いつでも自由に書き込める紙は、利便性がよく、業務では手放しがたいもの。
しかし、テレワークにより、紙を前提とした働き方が難しくなっている現在、業務そのものの見直しが必要に迫られています。
働く人の業務効率を上げるためには、1人1人の持つ情報をいかに素早く連携できるかが重要となるため、検索性や情報一元化、情報の見える化が求められるようになりました。
ペーパーレス化はこれまでの働き方を見直すきっかけとなり、ペーパーレス化を推進していくことで本来注力すべき業務の時間を創出し、働く人のゆとりを作ることができると考えています。
ではどのようにペーパーレス化を進めていくのか、本記事では検討の流れに沿ってご紹介します。
ペーパーレスとは
あなたは「ペーパーレス」と聞いてどのような紙業務を思い浮かべますか?
「契約書」「文書管理」「申請承認」「会議資料」・・・
前述したように、「ペーパーレス」は、さまざまな紙の資料や文書を減らし生産性向上を図る取り組みです。紙の資料・文書を削減し、デジタル化することで情報の検索性を高め、業務効率を高める効果があります。
しかしながら、「ペーパーレス」の対象は広く、なかなか検討が進みにくい取り組みでもあります。
私たちドリーム・アーツも、これまでペーパーレス化に関して多くのお問合せをいただいてきました。
どのように「ペーパーレス」の検討を進めていくのか、お客さまの取り組みから得たヒントをご紹介いたします。
ペーパーレス化のメリット5つ
メリット1:文書検索が容易になる
文書をデジタル化することで、文書の在り処が明確になり、印刷して配布する手間の削減・さまざまな端末からいつでもどこからでも確認できる仕組みづくりができ、管理がしやすくなります。 紙で文書を保管することのデメリットに、必要な文書の検索に時間がかかることが挙げられます。分類方法の整備や管理ルールの徹底化といった、適切に管理するような仕組みをどれだけ整えたとしても、紙の文書や資料を探す際には保管場所への移動が発生するなど、制限によってどうしても時間がかかってしまいます。デジタル化した文書は社内ネットワークやクラウド上などに保存できるため、時間や場所を問わずアクセスできるようになります。また、紙の文書をデジタル化することで、キーワード検索や全文検索ができるようになり、書類を探す手間や時間を大幅に減らせます。「いつでも」「どこでも」必要な書類をさまざまな端末上ですぐに閲覧できるようになり、文書や資料活用の利便性がアップすることで、業務効率向上にもつながります。
メリット2:紙代・印刷代・保管スペースなどコスト削減
コスト削減も、企業がペーパーレス化に取り組むメリットのひとつとして挙げることができます。業務遂行に必要な文書を紙で運用・管理している場合、多くのコストが発生します。たとえば…紙代、印刷代、印刷機器のメンテナンス費用、文書の郵送・運搬費用、倉庫などの保管スペース費用、文書廃棄費用(シュレッダー、廃棄業者の費用などです。文書をデジタル化して情報共有する仕組みを作ることで、会議などでわざわざ印刷しなくても端末で文書を確認・参照するだけで事足りるようになります。また、文書保管のためのスペースも縮小することができるため、大量の紙文書をオフィスで保管している企業では、オフィスの縮小ならびに賃料も抑えることが可能です。
メリット3:修正・共有が容易に
文書をデジタル化すると、情報の修正やスピーディーな共有がしやすくなります。紙文書の場合、共同で修正ができず、複数人で修正をおこなう場合には各修正内容をとりまとめて、文書に反映させる作業が発生します。また、資料を共有する際には印刷の手間が発生します。文書をデジタル化することで1つのデータへの複数人同時アクセス、オンラインでのデータ共有や編集などが容易にできるようになります。また、縦割りの組織構造のなかで部署別に保管されていた文書を全社で共有するような仕組みも作ることができます。情報共有の範囲が拡大することで、社内のノウハウや知識の共有にもつながります。
メリット4:情報漏えい・紛失のリスクが減らせる
ペーパーレス化は、文書の紛失や盗難の防止にも効果を発揮します。企業にとって情報漏えいは、その事業存続にかかわる場合もある問題です。ペーパーレス化は、情報漏えいのリスクを低減させ、セキュリティの強化にもつながります。紙の資料の場合、鍵付きのキャビネットで保管するなど、物理的なセキュリティ対策しかできませんが、文書をデジタル化することによって、アクセス権限や閲覧権限の設定が可能となります。さらにはログ管理によって、いつ誰が閲覧・編集したのかがすべて記録として残し、追跡することもできます。不正な持ち出しや文書の改ざんといったリスクをコントロールできるようになることに加え、意図的に消去しない限り、誤操作で情報が紛失しないのが電子媒体の強みといえます。
メリット5:環境保護・SDGsに取り組むことで企業イメージが向上
