ヒューマンエラー防止策10選 なくすためのポイントを徹底解説

ちょっとした思い違いやミスが原因で発生するヒューマンエラー。「人が起こすことだから仕方がない」「次は気をつけるから大丈夫」と見過ごしていると、やがて大きな事故やトラブルに発展するかもしれません。ヒューマンエラーはできるだけなくすことを目指し、取り組むことが大切です。
今回は、ヒューマンエラーが起こる原因やなくすためにできる対策などを紹介します。

ヒューマンエラーとはなにか

ヒューマンエラーとは、人間が起こした行動によって起こるミスや事故のことです。具体的には、誤入力や誤操作、認知ミスなどが要因となり、意図しない結果となることを指します。数字を1桁書き間違えた、メールを誤送信したといった小さなヒューマンエラーが、企業に深刻な打撃を与えることも。そのためヒューマンエラーへの対策を講じることは重要です。
しかしどのような仕事であっても人間がおこなう限り、必ずヒューマンエラーは発生します。ヒューマンエラーはなくすことを考えるのとあわせ、なくならないことを前提とした発生しにくい環境を整えることが大切です。

ヒューマンエラーの起きる原因・起こりやすい職場とは

ヒューマンエラーが起きる3つの原因を、どのような職場で起こりやすいのかとあわせて紹介します。

確認不足

ヒューマンエラーは「いつも通りと思った」といった従業員の思い込みや、「ダブルチェックを怠った」など、危険軽視による確認不足、作業の省略によって発生します。確認不足が原因のヒューマンエラーは、業務に慣れたころや、業務が属人化したときに発生しやすいのが特徴です。

伝達ミス

「知っていると思った」「誰かがやっていると思った」など、伝達ミスもヒューマンエラーを引き起こします。申し送りや情報周知の不足によるヒューマンエラーは、複数人が関わることにより関心が薄くなったときや、コミュニケーションが不足している職場で発生しやすくなります。

判断ミス

「この程度でいいと思った」「上司に相談しなかった」など、判断ミスが原因でヒューマンエラーが発生することもあります。判断ミスによるヒューマンエラーは、承認フローが定まっていなかったり、エスカレーションするルールが明文化されていないなど、判断基準が明確になっていないことが原因です。

ヒューマンエラーの起きやすい職場の雰囲気とは

ヒューマンエラーが起きやすい職場の雰囲気には、一定の共通点があります。
ヒューマンエラーが発生しやすい職場は、管理者のヒューマンエラーへの認識が低く防止に取り組んでいないケースが少なくありません。マニュアルが整備されていない、業務上のルールが決められていないような場合は、確認不足や判断ミスによるヒューマンエラーが起きやすくなります。また社員が目先の業務に追われ余裕がないような多忙な職場も、ダブルチェックする時間がない、疲れて頭が回らないなどの理由でヒューマンエラーを誘発します。
さらに部署内や部署間のコミュニケーションが不足している場合も、互いの作業内容を把握していないため、伝達ミスなどによるヒューマンエラーが発生しやすくなるでしょう。

ヒューマンエラーの対策・防止方法10選

ヒューマンエラーを完全になくすのは困難ですが、できるだけ減らすよう対策を講じることは可能です。ここからは、ヒューマンエラーを削減する方法を、10個紹介していきます。

ヒヤリ・ハットを無視しない

「ヒヤリ・ハット」とは、幸い未然に防げたものの、一歩間違えば大きな事故やトラブルにつながりかねなかった出来事を指します。たとえば「商談の予定を忘れていたが直前に思い出してヒヤリとした」「メール送信前に宛名違いにハッと気がついた」などがヒヤリ・ハットに該当します。いずれも直前に気がついたため事なきを得られましたが、そのまま気づかずにいたら、相手企業の信頼を損ない今後の取引に大きな影響を与えたかもしれません。大きな事故やトラブルが起こるまでには、数多くのヒヤリ・ハットが発生しているといわれています。そのためヒヤリ・ハットが発生したときには、「よかった、助かった」で済ませずに、なぜそのようなミスが起こったのかを考えることが重要です。そのうえで同じことが起こらない仕組みを構築すれば、ヒヤリ・ハットを減らし、大きな事故やトラブルが発生する可能性を軽減できるのです。

