ATS(採用管理システム)とは?人事向けに解説

日本はいま、少子高齢化などにより労働人口が減少し続けています。その結果、企業の人材確保は激しさを増し、採用活動の成功が企業の成長に影響を及ぼしています。そこで求められるのは採用スピードの高速化であり、それを支援するのがATS(採用管理システム)です。本記事では、ATSのメリット・デメリットや選び方についてご紹介します。

ATS(採用管理システム)とは?

ATS(採用管理システム)とはApplicant Tracking Systemの略称で、直訳すると「応募者追跡システム」となります。採用に関わる業務の一元管理することで、採用活動をより効率的に進められるシステムです。具体的な機能としては、採用サイトの作成、応募者や面接スケジュールの管理、選考状況の可視化、求人媒体との連携、媒体ごとの効果測定・分析、内定者へのフォロー管理などがあります。
ATSの活用によって、人事部門の負担軽減はもちろん、応募者との適切なタイミングでのコミュニケーションや円滑な情報共有で、スムーズな採用活動と業務の効率化を支援します。スムーズな採用活動は応募者の負担軽減のほか、選考途中で辞退されるリスクの回避にもなります。また、活動情報はデータとして保存されるため、入社後の部門配属や今後の採用計画の設計にも活かせます。
とくに百~千人ほどの応募者が集まる大企業では管理が煩雑になるため、ATSの導入で情報を一元管理することが当たり前になりつつあります。

ATSのように、人事業務を効率化・高度化し、ビジネスのパフォーマンスを高めるためのテクノロジーを「HRテック」と言います。HRテックについてはこちらの記事をご覧ください。

【人事必見】HRテックとは?導入のポイントやメリットも解説

ATS(採用管理システム)のメリット・デメリット

メリット

ATSの最大のメリットは、時間とコストの削減です。採用活動はステップがある程度決まっているため、システム化できると加速度的に時間とコストが削減できます。採用の進捗確認や対応の抜け漏れも無くなり、効率的な採用活動で人材確保に注力できます。
ATSの中には自社で採用サイトを作成し、求人媒体への広告費を抑えるシステムもあります。SEO(検索エンジン最適化)対策が必要ですが、コスト削減に加えて、自社サイトのため応募者へのスピーディーな対応ができることもメリットです。
また、応募者情報や経路のデータ化により、募集媒体や採用コストを見直すことができ、次の採用活動に活かせます。

デメリット

デメリットとしては、自社の採用課題に合わないサービスを導入してしまった場合、無駄にコストがかかってしまうことです。ATSには多くの機能があり、サービスごとに強みとしている機能が異なります。その強みが課題と合わなければ、期待した効果が出ずに手間がかかるだけになってしまいます。また、さまざまな機能があるため、操作に慣れるまでには時間がかかります。
採用人数が少ない企業の場合は、得られる効果と料金が釣り合わない場合もあるため注意が必要です。

ATS(採用管理システム)の選び方

操作性

サービスによってさまざまな機能が備わっているATSですが、操作が難しいものは避けた方が良いでしょう。業務効率を上げるためのシステム導入なのに、操作に手こずって設定に時間がかかっては意味がありません。
本格的な導入前には必ず、無料トライアルの実施や、利用しているユーザーのレビューなどを通して、実際の操作性や客観的な評価を確認しておきましょう。ただし、無料で利用できるシステムはサポートが充実していない場合があるため、その点も確認しておくと良いでしょう。

企業規模に合っているか

ATSの導入は、採用したい人数や雇用形態に合った選択が重要です。年に数名しか採用しないのであれば、ATS導入のコスト面から導入自体を見直すか、小規模利用の実績があるサービスを選んで費用を抑えましょう。また、新卒採用、中途採用、派遣やアルバイトの採用など、それぞれの雇用形態に特化したサービスもあるため、採用したい雇用形態に沿ったサービス選びも大切です。
企業規模や採用目的によっては、有料のサービスを導入せずに、無料プランのあるサービスでも十分に対応できます。自社の企業規模と利用目的を加味したサービス選びを心がけましょう。

応募者側のUI/UXに問題がないか

ATSの中には、採用サイトの作成や応募者とのコミュニケーションがおこなえるサービスがあります。それらのサービス画面のUI/UXに問題がないかを確認しておくことも大切です。ATSで作成した採用サイトに対して、「見にくい、動きが遅い、スマホだと操作しづらい」といった感想を持たれると、企業全体に対するイメージも悪くなる恐れがあります。
最悪の場合、採用サイトのUI/UXが原因で選考を辞退されたり、自然と連絡が取れなくなる可能性もあります。
応募者の視点に立ち、スムーズなコミュニケーションができるかを確認しておきましょう。

他サービスとの連携ができるか

企業規模や操作性からある程度サービスを絞り込んだあとに複数の候補が残っていたら、どのようなサービスと連携しているのかを選ぶ基準に含めるとよいでしょう。例えば、すでにTeamsやSlackなどのチャットツールを利用しているのならば、システム連携により応募者からの連絡をチャットツール上で素早く確認することができます。また、利用中の求人サイトやカレンダーアプリとの連携ができる場合もあり、面接の日程調整などでより円滑な採用活動がおこなえます。自社で利用しているサービスと連携できるかを確認し、採用活動のあるべき形を想定しておくと、必要な機能が把握できるでしょう。

セキュリティ面のチェック

ATSで管理する情報は、履歴書などの個人情報を含むデータである可能性があります。そのため、通常のお客さまの個人情報と同様に取り扱う必要があります。情報流出の危険性を考慮すると個人情報の保護には配慮が必要なため、セキュリティ対策が整ったサービスを利用するべきです。
例えば、以下のようなセキュリティ対策基準があります。

  • 個人情報保護を目的としたPマーク(プライバシー)の取得
  • 情報資産保護を目的としたISMS認証の取得
  • SSLを利用した暗号化通信の実施
  • 不正ログイン防止のための監視体制
  • データのバックアップの実施

また、サービス導入実績も判断材料となります。サービス検討の際は、各サービスのセキュリティ対策と実績を確認した上で、サービスの利用を開始しましょう。

まとめ

いかがでしょうか?ATSは採用に関わる業務の一元管理により、採用活動をより効率的に進められるシステムです。自社の採用活動でボトルネックとなっているステップを洗い出し、最適なATSの導入でスピーディーな採用活動を実現してみましょう。
なお、「SmartDB」はATSのような専用ツールではありませんが、採用に関する業務を含め、あらゆる業務を柔軟にデジタル化し、効率化できます。
実際に弊社では、内定者とのメールやり取りや提出物を一元管理する業務アプリを若手人事が自ら作成し、運用しています。興味のある方は、ぜひこちらの資料もあわせてご覧ください!


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この記事の執筆者:ホシ (プロモーショングループ)

新卒でドリーム・アーツへ入社
お客さまのサービス利用立ち上げ支援を行う部門からプロモーショングループへ異動
専門知識がない方にも分かりやすく、サクッと読み進められる記事を書いていく