
顧客管理とは、顧客との関係を管理することです。 顧客行動の変化や購入プロセスの長期化に対応でき、顧客と良い関係を築くことができます。効率よく顧客管理するには、自社の目的に合った顧客管理システムの導入が不可欠です。
今回は、顧客管理の基本概念から必要とされている理由、良い関係を築くことができる理由、顧客管理システムを利用するメリット、選び方までご紹介します。
顧客管理とは?
顧客管理の重要性とその役割
顧客管理とは、顧客情報(過去の取引内容や売り上げ履歴など)を収集・管理し、顧客との関係を最適化する取り組みです。CRM (Customer Relationship Management)とも呼ばれ、それぞれ以下の意味を持ちます。
Customer = 顧客
Relationship = 関係
Management = 管理
顧客管理の目的は、単なる情報管理ではありません。顧客にとって最適なタイミングで最適な提案をすることを目的としています。
顧客管理が重視される背景
顧客行動の変化
顧客行動の変化
インターネットの普及により、顧客は受動的に情報をうけとるのではなく、自ら検索し比較・検討することが一般的になりました。つまり顧客が購入するまでのハードルが高くなり、従来の手法(TVCMや営業活動)だけでは十分な効果が得られなくなっています。
購買プロセスの長期化
購買プロセスに比較・検討する時間が増えたことで、購入までのプロセスが長期化しています。
- 以前の購買プロセス :注目→興味→欲求→記憶→購入
- 現在の購買プロセス :認知→関心→検索→比較→検討→行動→共有
休眠顧客の増加
さらに、取引後に放置されたままの顧客(休眠顧客)の増加も顧客管理が必要とされている要因です。顧客行動の変化や購買プロセスの長期化により、休眠顧客が増加しやすくなっています。 休眠顧客を掘り起こし、再び関係を構築することがより求められるようになりました。
顧客管理で必要な項目
- 属性情報
属性情報とは、顧客管理の基本となる企業情報です。顧客の会社名や所在地、業種や資本金、従業員数、決算期など、顧客のコーポレートサイトや資料をもとに整理しましょう。
属性情報- 氏名
- 所属している部署(役職)
- メールアドレス
- 電話番号 など
- 取引・購買履歴
企業との取引で商談が複数あり並行しておこなわれる場合には、商談ごとに内容をまとめて以下の情報を履歴に残すことも重要となります。日時もあわせて情報を記録することにより、顧客とアポイントを取りやすい時期が分析できるようになります。
- これまでの商談の内容とその履歴
- サービスサイトやマイページといったWebでのアクセス記録
- DMやお問い合わせの履歴
- 収益情報
顧客が購入した商品の累計売上や累積利益、平均単価・平均購買頻度など、これまでの収益に直結する情報は必ず記録に残すようにしましょう。収益情報は、優良顧客となりえるユーザーは誰か、優先順位はどの顧客かが明確になるため、自社の業務効率の向上にも役立ちます。
- 累計購入額
- 平均購入単価
- 年間購入額
- LTV(ライフタイムバリュー)
- そのほか重要な情報
以前に発生したクレームやトラブルの詳細を記録し、社内で再発防止の対応をおこなうことで顧客から信頼を再び得るきっかけとなります。顧客の要望や指示、対応内容を詳細に記録することで担当者以外でも状況を把握しやすくなります。処理状況や顧客日、顧客名、内容などは都度記載し、迅速な対応や対策につなげましょう。
- 顧客満足度
- 顧客の興味・感心
- トラブル対応の詳細
- クレーム・問い合わせ履歴
顧客管理システムのメリット
効率的な情報管理と共有
従来、顧客情報は営業担当が個別に管理しており、社内共有が不十分なため異動や退職の引継ぎに時間がかかるという課題がありました。
顧客管理システム導入をすることで、情報を一元管理できるようになり対応漏れや引継ぎ時間の削減が可能になります。また、業務上必要な人であればいつでも顧客情報にアクセスできるため情報共有の手間が省けるうえ、担当者が不在でも迅速な対応が可能になります。
顧客関係性の強化による顧客満足度向上
顧客管理システムを活用し顧客情報や購買履歴を分析することで、一人ひとりの顧客に合わせたサービスが提案可能になります。また、ユーザー企業の各担当者情報を併せて管理することでより正確な顧客との関係性を把握し、満足度の高い長期的な関係性が期待できます。
売上アップにつながる質の高いマーケティングの実現
蓄積されたデータを分析することで、顧客のニーズや行動パターンを深く理解できます。その結果、顧客ごとのニーズに適したアプローチが可能となり、営業効率が向上します。また、アプローチに対する結果を収集・分析することでより効果的なマーケティング施策を検討・実行することができます。
顧客管理システム選びのポイント
使いやすさ
直感的でわかりやすい操作性のツールは、従業員がスムーズに使いこなせるため導入が円滑に進みます。また、基本的な操作が簡単で自社の業務フローに合わせたカスタマイズが可能なことも重要です。
必要な機能が備わっているか
基本的な顧客情報管理や購買履歴管理だけでなく、マーケティングオートメーション、メール配信機能など、業務に必要な機能を確認しておきましょう。さらに、売上分析や顧客分析のレポートを簡単に作成できる機能があればデータドリブンな意思決定につながります。
人的リソースを含めたコストメリット
導入費用は選定に重要な要素です。初期費用や月額費用、カスタマイズやサポートにかかる追加費用を含め全体のコストを把握し予算内におさまるシステムを選びましょう。
