3ヵ月で約250業務のデジタル化を「SmartDB」で実現
40名のデジタル人材を現場部門から創出

3ヵ月で約250業務のデジタル化を「SmartDB」で実現!40名のデジタル人材を現場部門から創出
三菱オートリース株式会社

業種 サービス
従業員数 従業員数:1,064名(2023年1月末時点)
導入時期 2021年5月
TOPICSTOPICS
  • 「SmartDB」ならだれでも開発者になれる
  • 段階的な業務のデジタル化が成功のカギ
  • デジタル人材 ”業務デザイナー” を、現場からどのように育成したか?
  • デジタル・マインドを全社員に広げていきたい
 

自動車リースなどモビリティサービス事業を展開する三菱オートリース株式会社(以下、三菱オートリース)は、コロナ禍をきっかけに、出社しなければ対応できなかった紙の申請書を中心とした、業務プロセスのデジタル化を実現しようと決意。そこでドリーム・アーツの「SmartDB(スマートデービー)」を導入し、3ヵ月間で約250業務以上をデジタル化した。その後、さらなる利用拡大の取り組みとして、各現場部門から志願者を募り、40名もの業務デザイナーの育成に成功。業務デザイナー自ら「SmartDB」を活用し、業務を変革するというマインドのもと、今までにないスピード感で業務のデジタル化を推進中。今後も、三菱オートリースは業務デザイナーを増員し、人を介さない業務オペレーションの変革を実現するべく、挑戦し続ける。

デジタル戦略部を立ち上げてすぐコロナ禍に

三菱グループとしてオートリース事業を中心に日本全国でサービス提供している三菱オートリース。三菱オートリースは従来、社内の申請業務は紙が中心となっていた。2020年4月、中期経営計画の一環として、将来的な「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を見据えデジタル戦略部が設立。「デジタルを活用し、人を介さない事業オペレーションへの変革」をミッションにデジタル戦略部の新たな挑戦が始まったのだ。

設立してすぐ、新型コロナウイルスの流行に伴い初の緊急事態宣言が発令された。半ば強制的に働き方をテレワークへ移行する必要があるなか、紙を中心とした業務オペレーションに限界が生じ始めた。 そこで三菱オートリースは、2020年6月に全社アンケート調査を実施。インフラ整備が進んでいない状況下、テレワークへ移行したことによって「生産性が低下」と回答した従業員の割合は58%までに上った。この結果を重く受け止め、デジタル戦略部は早急に、働く環境に左右されない業務オペレーションを確立するべく、動き出したのだ。

「SmartDB」ならだれでも開発者になれる

働く環境に左右されない業務オペレーションの確立という目標のもと2020年7月からツールの調査を開始し、いくつかのツールを比較検討した。最終的に「SmartDB」を採用した決め手はなんだったのか。

「最終的にSmartDBともうひとつのワークフローツールにまで絞りました。もうひとつのツールも機能要件は概ね満たしていたものの、開発者権限は限られた人員に限定される仕組みでした。SmartDBは細かな権限設定によりだれでも安全に開発者になれる。現場の人材も含めて会社全体でデジタル化を推進していきたい、という当社の狙いから考えると、SmartDBが最適だろう、という結論になりました」(デジタル戦略部長 森田氏)

デジタル戦略部長

森田 武志

顧客向けWebサービスの企画開発に長らく携わってきたデジタル戦略部 デジタル戦略課長の岡村氏 は、「語弊があるかもしれませんが、失敗できるところが、SmartDBの良いところです。これまでのシステム開発プロセスでは、開発申請書を起案し承認を得てからでないと開発ができず、承認されても開発担当者の手が空いていなければ、開発が止まってしまう。そうしたいくつもの障壁があり、ひとつの業務をデジタル化するのに半年以上かかることもありました。ところがSmartDBであれば、実際の業務に携わるメンバーで自律的に開発を進めていくことができる。そこが、SmartDBの魅力です」と評価する。

三菱オートリースでは、今後も積極的にSaaSの導入を検討している。その理由は「思い立ったらすぐにスタートできること」が挙げられる。「毎月の利用料金だけ支払えば保守要員もいらない。コロナ禍で早急にテレワークへの対応が求められていた当時、SaaS製品のSmartDBだったからこそ、スピード感をもって対応できたと考えています」(森田氏) もちろん、拡張性の高さも魅力のひとつだ。SaaSであれば、システムは常に最新の機能にアップデートされ続け、日々変化する社会環境にも柔軟に対応できるだろう。

段階的な業務のデジタル化が成功のカギ

驚くべきスピード感で業務のデジタル化を進めてきた三菱オートリース。その成功のカギは2つのステップで実施した段階的な業務のデジタル化にある。「当社の社内手続きのほとんどが紙ベースでおこなわれていて、手続きのための約350の書式がポータルサイトに掲載されていました。そこで、『今ある書式をそのまま使ってワークフローを作成してしまえば早い』という考えのもと、まずは業務集約によるペーパレス化を目指しました」(森田氏)

ひとつ目のステップとしてざっくりとした種別ごとに「SmartDB」のアプリを作成。コロナ対策として早急にテレワークへ切り替える必要があったことからスピードを重視し、紙をなくすことに注力した。その後、「SmartDB」で利用状況が可視化されたことで、利用頻度の高い業務は専用のアプリを作成する。その結果、3ヵ月間で約250業務の業務のデジタル化を実現。スピード感のある取り組みで大きな成果をだすことができた。

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K-TAS画面イメージ

デジタル戦略部 デジタル戦略課 課長

岡村 隆輝

「従来までは社内外手続き後、重要な書類は別途契約している倉庫に保管しており、入庫するにも、書類を送る手配をしなければならず、業務の手間になっていました。SmartDBを導入することで、単に紙がなくなっただけでなく、入庫業務も不要となり、業務そのものが変わったと感じます」(岡村氏)