ペーパーレス化は環境の保護にもつながります。森林破壊の原因のひとつにオフィスで使用される紙の消費があります。日本製紙連合会の調べによると、日本の紙・板紙の消費量は世界でもトップクラスとなっています。森林破壊が環境に及ぼす影響は大きく、野生動物の絶滅や温暖化などの気候変動の拡大が問題となっています。また、動物由来の感染症の拡大要因にもなると懸念されています。
ペーパーレス化のメリットは企業のイメージアップにもつながる場合があります。紙の廃棄を抑え、環境や資源に配慮している企業・SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)に積極的に取り組む企業として認識され、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
ペーパーレス化を推進する法制度
企業だけではなく、政府もペーパーレスを推進しています。 電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認めた法律です。2022年1月から施行された改正電子帳簿保存法により、電子データで受け取った帳簿書類は電子データのまま保存しておかなければなりません。これまで紙で運用していた場合はデジタル化の対応が必要となります。
【関連記事】タイムスタンプとは?電子契約における役割や重要性を解説ペーパーレス化が進まない理由
理由1:紙での提出が規定になっている
紙文書での業務が残る理由のひとつに、紙で提出・保管・配布する規定があることが挙げられます。しかし現在、法律的な観点では「書面化が必要」と定められている不動産に関する書面を除けば、あらゆる書類は電子化が許されています。そのため、大抵の帳票については法律上電子化をおこなうことができると言えます。元来は「紙」の書類によって遂行されてきた国や地方自治体による行政サービスにおいても、電子化の流れが加速度的に進んでいます。
理由2:慣れ親しんできたオペレーション変更によるストレス
長年の紙業務でのオペレーションに慣れていた場合、デジタル化した文書での新しい業務に抵抗を感じる人も多くいます。業務において決定権を持つ役職者の方がペーパーレス化に消極的で、ペーパーレス化が進まないということもあるのではないでしょうか。ペーパーレス化を進めていくには、ペーパーレス化のメリットや安全性についてもしっかりと周知していくことや、デバイスの操作に慣れない社員にリテラシー教育をしていくことも大切です。
引用:日本製紙連合会「世界の中の日本、国民一人当たりの紙・板紙消費量」
https://www.jpa.gr.jp/states/global-view/index.html
ペーパーレスがなかなか進まず、紙業務が残り続ける理由については以下の記事でも紹介しています。
ぜひこちらもご覧ください。
参考:なぜペーパーレス化が進まないのか?
ペーパーレス化 検討の流れ
1.目的を明確にして、経営層を巻き込んだ全社プロジェクトとして進める
なぜペーパーレス化をおこなうのか、現状の課題は何か。 ペーパーレス化は、紙媒体をそのまま電子化するのではなく、業務そのものを変え、効率化していく取り組みとなります。そのため、目的を明確にした上で経営層がリードすることで、全社的な取り組みとしてペーパーレス化を推進することが重要です。ドリーム・アーツからお客さまへご提案した目的やメリットの一例をご紹介します。
目的例
- 情報共有スピード向上による業務効率化
- 意思決定スピード向上による競争力強化
- 紙文書での管理対象を見直し
メリット例
- 情報整理に費やす時間とコストの削減
- 情報共有や検索がスピーディーに
- 情報が見える化され、申請や報告がスピーディーに
- 情報漏洩、紛失防止により情報セキュリティ強化
- 紙代・印刷代・保管スペースなどコスト削減
- 環境保護・SDGsに取り組む企業としてイメージが向上
2.ペーパーレス化対象の紙媒体を決める
すべての紙媒体をペーパーレス化対象とする必要はありません。「ペーパーレス化」に取り組む際、紙の資料や文書は大きく2つの型に分類されます。
- 情報蓄積型
- 資料や文書、ノウハウを蓄積し、共有を目的とした情報資産。 文書例:掲示板、契約書、正式文書、会議資料、設計書、ヒヤリハット、営業資料…
- 依頼型
- 業務遂行のために必要な依頼や承認・決裁などのお伺いを目的とした判断が必要な情報。 文書例:見積依頼書、問合せ管理、稟議・決裁書、人事総務系申請書、業務指示書、商品開発企画書…
まずは、業務影響が少なく、取り組みやすいところからペーパーレス化検討を進めていくことをおススメします。 たとえば…「役員会議資料」 経営層が使う場でペーパーレス化のメリットを享受できれば、その後のペーパーレス化の取り組みが進みます。
どの文書から始め、展開していくか、ある程度見込みを立てていきましょう。
