プロジェクトを進行していると、さまざまな問題や検討事項が発生します。それらを放置したり適切な対応を取らなかったりした場合、より深刻なトラブルを引き起こしかねません。
そのような事態を避けるために必要なのが「課題管理」です。今回は、課題管理とは具体的になにをすることなのか、必要な理由や対応すべき事項を解説します。
課題管理表に必要な項目や、実際の管理・運用方法、課題管理に適したツールなども紹介しますので、参考にしてください。
課題管理って?
課題管理とは、プロジェクトの目標達成に向け、解決すべき問題を把握・管理し改善・解消に向け取り組むことを意味します。プロジェクトは、計画を立ててもなかなかそのとおりには進みません。むしろ想定と現状のズレが生じることのほうが多いものです。その原因が「課題」です。
課題はプロジェクトの妨げとなることから、解決に努めなければ目標達成は難しくなります。しかし、課題は複数平行して発生することも珍しくありません。複数の課題を整理・優先順位付けし、期限や担当者を決め、計画的に課題解決に取り組むために「課題管理」が必要なのです。
課題管理が必要な理由
課題管理が必要な理由は5つあります。
- 対応漏れを防止できる
- 思い込みによる誤判断を防げる
- 正確な現状把握が可能になる
- 個人の負担を軽減できる
- 未知の内容に対応できる
順番に解説します。
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対応漏れを防止できる
課題管理ができていると、対応漏れを防止できるようになります。たとえばプロジェクトに取り組んでいる途中で課題を感じたものの「後でやろう」と思い、そのままうっかり忘れてしまったことはないでしょうか。そのようなときでも、課題を簡単にタスク化する仕組みがあれば、その場で書き留めておけるようになります。そうすれば、そのとき対応できなくてもあとで確認できるので、対応漏れを防げます。
しかし課題をタスク化しても、複数人が関わるプロジェクトの場合、「だれかがやっている」と考え放置されてしまいがちです。そのため課題は「だれが」「いつまでに」「どのように」取り組むのかを調整して管理する必要があります。課題管理は、とくに複数人でプロジェクトに取り組んでいる場合の対応漏れ防止に、高い効果を発揮します。
思い込みによる誤判断を防げる
課題管理をおこなうと、「やったはず」「ここまでは終わっているはず」といった思い込みによる誤判断を防げるようになります。
課題を書き出すことなく頭のなかだけで管理していると、どこまで対応したかわからなくなってしまいます。とくに複雑なプロジェクトだと次々に課題が発生し、先に感じた課題を忘れてしまうこともあるでしょう。たとえ小さな課題であっても、対応が漏れてしまうことで大きな問題に発展するかもしれません。
あるいは対応してもその内容を記録しなければ、どこまで進めたかわからなくなり、誤った判断や対応をしてしまうことも考えられます。課題を記録しきちんと管理しておけば、対応を中断することがあっても、どこから再開すればよいかわかるのです。
正確な現状把握が可能になる
現状を正確に把握するためにも、課題管理は重要です。課題を抽出してリストにしたものの、どのように改善を進めるのか、どの時点をゴールとするのかが定まっていないと、なにをすべきかがわからなくなるためです。その結果、時間をかけたのに課題が解決せず、プロジェクトのスケジュールが遅れる、成果物が仕上がらないなど、より大きな問題に発展する可能性があります。
一方課題管理をおこないゴールを定めて計画的に取り組めば、だれが・どの課題に取り組んでいるのか、今どの程度進んでいるのか、問題なく解決に向かっているのかなどが可視化され、現状を正確に把握できるようになります。対応に遅れが出ているようなら担当者をフォローしたり、全体スケジュールを組み直したりできるため、結果的に新たな課題の発生を防ぐことにもつながるのです。
個人の負担を軽減できる
課題管理が適正におこなわれるようになると、個人の負担軽減にもつながります。課題といっても大小さまざまなものがあり、なかには個人が取り組むには負担が大きく、時間がかかるようなものも少なくありません。対応に取り組んでみたものの、想定よりも困難だとわかる場合もあるでしょう。
