デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が声高に叫ばれるようになり、もはや多くの企業にとってDXは最優先の課題とされています。しかしDXに取り組みたくても、なにからはじめればよいのかわからず困っている方もいるのではないでしょうか。
そのような企業におすすめしたいのが、業務デジタル化のひとつであるワークフローシステムの導入です。今回は、DXの概要や注目されている背景、そしてDX実現に向けてワークフローシステムをおすすめする理由を解説します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
2020年に経済産業省が公開した「DXレポート2」では、DXは以下のように再定義されています。
「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化」或いは「“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」
【引用】「DXレポート2」35頁(経済産業省)
経済産業省が定義しているように、DXは部分的なデジタル化やIT化を指すのではなく、全社的なデジタル化、あるいは事業やビジネスモデルを変革させて優良な CX(Customer Experience=顧客体験)を創出することにあります。
そのためDXにおいては、部署ごとにデジタル化やIT化を進めて部分最適させるのではなく、組織を横断してプロセス全体をデジタル化し、全体の適正化を目指すことが求められます。とはいえいきなりDXを実現するのは容易ではありません。
そのため、下記のような順番に進めていくのが一般的です。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション
- デジタルトランスフォーメーション(DX)
それぞれどのような内容なのかを確認しましょう。
デジタイゼーション
デジタイゼーションは、経済産業省の「DXレポート2」では「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定義されています。デジタイゼーションのもっとも基本的な取り組みは、紙で作成・保存されてきたデータをデジタルデータ化することです。DXはデジタルデータの活用がベースとなるため、データのデジタル化は欠かせません。アナログでおこなってきた業務にIT機器を導入するのも、デジタイゼーションに含まれます。
<デジタイゼーションの例>
- 紙で保存されているデータをPDFに変換する
- 手作業やExcelで帳簿を付けていた経理業務に経理ソフトを導入する
デジタイゼーションはこのように、業務のやり方自体は変えずにデジタル技術を取り入れて慣れていく段階です。
デジタライゼーション
デジタライゼーションは、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」と定義されています。
デジタライゼーションでは、デジタルデータやデジタルツールの恩恵をより多く受けられるように、業務の進め方自体を変えていきます。
<デジタライゼーションの例>
- 経理処理だけではなく、取引から会計処理までのワークフローを構築して自動化する
- MAツールやSFAを導入し、見込み客に対するフォロー体制をオンライン化・自動化する
デジタライゼーションは、社内の関連業務や個別のプロセスのデジタル化が進んでいる状態です。この状態になってはじめて、DXを進めていける段階になります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)
DXは、個別の部署や業務・プロセスの一部にとどまらず、組織を横断した全社的なデジタル化を進める段階です。デジタイゼーション・デジタライゼーションのふたつをベースに、最終的には顧客のニーズにあわせてビジネスモデルや組織そのものを変容させることを目指します。
<DXの例>
- 店舗での製品・サービスの販売をECサイトで完全オンライン化する
- パッケージ販売していた製品をサブスク化する
このようにDXは、単なる社内の「デジタル化・IT化」にとどまりません。最終的には、顧客により優良な価値を提供し、競争の激しい市場において「選ばれる企業」となることがDXの本質です。
今や多くの市場の主戦場は、インターネット上となりました。DXを実現しなければ、戦場に立つことすらできない可能性があります。市場競争に参加し、優位性を確保するためには、デジタイゼーションやデジタライゼーションを進め、自社の業務プロセスや組織体制などを抜本的に見直したうえでDXを実現する必要があるのです。
DX推進が注目される背景には「2025年の崖」が
DX推進がこれほどまで注目されるようになったのは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」において「2025年の崖」の警鐘を鳴らしたことにあります。「DXレポート」で経済産業省は、DXを実現しないと、2025年以降最大で年間25兆円にも及ぶ経済損失がもたらされる可能性があると指摘しました。さらにDXを実現しない企業は、急速に増加を続けるデジタルデータを活用できず「デジタル競争の敗者になる」と述べたのです。この指摘は、多くの企業に衝撃を与えました。
企業がDXを進められない理由のひとつに、既存のオンプレミス型のレガシーシステムの存在があります。レガシーシステムは多くの企業で肥大化・複雑化・ブラックボックス化しており、その全容をだれも把握できないままカスタマイズが繰り返され、維持・管理されていることが少なくありません。さらに部署ごとに独自のシステムが導入されていることも多く、連携できないのも課題です。
しかしどこかでレガシーシステムから脱却し、業務プロセスを見直したうえでクラウド化しないと、永遠にコストは膨張しつづけます。2025年の崖を超え、デジタル競争の勝者となるためには、企業はできるだけ早くDXに取り組む必要があるのです。
DXに向けた業務デジタル化にはワークフローシステム導入がおすすめ
企業でDXを進めるときには、その前段にある業務プロセスの見直しとデジタル化を進める必要があります。そのためには、ワークフローシステムを導入するのがおすすめです。ワークフローシステムを導入すると、申請書や稟議書など、従来紙の受け渡しでおこなっている各種手続きや承認業務をデジタル化できます。
業務フロー自体は変えずに手段だけをデジタル化するので、DXに向けた業務のデジタル化の第一歩には最適です。回覧する、承認するといったツールの使い方を覚えるだけですむため、現場の混乱を最小限に抑えられるのも、DX実現に向けた活動をワークフローシステムからスタートさせるメリットです。
また回覧・承認といった業務フローはどの部署でもおこなわれているので、現場に受け入れられやすいのもポイントです。ワークフローシステムの導入でDX実現のメリットを従業員に感じてもらえれば、DX推進へ大きく前進できるでしょう。
ワークフローシステムとは?
