【徹底解説】ワークフローとは?基礎知識とシステム導入のメリット

ワークフローとは業務の流れのことを指します。その一連の業務の流れを自動化(システム化)するのがワークフローシステムです。最近ではテレワーク対応や業務効率化を目的に、ワークフローシステムを導入する企業が増えています。今回はワークフローの概念からワークフローシステムの導入メリット、事例まで解説していきます。

ワークフローとは

ワークフローとは「業務の流れ」のこと、ある業務や活動における一連の手続き・やり取りを指します。たとえば、備品購入申請書の作成→上司の承認・決裁の捺印をもらう→総務部へ提出という流れはワークフローの一例です。ワークフローは申請業務以外のさまざまな業務の流れにも該当します。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムとは、紙ベースの書類の回付と印鑑でおこなわれている情報伝達、承認、決裁などの業務プロセスをデジタル化することです。
これまで、承認印による証跡・紙保管といった業務運用ルールや法律、取引先の都合などで、紙を軸にした業務をおこなってきた企業が少なくありませんでした。たとえば、申請業務などを紙で運用している場合、購入申請書などの紙の書類に購入申請者が必要事項を記入して申請し、承認者が押印するという流れで進めるのが一般的でした。
そんななか、近年ではニューノーマル対応やスマートワークの一環としてテレワークを採用する企業が増えるのに合わせて、ワークフローシステムを導入する企業が増えています。
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ワークフローシステムの一般的な流れ

ワークフローシステムを導入し、申請業務をデジタル化した場合の運用イメージを「起票→承認→保管」3つのステップでご紹介します。

workflow
起票・申請
パソコンやモバイル端末からフォームに必要事項を入力し、承認依頼を回す。承認者(承認経路)は申請の内容に応じて変わります。
承認
承認・却下・差戻しなどをシステム上でおこないます。
保管
最終承認者が決裁済みの文書を文書管理システム上に保管する。申請書は確認が必要なときにすぐ見つけられます。

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ワークフローシステム導入の5つのメリット

ワークフローシステムの導入により、特に効率化できるのは稟議・申請業務です。それは、紙にはない次の5つのメリットを得ることができるからです。

1.業務の効率化

ワークフローシステムに蓄積した過去データのコピーや台帳情報の自動参照などによって、登録時の作業を簡略化でき、人為的ミスの軽減につながります。また、申請者や申請内容に応じて承認者や承認ルートが自動判定されるので、条件の確認や承認者の判断などが不要になります。それによって、申請書がだれのところにあるのか、進捗を常に確認できるようになります。

2.決裁にかかる時間の短縮

パソコンやモバイルなど、さまざまな端末から、いつでもどこでも申請・承認ができるようになります。外出先でも対応できるため、申請から決裁までの時間を大幅に短縮できます。

3.ペーパーレス

申請書そのものや、申請に関連する書類の印刷や発送など、従来の紙業務で発生する作業がすべてシステム上に完結できます。ペーパーレス化によって、決裁済みの申請書や関連書類のファイリング作業が不要になり、倉庫などの保管スペース・費用も不要となるというメリットもあります。
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4.データの活用促進

ワークフローシステムを利用すれば、正確なデータを蓄積できます。システム検索ですぐに過去の文書が見つかり、書類紛失の心配もないため管理が楽です。また、データ分析の時は、データの自動集計やグラフ化機能を活用すれば、全体の状況把握や報告書作成の時間を短縮できます。

5.内部統制の強化

承認ルートを管理することによって、各種申請は正しい手順を踏まえて進められます。そのため、適切なフローで処理や承認が行われることで、不正の発生リスクを減らせ、内部統制の強化にもつながります。
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ワークフローシステムの適用で効率化できる業務・部署・内容

ワークフローシステムは「紙運用の申請業務」以外にも、さまざまな業務効率化に貢献します。ここではワークフローシステムで効率化できる業務を、部門ごとに紹介します。

部門共通:稟議

大規模組織では稟議の起案から承認、決裁まで、内容によっては1週間から最大1ヶ月以上かかる場合もあります。決裁までのリードタイムが長期化し、意思決定が遅れることで、ビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。時間がかかる大きな要因のひとつは「紙」による回付であり、物理的なやり取りになってしまうことです。
ワークフローシステムの導入で、デジタル化することで決裁までのリードタイム短縮につながるほか、現在の承認者や誰がいつ承認したのか、誰でどれだけ滞留しているのかが一目でわかるようになります。さらに紙での回付の場合、記入漏れ・チェック漏れも発生しやすく、内容不備による差戻しなどで余計な時間が発生しがちです。ワークフローシステムの導入によって、内容チェックを自動化でき、担当者の負荷軽減・決裁までのリードタイム短縮にもなります。
参考:「稟議」をデジタル化したイメージ・メリット

部門共通:会議資料

さまざまな部署が議題を持ち寄る「会議」にて、運営のための資料作成で苦労されていませんか?関係部署が多い場合には、事務局が各部の資料の取りまとめや確認、修正依頼などの調整をメールでおこない、資料が完成したら当日は印刷して配布…といった準備をしていないでしょうか?会議資料の提出や確認、資料の配布をワークフローシステムで実現することで、資料の取りまとめや修正対応の進捗管理がスムーズになる、会議資料の印刷が不要になるといった効果が期待できます。さらには議事録を添付もしやすいので、関連文書の一元管理にもつながります。
参考:「ペーパーレス会議システム」について

