今回は大企業がノーコード・ローコードツールを選定する際のポイントについてお話ししてみようと思います。今回も経営層や経営企画、また情報システム企画の方々にぜひ読んでいただきたいです。
前回の記事はこちらからご覧ください。
ノーコード・ローコード開発のメリットとは
ノーコード・ローコードツールは、ただ単に「開発工数が削減できる便利なツール」というだけではなく、「経営戦略」として取り入れるべきものなのです。ノーコード・ローコードで開発するメリットをご紹介します。
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大企業がノーコード・ローコードツールを選定する際のポイントとは
全社のデジタルシフトを推進したいと考えている皆さんはすでにノーコード・ローコード開発/ツールについて調査し始めていることと思います。
どのような観点でツール選びをしていますか?
大企業がノーコード・ローコードツールを導入する際にはいくつかポイントがあります。
ポイント1.「個別最適」ではなく「全体最適」である
さまざまなSaaSがひしめくこの時代、情報システム部が管理していない個別のアプリケーションを勝手に部門で採用して個別最適が進んでいませんか? それぞれの部門でツールを選んでしまうと、データとプロセスの分断が発生してしまうのです。ずさんなID管理やシャドーITのリスクなど、大きな問題に発展する恐れもあります。
ポイント2.アプリケーション上の「ID / 権限管理」が適切にできる
大企業におけるID管理はセキュリティの面で重要ポイントです。標準的なSSO(シングルサインオン)機能、AD(Active Directory)連携機能を持つことは必須です。 また、権限管理も重要な点です。組織マスターや役職での管理など、組織デザインに応じたコントロールが可能かどうか確認しましょう。
ポイント3.「複雑な業務プロセス」に耐えられる
権限管理とも関連しますが、大企業にありがちな複雑なプロセスに耐えられることも必須要件です。 合議(並列承認)、条件分岐、別ワークフローへの連携、承認ルートには入っていないがこの人へは知らせしておきたい、など柔軟な設定できることが後々重要になってきます。
ポイント4.「業務監査」に耐えられる
重要な業務プロセスを運用するためには、監査ログを適切に取得する必要があります。 誰がいつ承認したかというログが正しく取得できる仕組みが不可欠になります。
ポイント5.「スケーラビリティ」と「機能拡張」
大企業が全社でノーコード開発プラットフォームの活用が進むと、短期間のうちに数百の業務と数千単位のデータベースが構築されることになります。高い運用負荷に耐えられるかどうかも大きなポイントです。また、デジタル化適用範囲が全社に広がると、ノーコード開発プラットフォームの標準機能でカバーできる範囲を超えることが出てくるのです。充実したAPIが整備されており、数々のSaaSと連携できるかどうかは大きなポイントです。
ポイント6.「アプリケーションライフサイクル管理」=活用度測定
業務部門が自分たちの業務を自らデジタル化し始めると、活用されなくなったアプリケーションやデータベースがいつの間にか激増する可能性があります。活用されていないアプリケーションやデータベースは管理者にとって、運用上の大きな負荷になります。
ポイント7.「操作性」
全社でデジタルシフトを推進していくために、業務部門が本当に使いこなせるかどうかがかなり重要なポイントになります。ノーコードツールとうたっていながら、データベースを作成して、構成を設計した上でアプリケーションを開発するタイプのプラットフォームも存在します。活用までの教育コストが高いですし、結果として活用されないという危険性があります。
例えるならレゴブロックを組み立てる感覚で、都度IT部門に頼らずともアプリケーションが作成できるくらいに業務部門が「簡単!」と感じるものが良いでしょう。
※前回と今回の記事の内容がまとまった資料はこちらです。
ぜひ資料をダウンロードいただきツール選定の参考にしてください。
大企業のDXに欠かせないデジタルの民主化
先が見えない「VUCA」の時代では、これまでの業務やシステムの在り方を変えなければ、大企業であっても時代に取り残されてしまいます。
大企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に欠かせないデジタルの民主化のヒントを紹介します。