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業務自体をなくしてみる

ヒヤリ・ハットを減らすには、エラーを誘発する業務自体をなくすのがもっとも効果的です。業務自体がなくなれば、ミスが発生することもありません。この考えは「機会最小」と呼ばれます。そのためヒューマンエラー対策では、まずその業務が本当に必要なのかを考えることから始めます。業務改善といった対症療法的なものではなく、BPR(業務改革)として取り組み、今まで慣例的におこなっている業務フローを抜本的に見直しましょう。
たとえば日々の売上を集計するために、各支店の売上を転記する作業をおこなっており転記ミスが発生しているとします。その場合、転記以外の方法を検討する以前に、そもそも本当に毎日売上を集計する必要があるのかを考えます。慣例的におこなっている業務の必要性を根本から見直すことで、ミスにつながる業務を大幅に削減できるかもしれません。

エラーの起きる環境を改善する

ヒューマンエラーが頻繁に起こる場合は、職場や作業環境に問題があるケースも少なくありません。その場合、環境を改善することで、ヒューマンエラーを防ぎやすくなります。
たとえば確認不足や作業の省略が多いケースでは、チェックリストを作成するだけで、ヒューマンエラーの大幅な低減が期待できます。また職場のコミュニケーションが不足していることにより連絡や情報共有の漏れが多い場合には、メールより簡単にコミュニケーションをとれるチャットツールを導入すると効果的です。
作業環境に問題があるときには、操作性の悪い機器を入れ換えるのも有効です。コストをかけられない場合には、まずはオフィスを明るくする、文字を大きくするなどのちょっとした工夫でも、ヒューマンエラーが減ることがあります。
さらに、わからないときに「わからない」と言える環境にすることも大切です。同調圧力をなくし、気になることは事前に確認できる雰囲気作りに努めましょう。

なぜ間違いを起こしたのかを考える

ヒューマンエラーが発生したときには、まずはその対処を優先する必要があります。しかしヒューマンエラーによって引き起こされたトラブルを解決したあとには「よかった」と安心するだけでなく、なぜその間違いが起こったのかを考えることが重要です。
たとえば「受注内容とは違う商品を発送した」場合には、転記するときに書き間違えた、商品番号を見間違えた、別の顧客の注文と間違えたなど、複数の原因が考えられます。
転記ミスや商品番号の見間違えがヒューマンエラーの原因なら、システムから自動で発注書を作るツールを導入し、人による転記をなくすのが効果的です。別の顧客の注文と間違えたなら、内訳書と発送伝票の宛先が同一となっているかを確認する工程を増やすといった対策が考えられます。
ヒューマンエラーが起こった原因を考えたうえで、ひとつずつ対策を講じていくと良いでしょう。

ヒューマンエラーが発生できなくする

ヒューマンエラーによる事故を防止するには、そもそもミスが起こらないような設計にすると高い効果を得られます。そのような仕組みは「フールプルーフ」と呼ばれます。たとえば「水が入っていないとお湯を沸かせないケトル」は、空だきを防止するフールプルーフの一例です。
「間違った操作ができないようにあらかじめ設計しておくこと」をフールプルーフとすると、オフィス内では以下のような取り組みが考えられます。

  • 間違った内容で入力するとエラーが表示される
  • 特定の人しかパソコン上のゴミ箱を空にできないようにしておく
  • 2人同時にログインできない設計にする

誤った操作をしようとしたときに、それ以上先に進めないような仕組みを構築しておけば、エラーが発生することはありません。システムを構築するときにフールプルーフを意識すれば、のちのちのヒューマンエラーを防げます。