総務部門:全社掲示板

全社掲示板では各部門から通達や業務依頼として社内向けアナウンスが投稿されます。全社向け、または部署横断での依頼事項については、投稿前に部内での指摘、再チェックと何度もやりとりが発生することがあります。ワークフローシステムの導入で確認依頼と承認作業をワークフローシステムで実現し、承認後には自動で公開するようにすれば、各担当者の負荷を大幅に下げることができます。さらに、掲示期間・宛先・公開内容などの必要情報を入力フォーム化し、必須項目として設定すれば、記入漏れをチェックする手間も削減できます。
参考:「全社掲示板」をデジタル化したイメージ・メリット

人事部門:目標管理

人事部門は、社員の「目標管理」の主管となることが多いのではないでしょうか?「目標管理」では、各社員が目標を記入し、その上司・上長が評価やフィードバックをおこないます。ワークフローシステムで実現することで、各進捗の可視化はもちろん、確認依頼・フィードバック完了時の通知や、未対応者への督促などを自動化できます。
参考:「目標管理」をデジタル化したイメージ・メリット

営業・セールス部門:見積審査

見積書の作成時に、複数部署への依頼が必要となる場合があります。すべてメールでやりとりすればバラバラになり、状況把握にも時間がかかります。対応履歴が管理しにくく、指摘事項の反映漏れなどのミスも発生しやすくなります見積書の審査をワークフローシステムで実現することで、対応履歴を一元的に残すことが可能で、ステータスも可視化できます。これらによって、ミス防止と同時に、状況確認の手間を軽減できます。
参考:ワークフローシステムを活用して見積書をスピード提示!

開発部門:要望管理

開発部門では、「お客様の声」(要望)を製品に反映することも重要です。お客さまから要望を受けたとき、すぐ製品に反映するかどうかの判断、対応する場合にはメンバーのアサインなど、場合によっては複数部署にまたがった作業が発生します。これらをシステム上で管理すれば、複数の関連部署への共有や確認依頼が一斉にできることで対応スピードが速まると同時に、関連情報の一元管理ができるようになります。
参考:「お客様の声管理」をデジタル化したイメージ・メリット

このように、ワークフローシステムはあらゆる部署のあらゆる業務のデジタル化において効率化を実現します。

ワークフローシステムの選び方

ワークフローシステムの選定においては、自社にフィットした機能が備わっているかどうかが重要です。ワークフローシステムには、いくつかのパターンがあります。
1.ワークフロー機能に特化し、文書管理機能がない
ほかの文書管理システムと連携または、手動での保管作業が必要
2.ワークフロー機能と文書管理機能を兼ね備えている
文書管理システムとの連携などの保管作業が不要

主要な選定軸として、「利用者が直感的に使いやすいか」「大規模での運用に対応しているか」「業務プロセスが変わってもスピーディーに対応できるか」「メンテナンスが容易にできるか」など、複数のポイントがあります。
ここで注意すべきことは、情報システム部門だけでは要件のキャッチアップが大変で時間がかかってしまうし、外部ベンダーに依頼すれば外部流出コストも発生してしまいます。そのため、業務に精通している、現場部門自らがワークフローシステム使い、現場業務をデジタル化するのがおすすめです。

ワークフローシステムの選び方について、詳細はこちらの記事をご覧ください。
【関連記事】ワークフローシステムの導入手順とは?ワークフローシステム選定のポイントとあわせて解説

ワークフローシステムの導入事例

ドリーム・アーツでは、ワークフローと文書管理の機能を兼ね備えている「SmartDB(スマートデービー)」を提供しており、大企業の複雑な業務にも対応できる業務プラットフォームとして多くの大企業で採用いただいています。今回はそのなかから2つ導入事例をご紹介します。

大和ハウス工業、人事部自ら業務デジタル化を実現

大和ハウス工業さまは、人事部門の煩雑な申請業務をデジタル化するために、SmartDBを導入しました。人事部自らでノーコード・ローコードの開発基盤を学習し、部門担当者自らで業務デジタル化に取り組んでいます。「SmartDB」の活用で、業務効率性を高め、より付加価値の高い業務へ時間を投下することができました。
【関連事例】大和ハウス工業さま_18,000名の人事関連業務を3ヵ月でデジタル化

アダストリア、社外との申請業務の効率化

アダストリアさまは、「SmartDB」の活用で、社外の協力パートナーを含めた申請業務のデジタル化を実現しました。きめ細かな権限設定によって、社外パートナーとのスピーディーかつ高セキュリティな連携を実現し、業務効率が大幅に向上しました。
【関連事例】アダストリアさま_1,400店舗からの業務申請を「SmartDB」でデジタル化

関連資料
3分でわかるSmartDB

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大企業における業務デジタル化の課題と、その解決策として「SmartDB」で、どのように業務デジタル化を実現できるのかをご紹介する資料を公開しました。ぜひご覧ください。

まとめ

業務効率を上げるためには「ワークフローのデジタル化」が効果的です。ワークフローをデジタル化し運用していくために、ワークフローシステムの導入を視野に入れてはいかがでしょうか。
ツール選定においては、基本的な機能だけでなく、「SmartDB」のように現場部門で簡単に開発・運用できるかどうかもポイントです。ワークフローシステムの導入で業務のスピードUPを目指しましょう。

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この記事の執筆者:楊 溢ヨウ イツ(プロモーショングループ)

新卒でドリーム・アーツに入社
2021年からプロモーショングループの一員になりました。
記事執筆は初心者ですが、おもしろい海外情報を発信していきたいと思います!