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また選定の際は、すでに活用されている企業の先進事例を参考にするとよいでしょう。こちらの記事で大和ハウス工業様、ヤマダホールディングス様の事例を紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
実際に適用できる業務はなにか
選定ポイントについてご理解いただけましたでしょうか。
では、次に「どのような業務から手をつけるべきか」についてです。
企業内の業務プロセスには、部門内で完結する比較的単純な業務から、稟議申請のような階層的な意思決定業務、さらに部門横断的に連鎖する業務などが存在します。ノーコード開発プラットフォームでは、これら全ての業務プロセスをデザインし、デジタル化することができます。
まず、部門内に目を向けてみましょう。
部門内で完結する業務は日常的に発生する単純な作業に、Excelや紙で行っている業務があるのではないでしょうか。これらをデータベース化することによって部門内の情報共有が促進されますし、過去のデータが蓄積されていることで業務自体を分析することもできます。
次に部門を横断するような業務プロセスも見てみましょう。
複数の階層や、部門の関係度合いによって、プロセスの複雑性は異なりますが、きめ細やかなプロセス設定や適切な権限管理を行うことによって、こちらもノーコードで実現が可能です。
ただし、複雑性の高い業務については、過去の開発実績を参考にしたトレーニングや、プロフェッショナルによる支援を受けながらアプリケーション開発をする方が良いでしょう。全て業務部門が自律的に行う必要はなく、適材適所でIT部門やツールベンダーと役割分担をしていけば良いのです。
また、業務デジタル化を推進する中で、特定業務に最適化されたSaaS製品を活用することも有効ですが、それぞれのサービスは業務のカバーエリアが狭いため、各社特有の業務プロセスをまとめてデジタル化することが難しいというデメリットがあります。 業務適合率・業務カバー率という観点からもノーコード開発プラットフォームを活用するメリットは大きいでしょう。
ノーコード・ローコード開発で抑えるべきポイント
ノーコードツール導入後に起こる課題と、それに対するおすすめの解決アプローチを、お客さまの取り組み事例とあわせてご紹介します。
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今こそノーコード・ローコードツールで全社の業務デジタル改革を進めよう
DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の号令をかけ戦略領域へかなり投資している企業であっても、その裏側で紙、ハンコ、メール、Excel、FAXにまみれているケースは実に多いのです。こうした部分的な取り組みでは企業全体としての変革は厳しいでしょう。
アフターコロナの時代ではあらゆる側面でパラダイムシフトが起こり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進できない企業はあっという間に淘汰されていくでしょう。一方で今回ご紹介したノーコード・ローコード開発やツールも含めてテクノロジーは劇的な進化を遂げており、現場の業務デジタルシフトに必要な環境整備は驚くほど容易になっています。
この厳しい状況の中でデジタルシフトを実現するために、「経営戦略」として積極的にノーコード・ローコード開発プラットフォームを整備し、情報システム部門だけでなく業務部門からも始まる「全社のデジタル改革」を推進していきましょう。
ノーコード・ローコードツールの「SmartDB」を活用して業務効率化をおこなった事例
事例① 大和ハウス工業さま
⇒18,000名の人事関連業務を3ヵ月でデジタル化
TOPICS
・全従業員が利用する、人事関連の複雑な申請業務をデジタル化・承認までのリードタイムが大幅に短縮・人事部員自らで業務デジタル化を実現、自律的な業務改善・効率化に取り組む組織に
事例② JCOMさま
⇒現場主導ですすめるJ:COMの全社コミュニケーション基盤刷新
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・17,000名の協創的成長を実現する意識共有とは・ポータルが現場に起こした「良い兆候」・現場がワクワクするプロジェクトの進めかた
この記事の執筆者:金井 (マーケティンググループ)
大手SIerからベンチャー企業に転職。
データ分析・活用をきっかけにエンジニアからマーケティングに職種をチェンジし、現在はマーケティング業務とカスタマーサクセス企画業務を兼務。