そのようなときに課題管理されていなければ、アサインされた担当者だけに大きな負担がかかり続けてしまいます。残業が増えて疲弊し、ほかの業務に遅れが出てしまうかもしれません。チームで課題管理をおこなえば、常に現状を把握できるため、解決に向けて人員を増やしたり、スケジュールを見直したりすることができます。個人への過重な負担を軽減することは、結果的に全体への大きな悪影響を防ぐことになるのです。
未知の内容に対応できる
プロジェクトを進行するときには、これまで経験のない未知の内容に対応しなければならないことがあります。そのようなときでも課題管理をおこなえば、適切に対応が可能です。対応すべき内容を、複数のタスクに分割して相互関係を把握し、課題としてひとつずつ解決していくことができるためです。
たとえばこれまでとは異なる市場に進出するときには、「4P分析をおこなう」「市場規模を調べる」「競合調査を実施する」などタスク分解し、対応していくとスムーズに進められます。そのようなときにいきあたりばったりで対応すると、取り組みを複雑化させてしまったり、むだに時間を費やしてしまったりする可能性があります。しかし個々の課題に期日や目標を設定し一元管理して進めれば、未知の内容でも着実にゴールに向かえるでしょう。
課題管理するべき対象
課題管理が必要となる対象は3つあります。
- 問題事項
- 調整が必要な事項
- 想定しうるリスク
どのような内容か、順番に解説します。
問題事項
問題事項とは、プロジェクトを進行するうえでの障壁となる課題のことです。問題事項は、解決しなければプロジェクトを達成できくなる可能性があるため、適切に課題管理し対応する必要があります。とはいえ、プロジェクト進行中に発生するすべての問題を課題として管理すると、工数が増えてスケジュール進行に遅れが出てしまいかねません。
そのため基本的には個人での解決が難しい問題や、解決までに時間がかかる問題、プロジェクトの進行の妨げになる恐れがある以下のような課題などを問題事項として管理します。
<問題事項の例>
- 技術的に解決が難しい
- 情報が不足しており解決に時間がかかる
- 未知の内容で手順や対応を調査する必要がある
上記のような問題は、課題管理をおこない内容を記録しておくことで、今後に役立てられるのもメリットです。
調整が必要な事項
プロジェクトを円滑に進めるためには、さまざまな調整をおこなう必要があり、そのような事項も課題管理の対象となります。以下のような内容が、調整事項に該当します。
<調整事項の例>
- ステークホルダーなど関係者との取り決めが必要な事項
- 外部から依頼を受けた事項
- 外部に依頼している事項
ただし問題事項と同様に、調整が必要な事項についても、基本的にその場ですぐに解決できるような内容であれば、課題管理する必要はありません。調整に時間がかかりそうなもの、あとのスケジュールやタスクに影響がありそうなものを、課題として適切に管理していけばよいでしょう。なお、調整事項は課題管理として扱わず、メールで済ませることも多いのではないでしょうか。しかしメールでは、課題への対応状況の可視化・把握をチームとしておこなうのが難しくなってしまいます。そのため例示したような調整事項は、課題管理をおこなうことが大切です。
想定しうるリスク
プロジェクトを進めるうえで想定しうるリスクがある場合には、あらかじめ課題として整理しておくといざというときに管理しやすくなります。たとえば以下のような事項が、想定しうるリスクとして挙げられます。
<想定しうるリスクの例>
- 情報漏えいなどセキュリティ上のリスク
- クレームの多い関係者の存在
- 外部が要因となるリスク(取引先の倒産や投資中断など)
リスクに対しては、リスク発生に備えて保険に入る、情報漏えいを防ぐためにセキュリティ会社に管理を依頼するなど、事前に回避策を施しておくことが大切です。そのうえで、リスクに対してどのような対策を検討したのかを課題管理として記録しておきましょう。そうすれば、実際に問題が発生したときに、経緯を把握し対応を検討しやすくなります。
課題管理表の作成・運用方法
ここからは、課題管理するために必要な「課題管理表」の作成方法や運用方法を解説します。
項目作成
まずは、課題管理表で管理する項目を決めましょう。課題管理で必要とされる項目には以下のようなものがあります。
- 課題番号
- 課題名
- 課題の発生日
- 課題担当者
- 課題の内容
- 重要度(優先度)
- 対応方法
- 対応担当者
- 対応期日
- 対応完了日
- 対応ステータス/li>
プロジェクトの規模や内容、かかわる人数によっては、すべてが必要とは限りません。課題管理する項目については、プロジェクトやチームで話し合ったうえで、取捨選択するとよいでしょう。
