データベースとは?基礎知識と選び方

普段仕事をしていると、さまざまなデータに触れる機会が発生します。これらのデータをきちんと管理し、活用できているでしょうか。データは、しっかり整理された状態で蓄積し、利活用することで価値が上がります。
今回は、データの蓄積や管理を効率的におこなう上で不可欠なデータベースとデータベース管理システムについて解説します。

データベースとは

データベースとは、決まった形式で整理(構造化)された情報や、データの集まりのことをいいます。データをただ蓄積するだけではなく、集積したデータを抽出・編集・共有しやすくするためのものです。一般的には、一連のテーブルの行と列で構造化されている場合が多く、この構造をとることにより、大量のデータに対する検索・閲覧、更新、管理、制御および整理がしやすくなります。
データベースというワードを聞くと、IT技術を持つエンジニアしか作れない・操作できないという印象を持つ人も多いと思います。ですが、業務に関するデータを管理しているMicrosoft Excel(以下Excel) などの表計算ソフトや、カテゴリごとに分類された文書や書類、取引先や顧客に関する住所録などは、データベースの要素を持っています。たとえば、商品を管理するための商品マスタ(商品台帳)はデータベースのひとつです。実はデータベースは多くの人にとって、とても身近な存在なのです。

データベース管理システム(DBMS)とは

データベースは、データの集まりであり、いわゆるデータを蓄積するための箱にあたるものです。データを利活用するためには、この箱にデータをどのように入れるか、また箱からどのようにデータ取り出すかを管理するものが必要です。
データベース管理システムは、データベースを管理するために必要なアプリケーションの集合体です。データベースとユーザープログラムの間でインターフェースとして機能し、ユーザーがデータの取得、更新および管理ができるようにデータの編成や最適化をおこないます。「データベース管理システム」と「データベース」はほぼ同時に使われるため、まとめて「データベース」と呼ぶ場合が多いです。以下ではデータベース管理システムを利用するメリットについてお伝えします。

データベースの運用を効率化できる

人が直接データを編集すると、意図しない削除や更新などの人為的ミスが発生します。また、複数のユーザーが利用する場合には、データの重複入力が起こることもあります。データベース管理システムは、データ操作時にデータを自動整理したり、データの重複登録発生時には、エラーを出す制御をしたりすることができます。つまりデータベース管理システムを利用すればミスを防ぎつつ、データベースの運用を効率化することができるのです。

SQLでデータ抽出が可能

SQLはデータベースを操作、定義、アクセス制御するためのプログラミング言語です。
SQLを利用することで、数万、数百万件ものデータが保存されたデータベースから、ある情報を検索・抽出することができます。SQLは国際標準化されているため、さまざまなデータベースで利用可能です。

データベース/データベース管理システムと
表計算ソフトの違い

商品台帳などの管理を、Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトでおこなっている方も多いのではないでしょうか。その場合、表計算ソフトでデータベース/データベース管理システムの機能が賄えるのではないかと、疑問に思われる方もいるかもしれません。データベース/データベース管理システム、表計算ソフトは、どちらも情報を蓄積・活用するのに便利なツールですが、それぞれの違いはどこにあるのでしょうか。

データベース/データベース管理システムは、大量のデータを整理・蓄積し、閲覧、更新、削除などの処理をした場合にも、これらの集合体を保てるよう設計されているため、膨大な量のデータ管理にも対応することができます。それと同時に、大人数のユーザーがデータを利用する際にも、迅速かつ安全にデータを利用でき、複雑な処理も可能です。また、検索も高速かつスムーズにおこなえます。

一方、表計算ソフトは、利用するユーザー数の想定が1名または少人数向けで設計されています。そのため、膨大なデータの管理や複雑なデータ処理は苦手です。複数人で一斉に処理をした場合、データの破損や処理の遅延、データ誤削除などのミスが発生し、業務に支障を与えるリスクが増えてしまいます。検索も可能ですが、データベース/データベース管理システムに比べるとスピードや条件に指定できる内容の幅が劣ります。 1人または少人数で、過剰に複雑なデータ操作を大量に実行しないのであれば、表計算ソフトは十分に機能します。データを利用する目的や場面に合わせてどちらが必要か見極めることが大切です。

データベース構築の方法と流れについて

データベースを構築する際は作業の流れを理解し、計画的に実行することが大切です。

データベース構築方法

データベースでデータを管理できるように、リアルの世界を抽象化し、どのような情報をどういった構造でデータベース化するのか設計する必要があります。このことを「データベース設計」(データモデリング)といいます。適切にデータベースを設計することが、データベースを構築するうえで重要です。データベースを構築することが目的にならないよう、また実際に運用を開始したあと、データ利活用を促進し、業務効率化につなげられるよう綿密に設計します。

