あなたのビジネスにハンコは必要か

テレワークが定着する中、皆さんの身の回りでも色々なモノのあり方が変わったのではないでしょうか。
ワークスペースはオフィスから家に、コミュニケーションは対面からWeb会議ツールに、といった具合で完全移行ではなくとも選択肢自体は以前より増えたという企業が今や多くを占めているように感じます。モノの大小はありますが、「ハンコ(印鑑)」も同じように電子印鑑・電子署名へと変わっていく流れの中にあります。

ハンコの利用シーンを振り返る

ビジネスにおいてハンコがどういった役割をこれまで果たしていたのか考えてみると、契約書などの重要書類はもちろん、システムが未整備な時代には社内回覧などでも押印機会が多くありました。ほんの10年前くらいまではタバコ部屋などと同じように、押印依頼などのやり取りは上司や先輩との貴重なコミュニケーション機会でした。

親戚からの入社祝いでハンコをもらったという世代の方もいらっしゃるでしょう。こういった機会があったからなのか、ビジネスにおいてハンコは重要かつ不変のモノという固定観念が多くの人に植え付けられているように感じます。

一方で今や永田町や霞が関でも有識者の間で連日議論されていますが、猫も杓子も「脱ハンコ」という風潮には違和感を覚えます。業務をデジタル化するサービスを扱っている立場だからこそ、この問題に向き合ってみたいと思いました。

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ハンコを押印する業務とは

ビジネスにおいてハンコの押印をするシーンは大きく分けると「対外文書」と「社内文書」の2つに分けられます。

1.対外文書

法的な証拠能力の高さから、ハンコは根強くその重要性を保ち続けています。
しかし、実際には口頭だけでも契約は成立するのが「契約自由の原則」であり、ハンコでのやり取りは念のためや以前からの商習慣という理由が強いようです。

とはいえ、ハンコの証拠能力を考えると、なんでもかんでも乱暴に口頭で成立させるのはもってのほか。「ハンコ不要」「電子印鑑でOK」「ハンコでなければ駄目」などの文書属性をしっかりと整理しながら、電子印鑑・電子署名などのサービス選定を進めることをオススメします。

2.社内文書

届出書や稟議書などが代表的な社内文書といえるでしょう。
社内文書は法的な証拠能力ではなく、正しい権限や順序で承認が行われているかの証跡としてハンコが用いられています。

一見納得できる内容のように思えますが、社内文書では印影などの確認はほぼないため、改ざんが容易で実はリスクが高いのです。権限が整備されたワークフローシステムを導入することで、物理的なハンコではなく、その人でなければ承認できない状況づくりを徹底する方がはるかに内部統制レベルを高めることに繋がります。

上場企業が考えなければならないポイント

上場企業の内部統制を考えた場合には、証跡という点から社内だけでなく監査に係る社外関係者とのコンセンサスも考慮に入れる必要があります。「対外文書」と同様、社内だからなんでもかんでもは禁物なのです。
もちろん、私たちドリーム・アーツのように業務デジタル化サービスを大企業向けに提供している企業も注意を払う必要があります。

脱ハンコ = 電子印鑑・電子署名は正しいのか

2000年に施行された「電子署名法」から電子印鑑・電子署名は少しずつ身近になっていますが、物理的なハンコを電子に置き換えればOK、とそう単純でもないようです。

例えば電子印鑑だけでも様々なタイプがあり、画像編集ソフトで実際の印鑑・印影を切り取るようなシンプルなタイプは認印以上の効力は認められず、業務効率の観点でもせいぜい社内文書までの利用用途となるでしょう。問題解決としては道半ば感が否めません。

電子化してもハンコから離れられないシステム

「社内文書同様に改ざんなどのリスクも考える必要があり、防止機能を持ったサービスも登場しています。しかし、ワークフローのシステムであれば、起案や承認などのステップでの電子ログが残るため、さらにハンコまで必要なのかはしっかり関係者の間で話し合ってみる必要がありそうです。

ハンコを電子へと単純に置き換えるのではなく、業務自体を見直すことも含めて効率化を追求していきましょう。

アナログ→ITではなく、非効率→効率で考える

ハンコが電子印鑑・電子署名へ変わる時、「方法が変わった」「これまでより楽になった」という反応が出るのは当たり前。選定時点から「業務が効率化された」「本来業務に集中できる」といった、本質的な効果を追求して課題に取り組んでいきましょう。

ハンコをなくしてITの価値を引き出すには

ここまで見てきたように、「ハンコをなくせ〜、時代は電子印鑑だ〜」では手段の代替にすぎません。
なぜハンコをデジタル化していくのかは選択肢を電子印鑑・電子署名に限定せず、業務効率化・デジタル化まで観点を広げることでITの本来価値を引き出すことも可能です。
この記事が皆さんの気づきにつながれば幸いです。

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