業務をわかりやすくする

手順が複雑な業務をおこなうときには、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。そのため業務をわかりやすくする工夫をすることは重要です。
たとえば工程や内容が複雑な業務は、マニュアルを作成してその内容に沿って進めるようにするとミスを減らせます。その際には初めてその仕事をする人でも内容がわかるよう、専門用語を減らしたり、図や写真、動画を使ったりするとよりわかりやすくなります。
新たな業務に取り組むときには、勉強会を実施するのも効果的です。あらかじめ動画などでひととおりの手順を頭にいれておくだけで、スムーズに業務に取り組めるようになります。
整理整頓も、業務をわかりやすくするためには有効です。ここでの整理整頓は、工具や道具などの物理的なものだけでなく、パソコンやファイル共有サーバー上のフォルダの整理なども含みます。必要なものが必要な場所にあるだけで、取り間違いや添付ミスといったヒューマンエラーを防げるようになるでしょう。

能力を向上させる

誰しも不慣れな作業をするときや、事前知識が不足している場合には、うまく業務を進められずにミスが発生しがちになります。そのように単純に知識や技術が未熟なことによりミスが起こっている場合には、技術的なスキルアップを促進させる取り組みが必要です。業務にあたる社員の能力を向上させるためには、教育体制を整えることを検討しましょう。社内研修を実施する、外部から講師を招いて集中的に学習するといった取り組みをおこなえば、知識や技術力がつき、スムーズに業務にあたれるようになりヒューマンエラーを減らせます。
またとくに高度な知識や技術力を要する業務については、担当者の割り当てを見直す必要があることも。一定の基準を設け、クリアした人材だけが業務にあたれるようにすれば、能力不足が原因のヒューマンエラーは減るでしょう。

注意を喚起する・気づかせる

ヒューマンエラーを減らすには、あらかじめ注意を喚起するのも効果的です。たとえば荷物を移動しようとしたときに、「割れ物注意」の札が張られていれば、誰しも取扱には慎重になります。人は危険を認知すると慎重になることから、とくに注意してほしいものには「注意」「重要」など目立つように印をつけ、アラートすると良いでしょう。
さらにアクションを移す前にミスがないかを自分で気づけるように注意を促すのも有効です。見落としがちな箇所については指さし確認する、入力のチェックは上からと下からの2回おこなうなどすれば、ミスに気づきやすくなります。
自らミスに気づかせる方法としては、ダブルチェックもよくおこなわれます。しかし「ダブルチェックがある前提」だと「どうせあと1回チェックがあるから」と逆効果になることも。あくまで万全の状態に仕上げたうえで、念のためのチェックであることが大切です。またあらゆるチェックが過剰になり、業務効率が下がらないよう注意しましょう。

リスクリテラシーを向上させる

危険予知トレーニング(KYT)をおこない、危険を予測させる能力を培うのもリスクリテラシーの向上に役立ちます。KYTとは、危険のK、余地のY、訓練(トレーニングのT)からできた言葉で、作業や職場に潜む危険要因を発見し、解決する能力を高める手法を指します。事業所で発生する労働災害の多くは、「対策を知っていたし、できるはずなのに怠った」ことが原因といわれています。「危険と認識しなかった」「うっかりしていた」など、その要因はさまざまです。
KYTでは、イラストを元に危険要因や解決策を話し合い、行動目標を設定するワークショップをおこなうのが一般的です。KYTをおこなうことで、危険に対する感受性が強くなる、集中力を高めてうっかりや不注意を防ぐといった効果を得られます。

発生したヒューマンエラーは共有する

ヒューマンエラーが発生したときは、その内容を共有することで同じ繰り返しを避けられるようになります。
ヒューマンエラーによるトラブルが発生したときには、まずその解決を優先する必要があります。しかし同時にどのようなヒューマンエラーが発生し、どういったトラブルが起こったのかを、同じ業務に携わる社員に速やかに共有することも重要です。同じ業務にあたっている以上、同様のヒューマンエラーが発生するリスクは常に隣り合わせであるためです。
その際にはヒューマンエラーを起こした人を責めるような雰囲気にならないよう配慮しましょう。責め立てるような雰囲気になると、ヒヤリ・ハットでさえも報告しづらくなってしまいます。ヒューマンエラーは、人が業務にあたる以上は決して避けられないものです。ヒューマンエラーを共有することは、ミスの削減につなげるためなのだという前向きな企業風土作りが大切です。