データベースの構築ではこの設計を土台に開発、テストを進めます。

データベース構築の流れ

データベースの構築は「調査・分析」「設計・開発」「テスト」「運用・保守」という工程に分かれます。各工程について、流れに沿って説明します。

1 調査・分析

はじめにデータベース化の対象となる情報を調査・分析します。データや業務の流れを分析し、必要となる情報を洗い出しましょう。

調査・分析が完了したら、その内容をもとに、具体的にどのようなテーブル(表)を作るか、各テーブルの列構成、各列の属性などを決めるため「概念データモデル」を作成します。概念データモデルとは情報の関連性を表現した図のことで、企業の現実をそのまま再現するようにモデル化します。ここではデータをどのように実装するかは考慮せずに、まずはデータや業務の流れを可視化します。

2設計・開発

概念データモデルをもとに、分析したデータをどのように処理・運用するか検討し、実際にデータベースを構築していきます。この際、必要な初期情報は予め、構築したデータベースに格納しておきましょう。

3テスト

実際にデータベースを運用し、仕様通りの動きをするかテストをします。外部データは正しくインポートされているか、指定した条件で想定通りのデータが抽出されるかなど、実際の業務を想定してテストしましょう。テストでエラーが起きれば、そのたびに実装や登録データの修正とテストを繰り返し、データベースを完成させます。

4運用・保守

データベースを安全に運用するためには、管理と保守が必要です。利用状況やサーバーの負荷状況の確認を定期的に実施するほか、システムダウンした際の対応・セキュリティ管理担当者を配置し、適正な運用管理ができる体制を整えます。また、データベース保全のため、定期的にバックアップもしましょう。

詳しいデータベース設計の方法についてはこちらの記事で紹介しています。是非あわせてお読みください。

データベース設計の基本の進め方!ポイントとあわせて解説

データベース管理システムの種類

データベース管理システムには、主に以下のような4種類があります。
今回は、こちらの4種類についてそれぞれの特長をご紹介します。

  1. 階層型データベース
  2. ネットワーク型データベース
  3. RDB(リレーショナルデータベース)
  4. NoSQL (非リレーショナル型データベース)

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1.階層型データベース

階層型データベースは、データがツリー構造で蓄積されるデータベースです。上層から下層に分岐して、「一対多」の親子関係の形を成します。したがって、データにアクセスするためのルートは一通りしかありません。たとえば、会社の組織図や家系図が階層型にあたります。

メリット

階層型データベースでは、先述したとおりデータにアクセスするためのルートは一通りしかないため、ほかの種類に比べてデータの検索スピードが速いのがメリットです。

デメリット

「多対一」や「多対多」の形式でデータを管理したい場合には、データの重複登録が発生し、冗長化しやすいです。

2.ネットワーク型データベース

ネットワーク型データベースは、階層型データベースとデータの構造は似ていますが、関連性のあるデータを相互に結び付けて保存できます。階層型データベースは、「一対多」の構造なのに対し、ネットワーク型データベースは「多対多」の構造です。たとえば、2つの事業部を兼務する社員Aがいた場合、Aさんと両部署の情報が結びついた状態になります。どちらの部署からもAさんのデータにたどり着くことが可能かつ、逆にAさんのデータから両部署のデータへアクセスすることができます。

メリット

階層型データベースでは実現が難しい、「多対一」や「多対多」のデータ構造をとることができ、データの重複登録・管理を避けられます。

デメリット

データが「多対多」の構造となるので、管理が複雑になりやすいです。データ構造を理解していないとデータへのアクセスが難しいため、利用時に高度な知識やプログラム開発が必要となります。

3.RDB(リレーショナルデータベース)

RDBは、行と列で成す表形式でデータを蓄積、管理するものです。表計算ソフトでいうシート(テーブル)同士を組み合わせて参照、整理することができ、複雑なデータを構成できることが特徴です。たとえば、顧客情報のテーブルと物品の販売リストのテーブルのそれぞれの顧客番号をキーに互いを結び付ければ、顧客それぞれの嗜好や購入傾向を調べることができます。

メリット

データの重複登録を避けることができ、安易かつ柔軟にデータを取り出せます。また、複数のテーブルでデータベースを構成しているため、データの追加や削除時の処理の負担が低減されます。SQLを使用することで、複雑なデータを扱う際にも正確な処理がおこなえます。

デメリット

RDBは、データを管理するプログラムの複雑化、取り扱いデータが膨大化した場合に処理速度が落ちてしまいます。処理速度が下がると、業務の生産性が低下する恐れがあります。また、データを読み込む部分の拡張は安易におこなえますが、データの書き込みの部分の拡張に関しては、高度な知識が必要となります。

