育児休業給付金とは?人事担当者向け制度の基礎知識

最近男性の育児休業取得なども注目されるようになりました。育児休業中に受け取れる「育児休業給付金」の概要や条件、申請の流れなど理解されていますか?
育児休業給付金は大切な制度ですが、労働者、事業主ともに仕組みをきちんと理解していないと、給付対象に当てはまらない、想定より額が少ないなどの問題が発生する場合もあります。この記事ではそんな「育児休業給付金」について詳しく説明していきます。(※本記事に記載する情報は2021年10月29日時点の情報です。)

育児休業(育休):父親、母親に関わらず、子どもを養育する義務のある労働者が法律に基づいて取得できる休業のこと


【人事担当者向け】育児休業給付金とは?

育児休業給付金とは簡単にいうと、育児休業中の労働者に国が給付金を支給し、生活に困らないようにするための制度です。
育児休業中の労働者は仕事に入れず、かといって雇用している事業主も休業中の労働者に今までどおりの給料を支払うわけにもいきません。休業後の復職を前提とし、育児休業を取得、取得しやすくすることを目的としてこのような制度があります。なお、この給付金は非課税で、休業中の被保険者の社会保険料も免除されます。ただし、 育児休業給付金の受給には条件や期間が定められており、国民全員が受給できるわけではありません。

育児休業給付金の受給資格について

育児休業給付金を受け取るには、満たすべきさまざまな条件があります。ここでは育児休業給付金の受給資格における条件をご紹介します。なお、以下の受給条件をすべて満たしていれば、正社員はもちろんパートや契約社員といった有期雇用労働者(非正規雇用労働者)であっても育児休業給付金を受け取ることができます。
これらの条件については労働者自身で管理するとともに、あらかじめ人事部や所属部署などと連携し、調整しておきましょう。

1歳未満の子どもがいること

育児休業給付金が申請できるのは、1歳未満の子どもがいる間だけです。

雇用保険に加入していること

雇用保険に加入していないと育児休業給付金は受け取れません。
つまり、自営業の方は受け取ることができません。

育児休暇前の2年間で、11日以上働いた月が12ヶ月以上あること

育児休業を開始した日から遡り、2年間で就業日(賃金支払基礎日数)が11日以上である月が12ヵ月以上あることが必要です。正社員(無期雇用フルタイム労働者)で働いている方ならこの条件は満たしていると思いますが、パートや契約社員といった有期雇用労働者の方は注意しましょう。

育児休業期間中に休業開始前の1ヶ月の賃金の8割以上が支払われていないこと

たとえば、毎月20万円もらっていた人が育児休業中に毎月16万円以上の賃金を継続してもらっている場合は育児休業給付金を受け取れません。

育児休業期間中、就業している日数が1ヶ月に10日以下であること

育児休業中に1ヶ月に11日以上働いていると、育児休業給付金は受け取れません。

育児休業給付金の支給額の計算方法

育児休業給付金は2ヵ月ごとに決められた金額が支給され、この支給額には上限・下限があります。また、実際の金額は受給者によって異なります。ここでは育児休業支給額の計算方法を解説します。
1ヵ月あたりの支給額は、以下の計算式から算出されます。

  • 育児休業開始から180日
    [休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)]×67%
  • 育児休業開始から181日目以降
    [休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)]×50%

休業開始時賃金日額:申請時に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」をもとに、
育児休業を開始する前6ヵ月間の賃金を180(日)で割った金額 
賃金:手取り金額ではなく給与額面(通勤手当、住宅手当、残業手当などを含む)

たとえば賃金が月額30万円の場合、以下の計算になります。

  • 休業開始時賃金日額:30万円×6か月÷180日=1万円
  • 育児休業開始から180日
    1万円×30日]×67%=20万1,000円
  • 育児休業開始から181日目以降
    1万円×30日]×50%=15万円

育児休業給付金の申請の仕方

次に、育児休業給付金の申請方法をご紹介します。申請するにはいくつか手続き、書類の提出を行わなければなりません。育児休業給付金は申請してから実際に支給されるまで数ヵ月を要します。
なお、申請は原則として事業主経由でおこなわれますが、希望すれば受給者本人(労働者)が提出することも可能となっています。

労働者側が用意する育児休業給付金の申請書類

申請者(労働者)は事業主から育児休業給付受給資格確認票と育児休業給付金支給申請をもらい記入します。記入の際、マイナンバーも必要になるため事前に確認しておきましょう。申請者(労働者)が事業主の管轄部署(総務、人事部など)に育児休業給付金の申請をする際、以下の書類(書類A)の提出も必要になります。

< 書類A >

  • 育児を行っている事実が確認できる書類(母子健康手帳など)の写し
  • 給付金を受け取る用の口座の通帳の写し

事業主側が用意する育児休業給付金の申請書類

事業主側は労働者から申請を受けたあと、以下の書類(書類B)を、事業所の所在地を管轄しているハローワークに申請します。

< 書類B >

  • 育児休業給付金支給申請書
  • (初回)育児休業給付金支給申請書
  • 育児休業給付受給資格確認票
  • (雇用保険被保険者)休業開始時賃金月額証明書
  • 支給申請書の内容が確認できる書類(賃金台帳、出勤簿など)