ヒューマンエラーの防止例

ヒューマンエラーの防止は機会最小を最優先で検討しますが、完全に無くすのは困難です。そのためヒューマンエラーは「発生する前提」で、防止する仕組み作りを考えることが大切です。
たとえば請求書の金額間違えが多発しているとしても、請求書の発送業務をなくすことはできません。そうであるならミスが起こることを前提に、以下のような防止策を講じましょう。

  • 手入力での請求書作成をやめる(見間違い・転記ミスの防止)
  • 桁違いの数値が入力されたらエラーを出すようシステム化する
  • 経理システムから直接請求書を発送できるツールを導入する

このように、だれがおこなってもエラーが発生しにくい仕組みを考えることが、ヒューマンエラーの防止には有効です。

デジタルでの情報共有なら簡単におこなえる

近年は、コロナ禍の影響や働き方改革などで働き方が多様化しています。リモートワークを取り入れたことで、個々で業務にあたる社員が増え、互いに注意喚起したり判断を仰いだりしにくい環境となっている企業も多いでしょう。裁量労働制を導入している企業では働く時間がバラバラになるため、聞きたいことがあってもタイミングがあわずに悩んでいる社員がいるかもしれません。
そのような場合には、情報共有や業務プロセスをデジタル化するのがおすすめです。クラウドでつながることで、リアルタイムで情報交換しながら協働できるため、自己判断や伝達・周知不足によるヒューマンエラーを防ぎやすくなるでしょう。

「SmartDB」でヒューマンエラーを防ぐワークフロー構築

業務プロセスのデジタル化をご検討される際は、ドリーム・アーツの「SmartDB」がきっとお役立ちできます。「SmartDB」は非常に柔軟なワークフロー機能とWebデータベース機能を持ち合わせた大企業向け業務デジタル化クラウドです。部門個別の簡易業務から全社横断的な複雑なものまで、あらゆる業務のデジタル化が可能です。そのため全社的にヒューマンエラーが起きにくい環境作りを実現いただけます。
具体的には「SmartDB」で業務プロセスをデジタル化すると次のような効果が期待できます。

  • 情報の入力値や必須項目のチェック機能で情報入力時の間違いやヌケモレを防止
  • 入力された情報はあらかじめ決めたフローに沿って関係者に共有される。通知やリマインドもされるため確認漏れが起きにくい(モバイルにも対応)
  • 「SmartDB」ひとつで部門個別の簡易業務から全社横断的な複雑なものまで、全社のあらゆる業務のデジタル化が可能。
  • 編集・閲覧権限は部署単位・役職や個人名単位でも設定できるため、誤って情報を開示・または更新されることがない
  • 排他制御も可能なため先祖返りも起きない。万が一誤って更新したとしても更新履歴が記録されているため取り戻しも可能(添付ファイルも含め履歴は残る)
関連資料
3分でわかるSmartDB

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大企業における業務デジタル化の課題と、その解決策として「SmartDB」で、どのように業務デジタル化を実現できるのかをご紹介する資料を公開しました。ぜひご覧ください。

まとめ

人が関わる以上、ヒューマンエラーを完全にゼロにするのは困難です。しかしできるだけなくすように取り組む努力を続けることが、企業には求められます。
ヒューマンエラーの防止には、エラーを引き起こす原因となる業務自体を撤廃することからまず検討します。そのうえで業務をわかりやすくするなど、少しでもエラーが発生しにくい環境を整えましょう。
デジタルツールの導入も、ヒューマンエラーの防止には効果的なので、ぜひ検討してみることをおすすめします。

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この記事の執筆者:加藤(マーケティング本部)

2017年に新卒でドリーム・アーツに入社。
営業部門やインサイドセールスチームでの業務を経て、現在はマーケティング部門にてコンテンツの作成に従事。物理的な声の大きさだけが取り柄だと思っていますが、文章という形でみなさんのお役に立てる情報をお届けできるよう頑張ります!