DX実現の第一歩としておすすめのワークフローシステムですが、そもそもワークフローシステムで効率化できる「ワークフロー」とはどのようなものなのでしょうか。
ワークフローとは、ひと言で表すと「複数の従業員がかかわる業務の流れ」のことです。組織内でおこなわれるあらゆる業務のうち、1人だけで完結するものはあまりありません。だれかが始めた業務はだれかに引き継がれ、必要に応じて上長などによる判断・承認・決済などの処理がおこなわれて完了するのが一般的です。この流れがワークフローです。
組織内でワークフローのルールが定まっていないと、都度判断を迷ったり、混乱したりする恐れがあり非効率です。そのためワークフローのパターンを洗い出して可視化し、ルールを明確にする必要があります。ワークフローシステムとは、それを助けるシステムなのです。
ワークフローシステムでできること
ワークフローシステムでできることには、以下のようなものがあります。
- 申請・承認業務のデジタル化・効率化
- 業務プロセスの最適化
- 意思決定プロセスを資産化
順番に確認しましょう。
申請・承認業務のデジタル化・効率化
ワークフローシステムでは、従来紙でおこなっていた申請・承認プロセスをシステム上で進められるようになります。手続きが完全にデジタル化されるため、ペーパーレス化・押印レス化も可能です。そのため「ハンコを押すために出社」といった非効率的な業務・働き方も不要になります。
リモートワーク、出張先などどこからでもプロセスを進められるようになり、業務効率の向上も期待できます。
業務プロセスの適正化
ワークフローシステムは、使い続けることで業務プロセスそのものを適正化するのにも役立ちます。ワークフローシステムを導入すると、どのように業務が流れているのかを可視化できるので、無駄な流れや不要なステップを発見しやすくなるのです。複雑化していたワークフローを見直すことで、業務プロセスがよくなるメリットも得られます。
意思決定プロセスを資産化
ワークフローシステムには、社内で日々繰り返される意思決定プロセスがどのようにおこなわれたかをデータとして蓄積する機能も備わっています。そのため同様のフローをたどるときに、これまでどのように意思決定されてきたのかをシステム上で確認できるのもメリットです。
意思決定プロセスが資産化されれば、これまで漠然としていた判断基準などが明確になり、意思決定までの最短ルートを取れるようになるでしょう。
ワークフローシステムについてさらに詳しく
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ワークフローシステムの導入手順とは?ワークフローシステム選定のポイントとあわせて解説
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「SmartDB」がDXの推進支援にお役立ちできる理由をご紹介します。
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- 入力された情報は「SmartDB」のデータベースに蓄積され、見たい切り口で参照できる。検索機能も充実。
- 業務カバー範囲が広く、全社横断の複雑な複雑なフローや権限が絡む業務から、部門個別の比較的簡易な業務までデジタル化できる。
- 他システムとの連携も可能で、他システムの利便性を引き上げることもできる。
- ノーコードで開発可能なため、全社員のデジタルマインドを醸成する基盤にもできる。
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まとめ
DXは、いまやどの企業にとっても最優先で取り組むべき課題です。DXの実現に向けては、まずはデジタイゼーション、デジタライゼーションから始める必要があります。業務のデジタル化・IT化という土台ができてこそ、DXに取りかかることができるのです。
DXは、従業員の反発や混乱を招かないよう、スモールスタートする必要があります。どの部署でもおこなわれている回覧・承認プロセスをデジタル化するワークフローシステムは、DX実現に向けた第一歩におすすめです。
この記事の執筆者:加藤(マーケティング本部)
2017年に新卒でドリーム・アーツに入社。営業部門やインサイドセールスチームでの業務を経て、現在はマーケティング部門にてコンテンツの作成に従事。物理的な声の大きさだけが取り柄だと思っていますが、文章という形でみなさんのお役に立てる情報をお届けできるよう頑張ります!