「働き方改革」の目的とは?背景や具体的な取り組みを解説

「働き方改革」という言葉が世間に登場してからしばらく経ちましたが、みなさまは「働き方改革」について正しく理解されているでしょうか?この言葉自体は、2018年に安倍内閣が国民に発したメッセージですが、働き方改革の一連の流れには、企業がこれからの時代を生き抜くためのヒントが数多く含まれていました。
今回は、働き方改革の中身や企業が対処すべき問題についてご紹介しています。まだ働き方改革について進められていないという場合は、ぜひ参考にしていただければと思います。

「働き方改革」=「1億総活躍社会」実現に向けた取り組み

まずはじめに、働き方改革の概要についてご説明します。
厚生労働省の定義では、働き方改革とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革とされています。その背景には、政府が掲げている1億総活躍社会の実現という目標があります。1億総活躍社会とは、「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍可能な社会」のことです。そして、政府がこうした目標を掲げる理由として、日本の労働力人口減少があります。一説によると、日本の労働力人口は2060年にはピーク時(1995年ごろ)の約半分になると言われています。
つまり、労働力人口を維持・増加させるべく立てられた目標が1億総活躍社会であり、1億総活躍社会の実現のための具体的な手段や施策をまとめたものが働き方改革であるということです。

働き方改革の3つの柱とは

働き方改革には以下の3つの柱が存在します。1つずつご紹介していきます。

長時間労働の是正

正規/非正規雇用の格差の解消

多様な働き方の実現

1つ目は長時間労働の是正です。日本の平均労働時間は世界的に見ても長時間だという調査結果がありますが、ここで改善するべきことは、「有給取得率の低さ」「年間休日の少なさ」なども合わせた、労働環境の体質そのものだとされています。
具体的には、休日出勤や残業の事前申請制度やフレックスタイム制度を導入することが挙げられています。また、業務効率化を図ることで、短時間勤務を実現しようという動きもあります。

2つ目は正規/非正規雇用の格差の解消です。正規社員と非正規社員の待遇格差や賃金格差は、これまでも日本企業が抱える問題として注目されていました。
働き方改革では、例えば、有給休暇についての就業規則を明記しアルバイトやパートタイマーの有給取得を推奨した他、非正規雇用からの正社員雇用を推進する取り組みなども見られます。

3つ目は、多様な働き方の実現です。上述したフレックスタイム制度をはじめ、在宅勤務や時短勤務など、仕事とプライベートを両立できる仕組みづくりが挙げられます。 また、少子化対策として企業の積極的な育児参画なども奨励されています。

働き方改革関連法案の内容

働き方改革関連法案とは、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」のことを指します。働き方改革関連法案では、労働基準法や労働契約法など8つの法律を対象に改正を進め、企業規模や制度によって以下のような対応を命じています。

【企業規模に問わず必ず対応すべきこと】
・年次有給休暇の年5日付与義務
・労働時間の客観的把握
・時間外労働の上限規制(罰則あり)
・同一労働同一賃金の施工

【導入の有無によっては対応すべきこと】
・高度プロフェッショナル制度の創設
・フレックスタイム制の拡充

【企業規模に応じて対応すべきこと】
・産業医や産業保健機能の強化

働き方改革の課題

長時間労働の解消

働き方改革の柱にもなっている長時間労働問題ですが、日本の長時間労働は高度経済成長期以後常態化してしまっており、この状況が出産・育児と仕事の両立を阻害し、少子化を加速させてきたとも言われています。
長時間労働の解消のポイントとなっているのが、「36協定の見直し」です。36協定は正式には時間外、休日労働に関する協定届のことを指しており、労働基準法第36条に基づいていることから、36協定と呼ばれています。現在、労働基準法では1日8時間/週40時間を労働時間の基準とすると定めており、これを超える残業時間においても明確に上限が存在しています。しかし、36協定のもと使用者と労働者の間で労使協定を結ぶことで、事実上無制限に労働時間を延長することができてしまうという実態がありました。
そこで、36協定そのものを見直して残業時間の延長に制限をかけ、同時に労働基準監督署の立入検査対象を増やすなど、新たな取り組みが進められています。

非正規・正規雇用の格差解消

非正規社員として働く労働者は全体の約4割にのぼります。しかし、非正規社員の時給換算賃金は正規社員の約6割程度です。一方で、育児や介護などの負担を抱える労働者が正規社員のような「制限なし」の働き方を選ぶことは、非常にリスキーだと言えるでしょう。結果として、一部の労働者には非正規社員として働くしかなく、賃金格差が縮まらないという問題がありました。

働き方改革では、非正規社員の待遇改善に向けて以下のような取り組みをおこなっています。

同一労働同一賃金を担保する法制度とガイドラインの整備

非正規雇用者の転職やキャリアアップの推進

特に、同一労働同一賃金は働き方改革の目玉として位置付けられており、2020年4月の法改正によって、企業は対応を強く求められています。また、最低賃金の引き上げも継続しておこなっており、最低賃金1,000円を達成すべく取り組みを継続しています。

