員がいれば、ほかの社員との連携が取りづらくなり、会社全体の生産性低下にもつながるでしょう。ITツールの使い方を教える必要があれば、ほかの社員の負担になるかもしれません。

正しい情報かを判断できない

ITリテラシーが低いと、インターネット上の情報が正しいのかを判断できません。企業として戦略を立てるには、正しい情報を収集する必要があります。デマや間違った情報を鵜呑みにすれば、最新の市場動向を正確に把握できません。

SNSなどの炎上

企業のSNSアカウントを ITリテラシーが低い社員が運営すると、炎上する恐れがあります。
個人のアカウントと勘違いして企業のモラルに反したメッセージを発信すれば、企業としてのブランドに傷が付くかもしれません。また、アルバイトが厨房内で悪ふざけをしている動画をSNSで配信したり、社員が個人アカウントで誹謗中傷したりすることで話題になったケースもあります。

ITリテラシーを高める社員教育

社員のITリテラシーを高める教育方法には以下の3つがあります。

  • 研修を受講させる
  • 資格を取得させる
  • ITツールの活用

研修を受講させる

社員のITリテラシーを高める方法は、研修を受講させることです。
ITリテラシーを個別に指導する方法では、全社員に浸透するまでに時間がかかります。基本的な ITリテラシーは入社時の研修に盛り込み、IT機器やシステムを新規導入する際には利用する部署単位で研修をおこなうと効率が良いです。オンラインセミナーの形式で研修すれば、研修会場を確保する必要がなく、時間の制約を気にすることもありません。

【参考事例】人事部主体で業務デジタル化「ハラスメント研修の定着度テスト」
【参考記事】ISMSセキュリティ理解度テストの実施と集計に「SmartDB」を活用

資格を取得させる

社員に資格を取得させることで、ITリテラシーを高められます。
ITリテラシー向上におすすめの資格は以下のとおりです。

  • ITパスポート
  • 情報セキュリティマネジメント試験
  • 基本情報技術者試験
  • MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト資格)

受験費用を会社側で負担したり、資格を取得した社員に手当を支給したりすることで、資格取得を推進できます。

ITツールの活用

社員のITリテラシーを高めるには、日常的にITツールを活用できる環境を整備することが重要です。ITリテラシーの知識を学ぶだけでは十分とは言えません。実際に手を動かし仕事として活用することで、知識や技術が身に付きます。

「デジタルの民主化」を推進し、ITリテラシーを高めよう

デジタルの民主化とは、現場部門(非IT部門)が自らデジタルを活用し、全社のデジタル化を加速させることです。最も業務に精通する現場部門が業務デジタル化をすることで、いままでにないスピードで業務のデジタライゼーションを推進できます。
デジタルの民主化の推進は、社員自らが日常的にシステムを使いこなす環境を作り、その結果、社員のITリテラシー向上につながります。

ノーコード・ローコードでアプリ開発できる「SmartDB」なら、現場部門でシステム開発経験がない社員でもスピーディーに業務デジタル化が可能です。また、「自分の業務を自分たちの手でデジタル化する」という成功体験は、社員のデジタルマインドを醸成することにも繋がります。

【参考記事】ノーコードツールとは?特徴やおすすめの選び方・注意点を解説

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まとめ

ITリテラシーとは、 ITに関連する要素を理解・操作するスキルです。情報基礎リテラシー・ コンピューターリテラシー・インターネットリテラシーに分類でき、それぞれで求められる知識やスキルが異なります。

ITリテラシーが低い社員がいると情報漏えいや生産性の低下、SNSの炎上といったリスクを抱えることになるため、 ITリテラシーを高める教育が必要です。研修の受講や資格取得の推奨、ITツールの整備・活用といった対策をし、「デジタルの民主化」を推進しましょう。

マーケティンググループ ホシ

この記事の執筆者:ホシ (マーケティンググループ)

新卒でドリーム・アーツへ入社
お客さまのサービス利用立ち上げ支援をおこなう部門からマーケティング部へ異動。専門知識がない方にも分かりやすく、サクッと読み進められる記事を書いていく