4.NoSQL

RDB(行と列で成す表形式でデータを蓄積、管理するもの)以外をNoSQLと呼びます。「Not only SQL」の略で、SQLだけでなく、さまざまな言語やインターフェースを使用したものです。RDBのようにテーブル構造に定められておらず、さまざまな形式のデータをそのまま格納できるという特徴があります。大量のデータ利用とシステムの柔軟性を実現したい場合に利用することが多いです。たとえば、追加処理やデータ参照が多いシステムや、将来的な拡張が見込まれるシステム、Webアプリケーション、ソーシャルゲームなどで使用されます。

メリット

トランザクションが存在しないため、高速な処理が可能です。また、サーバーの数を増やすことなくスケールアウトに対応できます。RDBは、原則1台のサーバーで動作するように設計されていますが、膨大なデータを処理するには処理性能が足りなくなることも多いです。NoSQLはその点をカバーすることができます。

デメリット

RDBには、ASID特性(データの一貫性を保証するために守られるべき特性)が採用されていますが、NoSQLでは使用されていません。そのためデータの一貫性の担保が困難となります。SQLを使用しない場合、複雑な検索がしづらい、データの検索精度が低下するといったデメリットもあります。

また、NoSQLには一般的に4つのモデルが存在します。

モデル 概要
キー値型 キーと値のペアでデータを保持します。
単純な処理を高速におこなうことができますが、複雑な検索には向いていません。キーに対する値の自由度が高いため、音声や画像、動画などのデータに向いています。
ドキュメント型 キー値型の値の部分がJSON(JavaScript Object Notation)などの半構造データ(ドキュメント)になっており、階層的に格納されます。キー値型よりも検索性に優れ、スキーマレスなため、複雑なデータを柔軟に運用できます。また、一般的なWebシステムとの相性がいいことも特徴です。
ワイドカラム型 キー値型の値の部分が、RDBのようにキーと値のペア(列名と値)になったような構造をしており、行ごとの列の名前や数は自由です。集計処理などが得意で、列方向の集約を高速でおこなえます。
グラフ型 グラフとは、円グラフや棒グラフなどの図で表現したものではなく、ノードの集合とエッジの集合で構成されるグラフに関する数学の理論である「グラフ理論」に由来するものです。そのため、ネットワークという言葉のイメージに近いかもしれません。
構成は、ノード(頂点)とエッジ(辺)とプロパティ(属性)の3つの要素から成り、ノード間の関係を管理することに特化しています。結合(JOIN)が発生するような複雑なクエリは、RDBでは時間がかかりすぎてしまいますが、グラフ型データベースなら高速な実行が可能です。

データベース管理システムの選び方

前述のようにデータベース管理システムには複数の種類があります。最適なデータベース管理システムの選び方を以下ではご紹介します。

目的に合わせて選ぶ

データベース管理システムは、データ構造の種類によって適した用途が変わります。たとえばリレーショナル型は、重複登録の排除ができたり、テーブル同土を組み合わせて参照したりでできることから、人事管理や生産管理に向いています。ドキュメント管理をおこないたい場合は、キーとバリューのみのシンプルな組み合わせが特徴のNo SQL(キー・バリュー型)が向いています。データベースを選ぶ際には、まずどの部署でどんな業務でどのように運用するか、しっかりと検討した上で、その目的・目標に合わせて選定をすることが大切です。

無料版があれば基本機能の使い勝手を確認する

データベース管理システムを探す際に一番気になるのは、自分たちの業務や要件に対応できるのかという点だと思います。もし検討している製品に無料版やトライアルがあれば、基本機能が試せることが多いため、実際に試してみることをおすすめします。その際には、有料版でどのような機能が使えるようになるかも調べておきましょう。無料版やトライアルでは、申し込み後、提供会社やベンダーからサポートが受けられる場合があります。しっかりとサポートも活用し、その製品の特徴を理解することで、自社にあった製品か見極めるための無料期間を有効に過ごしましょう。

まとめ

データベースを利用するためには、利用目的に合わせてメリット、デメリットを判断し、さまざまな種類のデータベース管理システムと組み合わせることが重要であることをお伝えできたかと思います。それぞれの特徴や得意不得意をしっかり把握し、目的・目標を定めたうえで、自社に適したデータベースやデータベース管理システムを検討することがとても重要です。データベースを利用することで、さまざまなデータを有効活用し、ほか分野への相乗効果を狙っていきましょう。
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マーケティンググループ 橋本

この記事の執筆者:橋本 (CS企画部)

2020年に広島の大学を卒業し、ドリーム・アーツに入社
新卒一年目、現在CS企画チームに所属中。日々学び、身に付けた知識を少しでも多く皆さんにお伝えし、お役立ちできることを目指して活動中。