高齢者の就労促進

働き方改革においては、すでに労働市場からは撤退している高齢者層を労働力として取り込むことも重要となります。また、高齢者側も2017年の内閣府の調査によると、4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しているようです。

働き方改革では、働きたいと考えている高齢者に対して就労環境を提供する取り組みをおこなっています。

定年退職制度における定年退職適用年齢の延長

高齢者の就労マッチングの支援

具体的には、定年退職の適用年齢延長や定年退職後の継続雇用延長をおこなう企業に対する支援などが検討されています。また、企業における再就職受け入れ支援や高齢者の就労マッチング支援の強化などもおこなわれています。

働き方改革において企業が知っておくべきポイント

ここからは、働き方改革について企業がどのような準備・対策を取っておくべきかについてご紹介します。

ガイドラインの確認

働き方改革を推進したい企業は、現在顕在化している課題に対応するだけでなく、数年先を見据えた対策を打っておく必要があります。そのためには、厚生労働省が設けた各種ガイドラインを随時確認し、社内の体制や従業員の働き方などに対して常に気を配っておく必要があります。
・「働き方改革〜一億総活躍社会の実現に向けて」(厚生労働省ホームページより)
・同一労働同一賃金に関するガイドライン(厚生労働省ホームページより)
・労働時間等見直しガイドライン(厚生労働省ホームページより)
・労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省ホームページより)

補助制度の導入

働き方改革を推進するためには労力と時間が必要です。しかし、中小企業のなかにはそうした体力や資金に乏しい会社もあります。政府や地方自治体では、職場環境の改善を円滑に進めるため、補助金や助成金の制度を用意しています。

① キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金制度では、同一労働同一賃金の実現を推進している企業に対して、7つのコースを設け助成をしています。コースのなかには非正規雇用から正規雇用への転換制度を推奨するものもあります。

② 時間外労働等改善助成金
時間外労働等改善助成金は、時間外労働の上限規制に対応する取り組みをおこなっている企業に対する経費助成制度です。また、勤務間インターバルやテレワークなども推奨しています。

③ 業務改善助成金
業務改善助成金は、業務改善計画の策定や生産性向上に関わる取り組みをおこなったうえで、従業員への賃金の引き上げをおこなった中小企業への助成金制度です。賃金の引き上げ額や対象となった従業員数に応じて助成金額が変動します。

④ IT導入補助金
IT導入助成金は業務効率化を図る目的でITツールを導入した中小企業に対する補助金制度です。実際のITツール導入に伴う経費の一部が支給されます。

⑤ 自治体によるその他の助成金
上述した助成金や補助金は政府から支給されるものですが、各都道府県の自治体が独自で設けた制度も存在します。

労働力不足を解消するために企業が実践すべき対策

上述のとおり、働き方改革の背景にあるのは日本の労働力人口の減少です。このままさらに深刻な労働力不足がはじまってしまうと、日本企業の生産性は激減するでしょう。つまり、働き方改革は「法律が改正されたのでおこなうこと」ではなく、「日本企業が数十年後も存続するために取り組むこと」であると言えます。
ここで働き方改革と合わせて、労働力不足を解消するために気をつけておきたいことをご紹介します。

採用/雇用の強化

少子高齢化の影響を受け、日本の労働市場は縮小傾向にあると言われています。このまま少子高齢化が進行すると、今までの採用活動では人材の確保はますます難しくなることが明白です。そのため、企業は必要人材の種類や業界業種に合わせて、フレキブルな採用手法を取り入れる必要があります。また、従来どおりの新卒採用や中途採用にも逆求人や人材紹介など、さまざまなアプローチが登場しています。
大企業や中小企業といった枠組みに囚われず、今後は柔軟かつ効果的な採用戦略を取ることが求められます

ITツールの活用

業務を効率化し労働生産性を向上させるためには、ITツールをうまく活用していくことも必要です。しかしながら、ITツールを使うにはプログラミングなどの専門知識が必要であり、エンジニアが不足しているような企業では、ITツールを導入したのにまったく活用できていないということもあります。そこで、ITツールを導入するならば、非IT部門の社員でも進んで活用ができるツールを選ぶべきです。
たとえば、弊社が提供する「SmartDB」はノーコードで使える業務デジタル化プラットフォームです。「SmartDB」ならば、現場にいる社員が自ら業務のデジタル化を推進できます。
このように会社全体の労働生産性を向上させるためには、会社に適したITツールを選定し、導入することが重要になります。

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まとめ

いかがでしたか?
働き方改革について理解を深めることはできたでしょうか?この先、企業を取り巻く環境はますます過酷なものになっていくことが予想されています。
このSuperVUCAの時代において、本文でご紹介した働き方改革や企業の対策がみなさんのお役に立つことがあれば幸いです。

この記事の執筆者:八木(プロモーショングループ)

2021年、新卒でドリーム・アーツへ入社
普段はインサイドセールスとしてトークでお客さまにドリーム・アーツを紹介している
『ITの知識がない人でも読める』をテーマに、新人目線の記事を執筆中