「SmartDB」の導入以前に実施したアンケートでは「テレワークで生産性が低下した」と回答した従業員の割合は58%にものぼったが、導入後1年足らずで33ポイントも低下させることができ25%となった。また、これまで出社を前提とした三菱オートリースの働き方が、98%テレワーク可能という結果となり、まさに働く環境に左右されない業務オペレーションの確立へ、大きな第一歩を踏み出した。

「システム導入を進めていく上で必要となるのが費用対効果の算出だが、紙の業務がデジタルに置き換わり、見える化されただけでその効果は大きいはずです。早期デジタル化を優先し、改良・改善を繰り返すことが重要だと考えています」(森田氏)

デジタル人材 ”業務デザイナー” を、現場からどのように育成したか?

ITツールを活用し業務をデジタル化する役割を担うのは情報システム部だ、そう考えるのが従来的な考え方だろう。しかし、三菱オートリースは違う。「SmartDB」を使って業務のデジタル化を進めていくのはあくまで現場部門の従業員だ。彼らはあくまで現場業務のプロフェッショナルで、IT知識のないメンバーがほとんどだった。三菱オートリースは現在、17部署から選出された40名の業務デザイナーの育成に成功している。どのように業務デザイナーを選抜・育成してきたのか。

「最初にデジタル化したのは、汎用型ワークフローでした。それらの利用頻度をSmartDBで見える化できたので、特に使われているものについては、より効率化するために後から専用化しました。利用状況に応じて順次デジタル戦略部で専用化しようと決めていましたが、各部署からも個別に”自分たちの業務もSmartDB化したい”という声が挙がるようになってきました。そうなると業務デザイナーがもっと必要になるので、各部署に業務の洗い出しと業務デザイナーを選任してもらいました」(森田氏)

業務デザイナーの育成もデジタル戦略部の重要な仕事のひとつだ。育成の中核を担うのは、デジタル戦略部 デジタル戦略課の川田聖子氏。川田氏もこれまでITツールの開発に携わっていたことのない、現場従業員であった。同氏は、「SmartDB」の運用を開始した年にデジタル戦略部へ異動してきたメンバーだ。その後、自身で「SmartDB」のスキルを習得し、各部から業務デザイナー候補者が選任された後、約3か月続いた研修の責任者として、現場従業員への開発支援を実施。研修後、業務デザイナー40名が誕生し、これまでに90業務以上の自部署業務のデジタル化を実現した。

「研修後も月に1回、業務デザイナー向けの相談会を実施しています。会の動画も開発メンバーに共有することで、なるべく多くの方に知識を共有し、個別対応が増えないよう工夫しています。ゆくゆくは、デジタル戦略部の部員が研修しなくとも、業務デザイナーが育成までできるよう、環境を整備していきたいです」(川田氏)

デジタル戦略部 デジタル戦略課

川田 聖子

もちろん、業務デザイナーの仕事は本業務とは別ものだ。だからといって、自分の取り組みが評価されないようではモチベーションも上がらない。そのため、デジタル戦略部から各部署に対して業務デザイナーとしての仕事を人事評価の対象として認めるよう促しているという。「複数の部署から多くのメンバーが集まるこの取り組みについてさまざまな想いを持つ人がいると思います。だからこそ、いつも以上にコミュニケーションをとることを意識しました。プロジェクトに参加する他部署の部課長に対して、実際に育成に関わるメンバーが動きやすい環境を作るように依頼しています」(森田氏)

デジタル・マインドを全社員に広げていきたい

各部署に業務デザイナーを配置したことによって、現場主導で業務をデジタル化する動きが活発になった。岡村氏は「今では、事務局からの声掛けがなくても、各部署内でSmartDB化できそうな業務を積極的に見つけ、開発を進めてくれています。本番リリース直前のレビューと、どうしてもわからないことがあったときにだけデジタル戦略部に連絡がきます」と話す。

なかには、DXやデジタル化など新たな取り組みに気後れしてしまう従業員もいるだろう。特に年配の従業員は新しいデジタルツールを導入することに抵抗感があるが、最近では「この業務をSmartDB化すればいいじゃん」という声が増えてきており、「SmartDB」が三菱オートリースの文化に浸透しつつあるそうだ。

デジタル戦略部の当座の目標は、環境を整備することでデジタル戦略部がいなくともデジタル化が推進されていくような文化を醸成していくこと。その目標に向けて、着々と進みつつある。

「まずはやってみることが大切。私のようなITリテラシーがないメンバーでもSmartDBで開発し、自分たちの力で業務を良くしている実感があります。やる気があればできるはずです」(川田氏)

「繰り返しになりますが、失敗を恐れず1歩踏み出してみてください。やってみないと分からないことばかりです。そうしたトライを重ねるなかで、デジタル・マインドも醸成されていくのではないでしょうか」(岡村氏)

「SmartDBと同様に簡易的なRPAも現場主導で開発できるような環境を整備しています。今回、SmartDBを現場の業務デザイナーたちが主導して導入することで、デジタル活用がより身近になったはずです。我々はデジタル活用を積極的に推し進めようとする姿勢をデジタル・マインドと呼んでいますが、今後はより多くの社員がデジタル・マインドを持って業務に取り組んでもらえるようにしていきます」(森田氏)

三菱オートリースの取り組みは今後益々広がっていくだろう。「SmartDB」で実現するデジタルの民主化の未来はどうなっていくのか。三菱オートリースの挑戦は続く。

※所属部署、役職、インタビュー内容は取材当時のものです。

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