申請の流れ

それでは実際の申請の流れをご紹介します。こちらでご紹介するのは、事業主を通じて申請する手順ですが個人で直接ハローワークに申請する際も、ほぼ同じフローとなります。
なお申し込みの期限は、育児休業開始日から4ヵ月経過後の月末までです。育児休業給付金は原則として、一括申請でなく2ヵ月ごとに2ヵ月分をまとめて申請します。

  1. 申請者が、事業主の管轄部署(総務、人事部など)に育児休業予定を伝える。
  2. 事業主側が、事務所の所在地を管轄しているハローワークに書類Bを申請する。
  3. 書類が届き次第、育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書を申請者が記入し、書類Aを添付して、事業主側に提出する。
  4. 事業主側が書類A、書類Bをまとめて管轄のハローワークに提出する。

育児休業給付金の延長条件

育児休業給付金は、原則子どもが1歳の誕生日を迎える前日までが支給対象期間ですが、保育所等に預けられないなどやむを得ない場合は最大2歳まで延長することができます。
これまでは育児休業給付金の延長は1歳6ヶ月まで可能でしたが、 平成29年雇用保険制度の改正により、理由があればその期間を2歳まで支給期間の延長できるようになりました。

育児休業の延長は、育児・介護休業法で定められているため、正しく取得させないと法令違反になります。なお延長の条件は下記になります。いずれの場合も「育児休業取得者本人が、子どもの保育を続けなければいけない状況下にあるため、仕事ができない」ケースが前提となります。

  • 1歳の誕生日に認可保育所に入所する申し込みをしていたが入所できなかった
  • 育児休業明けに子どもの養育を予定していた配偶者が死亡した
  • 育児休業明けに子どもの養育を予定した配偶者と離婚(別居)した
  • 育児休業明けに子どもの養育を予定していた人が病気などで養育が難しくなった
  • 新たな妊娠によって6週間以内に出産予定、もしくは産後8週間を経過していない

延長する場合の申請の流れ

育児休業給付金の支給期間を延長する場合も、手順に沿って申請をおこなう必要があります。事前に育児休業延長の届出は必要ありません。延長の申請先は、初回申請先と同じハローワークです。なお、事業主を通じて申請もできますが、個人でもできます。

  1. 申請者(労働者)から、育児休業の延長の申請を受ける
  2. 申請者に育児休業の期間、復職時の労働条件などについて通知する
  3. 社会保険料免除の延長の手続きをする
  4. 育児休業給付金の延長の手続きをする(書類をハローワークに提出)

なお延長希望の場合は理由に応じて以下の添付書類が必要になります。

添付書類

  • 1歳の誕生日に認可保育所に入所する申し込みをしていたが入所できなかった場合:
    市区町村が発行された保育所に入所できないことの書類(書式などは市区町村によって異なります)
  • 育児休業明けに子どもの養育を予定していた配偶者が死亡した場合:
    世帯全員が記載された住民票の写しおよび母子手帳の写し
  • 育児休業明けに子どもの養育を予定した配偶者と離婚(別居)した場合:
    世帯全員が記載された住民票の写しおよび母子手帳の写し
  • 育児休業明けに子どもの養育を予定していた人が病気などで養育が難しくなった場合:
    医師の診断書および母子手帳の写し
  • 新たな妊娠によって6週間以内に出産予定、もしくは産後8週間を経過していない場合:
    母子手帳の写し

第2子以降の申請があった場合の事業主側がやるべきこと

第1子の育児休業給付金受給中に第2子を妊娠、または復帰後に第2子を妊娠するケースもありますので、そちらについてもご紹介します。
第2子以降も労働者が雇用保険に入っていれば同様に育児休業給付金を受け取ることができます。育児休業給付金は第2子以降も第1子と同様の条件、申請方法になります。
ただし、第2子のときは状況が変わっている可能性が考えられます。たとえば正規雇用から非正規雇用に雇用形態を変更していたり、就業時間を短時間にしていたり(短時間勤務)することが想定されます。育児休業から復帰後は、「月に11日以上働いた実績」があるとそれが給付される金額として計算されるので、上記のような状況変化により復帰前に比べて月例賃金が減っていれば育児休業給付金額が下がるでしょう。労働者にはその可能性があることを伝え、認識齟齬がないようにしましょう。

また、第2子の産休・育休を取得する際、「ずっと復帰せずに/復職後すぐに育休を取得することで事業主側に迷惑をかけてしまわないか」「今後のキャリアはどうなるんだろう」など労働者が悩む場合があります。労働者の不安軽減のためにも、定期的な連絡などおこなうなどして早い段階で相談してもらえるような体制を整備しておきたいですね。

まとめ

いかがでしたか?記事でご紹介したように育児休業給付金にかかる手続きはとても複雑で、条件もさまざまです。タイミングもそれぞれ異なるためその労働者ごとに管理をすることになりますが、事務が煩雑になり、ミスやトラブルにも繋がりかねません。
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この記事の執筆者:上野谷 (マーケティング本部)

金融機関に新卒入社し、3年間ほど個人営業、法人融資などの業務を経験。
2020年にドリーム・アーツに入社し、本部-店舗間コミュニケーションツール「Shopらん」のマーケティングを担当。2021年からInsuiteX、SmartDBも担当しています。