3.対象とした紙媒体の関係者を巻き込む
関係者に対してペーパーレス化の目的やメリットを共有します。経営層の後ろ盾があることで、優先度を落とさずに推進することができます。
4.計画を立ててペーパーレス化を推進
KPIや体制を整理することで計画が立てやすくなります。計画立てに必要な以下の項目について検討、関係者とすり合わせしていきましょう。項目が埋まれば、あとは実行していくのみです。
計画立てに必要な項目
- KPI設定 -現状の時間やコストを算出しペーパーレス化によってどのような効果を期待するか設定
- 現状紙媒体の移行可否
- ペーパーレス化推進体制構築
- プロジェクト開始時期
- 効果チェックポイントの設定
ペーパーレス化に有効なツール
ペーパーレス化を進めるにあたって有効なツールには、OCR・クラウドストレージ・Officeソフト・文書管理システムなどがあります。その中でも文書管理システムでは、紙の文書ではおこなえなかった、文書の自動破棄や権限管理ができるようになり、システムによっては文書の作成から承認処理、保管や破棄までのすべての工程をデジタル上で完結が可能です。そのため、テレワークの対応として導入する企業が増加しています。業務プロセス全体をデジタル化できるようワークフロー機能も兼ね備えたシステムであればより活用の幅が広がるでしょう。
ペーパーレス化に有効なツールについて詳細はこちら
ペーパーレス化の効果とは
ペーパーレス化をおこなうことで生産性が上がる、効率化につながる、と言葉で分かっていても具体的にイメージしにくいかもしれません。「SmartDB」でペーパーレス化を実施した効果をピックアップしてみました。
ペーパーレス化の効果
- モバイルからも確認できるので承認スピードが早くなった!
- 書類の保管スペースが減り、紙代や印刷代もなくなったのでコスト削減できた!
- 申請業務にかける時間が減って、より付加価値の高い業務へ専念できた!
- 属人的になっていた確認フローが標準化されるため、漏れなく必要な人へ確認依頼!
- 文書をリンクやコメントでパッと複数名へ共有でき情報展開がスピーディに!
- これまで紙でできなかった、他システムとの連携が可能に!
- 手作業だった集計が自動で簡単に!
具体的な数字効果はご紹介できませんが、「承認スピードが上がった!」という声をお客さまからいただいております。
ペーパーレス化を推進することで、紙の削減という物理的なメリットもありますが、紙で実現しえなかった他システムとの連携や、素早い情報連携によりコミュニケーションスピードの向上など、身近な業務をペーパーレス化しても享受できる効果もあります。体感的に評価をするでもよいですが、効果が図りづらいペーパーレス化については、時間単位で効果計測していくと分かりやすいのでおススメです。
迷った場合は身近な業務からペーパーレス化を
紙の分類を大きく二つ、❶情報蓄積型と❷依頼型に分けましたが、ペーパーレス化の対象が決まったら、業務整理を進めながらどのツールでどのようにデジタル化していくかを考えていく必要があります。
ただ、対象を決めるにも時間がかかってしまうという場合には、まずおススメしたいのが、身近にある業務のペーパーレス化です。いくら全社的な取り組みといっても、いきなり部署をまたぐ紙業務を電子化・デジタル化するのは関係部署も増えて大変です。まずはペーパーレス化に成功した事例を身近に作り、その成功体験をもとに横展開することをおススメします。皆さま、一番はじめはやりたがらないかもしれませんが、ペーパーレスではまずやってみる!を合言葉に進めていただければと思います。
こちらのブログもぜひご覧ください。
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「SmartDB」なら柔軟なフォームや高度なワークフロー作成でペーパーレス化を推進
ペーパーレス検討の進め方、ヒントはご参考になりましたでしょうか?
「SmartDB」は、1.情報蓄積型と2.依頼型の両方に対応できる、文書管理機能とワークフロー機能を併せ持つクラウドサービスです。紙ならではの柔軟なワークフローや閲覧権限など、大企業・複雑な組織を想定した管理機能を持ち合わせているため、ペーパーレス化を幅広く対応していけます。 ぜひ、どんどんペーパーレスを進めていってくださいね!
「SmartDB」でペーパレス化をおこなった事例
事例① 三菱UFJ銀行さま
⇒文書管理のデジタル化を「SmartDB」で実現
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この記事の執筆者:とぅーま(マーケティンググループ)
沖縄県出身のマーケティング所属。元営業で建設業や通信業、保険業などの大手企業を担当。ブログ記事執筆は初心者ですが、みなさまが持つお悩み解決のヒントになる記事を発信していきたいと思います!