優先順位をつけ、重要事項から対応
課題管理していく際には、課題に優先順位をつけ、重要事項から対応していきます。課題といっても、すべてが同じ重要度ではないことがほとんどです。急ぎ対応しなければプロジェクトに深刻な影響を与えるものから、最悪対応しなくても運用でなんとかなるもの、先延ばしにしても問題ないものもあるでしょう。予算や期限によっては、対応を見送る選択を余儀なくされる場合もあります。
限られた時間とリソースを最大限活かすためには、課題管理においてはプロジェクトへの影響が大きく重要度が高いものから、優先的に対応することが求められます。重要度(優先度)の高い順にソートできるようにしておき、さらに進行状況をステータスで管理すれば、効率的な課題管理が可能です。
日々、漏れなく登録・更新し続ける
課題管理する際には、日々発生する課題を漏れなく記録し、対応したときにはステータスを変更する、対応内容を追記するなど、課題管理表を更新し続ける必要があります。そうすることで、プロジェクトにかかわるメンバーが常に最新の課題を把握し、進捗を確認できるようになるためです。
せっかく課題管理表を作成しても内容が更新されなければ、その課題への対応がどこまで進んでいるのか、解決に向かっているのかを把握できません。結局担当者に都度確認するようでは非効率です。また対応が進んでいないと思い別の人が対処することで、二度手間になってしまう可能性もあるでしょう。課題管理表が適切に更新されていれば、課題解決に行き詰まっているときには人員配置を見直したり、スケジュールを組み直したりできるようになります。結果的に、プロジェクトのスムーズな進行につながるのです。
課題管理はエクセルでしない方が良いのはなぜ?
課題管理表は、エクセルで作成して運用している企業が多いのではないでしょうか。
しかしエクセルでの管理は、データを上書きされる、ファイルを個別管理することで最新版がわからなくなるなどの問題が発生する恐れがあります。適切な運用ができなくなってしまうため、エクセルは課題管理に適していません。とくに近年リモートワークが増えていることを考えると、課題管理はだれでもどこからでも常に最新版を参照・更新できる、クラウド型のツールを活用するのがおすすめです。
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課題管理のように、常に最新版を関係者全員が参照・更新するようなものは、Webデータベースで管理しましょう。
Webデータベース化には、以下のようなメリットがあります。
- 情報が1ヵ所に集まる状態を維持できる。
- Web化されることで、最新の情報を共有できる。
- 項目を管理された状態で使用できる。
- 管理表と詳細を分けて表示できる。
さらに、ワークフローを追加することで、課題への対応状況の入力や進捗管理なども実施しやすくなります。
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リアルタイムな情報共有
課題を簡単に登録することができ、登録と同時に、関連するメンバーにリアルタイムで共有されます。リアルタイムな情報共有により、課題への対応スピードが向上します。さらに「Teams」との連携で業務を加速し、チームコミュニケーションの活性化を促します。
ワークフローによる進捗管理
課題が登録されてから完了するまで、進捗を管理することができます。ワークフローを使用すれば、だれがボールを持っているのか責任がハッキリします。うやむやの内に完了となることもありません。
条件に応じた入力制御
入力した内容に応じて、入力が必要な項目を変更したり、入力項目を切替えたりを画面から簡単に設定できます。記載漏れや入力間違いといった課題管理よりも前段階の仕事から解放され、課題管理に集中することができます。
変更に対する高い柔軟性
管理するための情報を、運用しながら追加したり、変更したりすることも簡単です。業務にあわせて柔軟に対応することができます。当然ですが、項目の追加・変更を管理者のみに制限することもできます。
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課題管理の次はタスク管理についても考えてみましょう。
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