また、クラウド型とオンプレミス型ではコスト構造が異なります。
クラウド型
初期費用が抑えられ、インターネット環境があればどこからでも利用可能です。導入時にコストは発生しませんが利用状況に応じて月額費用が増加する可能性があります。
オンプレミス型
自社サーバーにソフトをインストールして利用するため、初期費用が高額となります。保守・運用といったその後のメンテナンスに関しては、すべて自身でおこなう必要があります。>
他システムとの連携
顧客管理システム単体で業務をすべてカバーするのは難しいため周辺システムとの連携可否の確認が必要です。API連携機能や、インポート/エクスポート機能を備えたツールを選ぶとよいでしょう。たとえばERPや会計システムと連携することで、以下のような効果が期待できます。
ERP連携
顧客情報や取引データをリアルタイムで統合し、業務全体の可視化と効率化を実現。たとえば、営業部門が登録した受注情報がERPに自動反映され在庫管理や生産計画と連動します。
会計システム連携
取引履歴や請求データを自動で会計システムに反映し、経理業務の手間を削減。これにより、売上や費用の集計が効率化され正確な財務データを迅速に作成できます。API連携やインポート/エクスポート機能が備わったシステムを選ぶことで、これらの周辺システムとスムーズに統合でき業務全体の効率化が可能です。
ERPフロント業務(MCSA)のデジタル変革 SmartDBを基盤にDXを加速!セキュリティ対策は万全か
顧客管理システムでは、機密性の高い顧客情報を扱うためセキュリティ面の対策が重要です。サイバー攻撃や不正アクセスなどにより情報漏えいのリスクへの対策を考慮しましょう。特に、顧客情報の漏えいは社会的信用を喪失にとどまらず、顧客への金銭的賠償や顧客離れ、さらには株価の下落など多方面にわたる深刻な影響を及ぼす可能性があります。システム導入前に強固なセキュリティ対策が施されているかを必ず確認することが大切です。
大企業のDX実現に欠かせない「SmartDB」の安全対策顧客管理に活用できるシステム群
【CRM(顧客管理システム)】
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係性やコミュニケーションを一元管理するためのシステムです。購入履歴や利用履歴、セミナー参加や展示会来場の履歴、クレーム対応記録、営業活動の履歴だけでなく、年齢、性別、地域、性格や趣味嗜好などの詳細な顧客情報も管理可能です。常に最新の顧客情報を把握できるため、無駄なやりとりを削減し顧客満足度向上を目指すことができます。
【SFA(営業支援システム)】
SFA(Sales Force Automation)は、顧客情報や商談進捗、営業活動の詳細を管理するためのシステムです。属人化しがちな営業活動やノウハウを可視化し、データを活用して営業プロセスを効率化できます。これにより、売上や利益の向上に貢献するだけでなく営業業務の効率化や案件管理による時間コストの削減が可能です。
【MA(マーケティングオートメーション)】
MA(Marketing Automation)は、マーケティング活動を自動化し、業務効率を向上させるシステムです。自社サイトのアクセス解析やユーザーからの問い合わせを管理、潜在顧客が顧客化したプロセスの分析と可視化が可能です。また、マーケティング業務を自動化することで業務効率の向上も期待することができます。より効果的な顧客管理をおこなうためには、CRMシステムとの連携が推奨されます。
【Excel(エクセル)】
MicrosoftのOfficeを導入している企業では、Excelを追加コストなしで利用できます。カスタマイズ性が高いため、自社の要件に合わせた運用が可能です。しかし一方で、人為的ミスによるデータ破損や情報漏洩のリスクがある点には注意が必要です。さらに、複数人での管理には不向きで、リアルタイムなデータ更新や集計が困難です。複数部署でExcelを使用して顧客管理をおこなう場合には、更新ルールや手順を明確に決めて運用することが重要です。
「SmartDB」で顧客管理を実現
「SmartDB」は、ノーコード開発プラットフォームです。Webデータベース機能により顧客情報を一元管理できます。ダイナミックブランチ機能などのアプリ同士を連携する機能群を活用することで、顧客情報を管理しているアプリから関連情報の参照や顧客情報起点で業務をすすめられます。 また、これらをノーコードで実現可能なため、事業部門の方々自らがデジタル化に参加し、利用開始後も外部環境にあわせて自分たちでシステムをメンテナンスできる状態を作ります。さらに、「Salesforce」や「Marketo」などの専用SaaSとの連携で、より高度な顧客管理が可能です。
顧客情報に関連する事業部門の方々自らによるデジタル化を実現し、利用開始後も外部環境にあわせて自分たちでシステムをメンテナンス可能です。
外部システム・SaaS連携(標準連携・API連携)
【連携事例】「SmartDB」×「Salesforce」×「Sansan」連携
効果を最大化するためには、各システムの導入目的を明確にしルールを策定して周知することが重要です。
ぜひ、「SmartDB」で顧客管理を実現しましょう!
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この記事の執筆者:岩瀬(マーケティング本部)
人材会社にシステム職として入社し、サービスのシステムインフラを構築・運営を経験後、営業支援業務やマーケティング業務に関わる。2022年ドリーム・アーツに入社。